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12モンキーズ【感想・レビュー】妄想か、滅亡か。 


 12モンキー
 12モンキーズ
 (1995年 アメリカ映画)  
 90/100点



この頃、1990年代~2000年代の傑作映画を観直しています。今回は、1990年代の話題作『12モンキーズ』

これは傑作です! 物悲しい空気のSFは大好物です。おまけにタイムスリップものとしての伏線回収も気持ちいい。さらに、奇才:テリー・ギリアム監督の描く、とぼけた味わいの狂気が、実に印象的です。

そして、ブルース・ウィリスとブラッド・ピットの2大スター共演でも当時話題になりましたね。精神疾患を抱えた男を演じたブラピは、アカデミー助演男優賞を受賞しました。粗暴な男を演じるブルース・ウィリスも、純粋な怪力男って感じでいいです。

あらすじは、「細菌で絶滅しかけている人類を救うべく、科学者によって過去の時代に送られたジェームズ(ブルース・ウィリス)は、細菌を撒いたとされる『12モンキーズ』という組織を追う。しかし、過去の人間たちは誰も信じず、彼を精神病棟に入れてしまう。そこで、ジェームズは不思議な男:ジェフリー(ブラット・ピット)と出会う…」という物語。

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本作の特徴は、未来から来たことを誰も信じてくれないという、タイムスリップのあるある展開に、精神疾患を絡めているところ。主人公:ジェームズは、「人類が滅亡する」という妄言を吐く精神病患者として、序盤から精神病棟に入れられてしまいます。キーパーソンとなるブラピも、躁病と見られる症状です。

人類を救う! というスペクタクルな描写は一切なく、精神病棟でのくだりが結構長いです。ジェームズの主治医となる精神科医のキャサリンは、「不吉な予言ばかりを口にする」カサンドラ症候群に言及します。不思議な空気や奇妙なBGMに巻かれ、物語は奇形な迷路に堕ちます。ジェームズ自身、段々、自分が正気ではないような気になっていくのです。

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第一。
ジャームズは、確かに人類を救うという大義を抱えている男には見えません。未来の世界で「囚人」である彼は、興奮しやすく、無教養な男。キャサリンは、かなり終盤まで彼を信じません。

その点が相当もどかしい分、伏線の巧さもあって、終盤で、キャサリンが彼を信じ始める流れは気持ちいい!  

どんどん伏線が回収されていく辺りが、相当面白いです。あの留守電メッセージってそういう事かー! とか、あの落書きはこうして書かれたのかー! とか。とにかく、巧くて。

さらには、大昔の写真にジェームズが映っていた! って辺りは、かなりの衝撃! アメリカンフットボールの専門チャンネルの写真に、オードリー春日が映っていたくらい衝撃!

オードリー春日
↑この写真くらい衝撃!


とはいえ。
クールだったキャサリンが、だんだんとジェームズ側になって突き進む様子は、何だかまるで辺見マリ。「妄想だったかも」と言い出すジェームズに、キャサリンが逆に「真実よ!」と取り乱す逆転劇は、落語みたいで面白かったりします。

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展開上、ジェフリーがかなり肩透かしなのも、逆に素晴らしい。これを文句なく演じるブラピはさすがです。トム・クルーズだったら演じないかもなあ。

あ、それから、とても余談ですけど。
ブルース・ウィリスがロン毛のカツラをかぶるだけで、クスっとなるのはナゼだろう。

タイムマシンの仕組みも、情報伝達方法も、設定が「?」なんですけど、そこが良い味わいになっています。パラドックスがどうだの、理屈がどうだの…、いやいや、そんなのいらない。面白ければいいんだ。そういう潔さが許された時代が、素敵です。

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さて。

物語は、だんだん哀しい雰囲気を醸し始めます。

オープニングから、何度もジェームズの脳裏にフラッシュバックする「空港での一幕」 銃撃される男と、泣き叫ぶ女の姿。それを見つめる一人の少年。物語は、その悲劇の終幕へと向かっていくのでした。

エンディングに流れる『ワッツ・ワンダフル・ワールド』も凄くいいです。感激します。この選曲は皮肉とも言えますが、ジェームズの想いでもあります。彼は、細菌が蔓延する以前の世界(すなわち我々にとっての「現在」)の澄んだ空気に感動していました。水辺の生き物にはしゃいでいました。みんなみんなー♪ 生きているんだトモダチなーんーだー♪ とばかりに。

今の世界だって素晴らしきかな! というメッセージにも思えるのです。(そりゃ、50億人が死滅した世界に比べれば、何でも素晴らしいですわな)

意外に、本作は人生賛歌のような気がするな。ラスト、哀しくも、どこか爽やかな締め方にもグッと来ます。とにかく、大傑作なんです。

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※本作のラストは分かり易くありません。初見時、バットエンディングとばかり思っていましたが、「(反転で)実は人類滅亡を免れていた」と知って、驚いたもんです。


 

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Posted on 2019/02/12 Tue. 21:57 [edit]

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