素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。

パルプフィクション(後半の感想) 


(前半からの続き) 前半はこちら。

(完全ネタバレでお送りしております)


第3章 ボニーの一件

無題
ジミー(クエンティン・タランティーノ)「…answer the question.Did you see a sign out in front of my house that said,`Dead Nigger Storage?」
ジュールス「Naw man, I didn`t」
ジミー「You know why you didn`t see that sign?」
ジュールス「Why?」
ジミー「`Cause storin` dead niggers ain`t my fuckin`business!」



第3章は、第1章のラストシーンからの続きです。
ジュールスとビンセントが組織の金を奪って逃げたチンピラを処刑するシーンの続き。
その時、風呂場に隠れていたもう一人のチンピラが、突然部屋に飛び込んで二人に向けて銃を乱射します。
奇跡的に、まったく弾が当たらなかった二人。
二人はあっさりと最後のチンピラを射殺。
「ついてたなあ」という反応のビンセントですが、ジュールスは捉え方が違います。
「神のおぼしめしだ」と、突然宗教に開眼してしまうのです。散々人殺しをしておいて…。

さて、そのことはしばらく置いておいて…
帰路途中の車内で、密告屋として雇った黒人の頭をビンセントは銃の暴発で吹き飛ばしちゃいました。テヘヘ。
車内は血まみれ。パトカーとすれ違おうもんなら、あっという間にお縄になってしまいます。
急きょジュールスの友達の家に駆け込みます。
いーなー。好き放題なこの流れ。
ジュールスの友達ジミーは、明らかに迷惑そうな表情で言い放ちます。

ジミー「うちの前に『黒人の死体預かります』という看板があったか?」
ジュールス「いやあ、見てないな」
ジミー「なぜだかわかるか?」
ジュールス「なぜだい?」
ジミー「黒人の死体を預からねえからさ!」
そりゃそうだ! アメリカンジョークか! ワッハハハ!

さあ、当の本人たちは大真面目です。
しかももうすぐにでも、ジミーの奥さんで看護婦のボニーが帰ってくると言います。
えらいこっちゃ。早く黒人の死体を片づけなければなりません。
さすがのジュールスも困惑気味。
「ジミーの入れたコーヒーはうまいな、うむ」とお世辞で気を遣うありさま。
しかし、ジミーはニコリともしません。
そこでジュールスはボス・マーセルスに電話。(時間軸的には、まだひどい目に遭っていない頃のマーセルスです。プププ)
マーセルスは、ウルフ(ハーベイ・カイテル)という死体処理のプロを現場に向かわせます。
几帳面で紳士な男・ウルフ。
てきぱきと遺体処理をジュールスとビンセントに指示します。
飛び散った脳みそや頭蓋骨や血で汚れた車内が、みるみるうちに綺麗になっていくさまはとても気持ちのいい…気持ち…うえー、気味がわりー。
さて、汚れきったジュールスとビンセントの服も処理し、体も洗い流します。

無題1


面白いことに、何か緊迫したドラマが展開されるわけでもない、この死体処理シーン。
それでも何だか楽しそうに見えるのは、キャラクターがよほどガッチリと面白く描かれているからでしょう。
ウルフのてきぱきとした手際に感心し、いつの間にかジミーもにこにこしちゃってます。
さて、ここでこの映画の楽しみ方の肝ですが、二人はここで可愛らしいマンガチックなTシャツに着替えるのですが、第2章の冒頭で二人が、なぜそんなTシャツを着ていたのかが、ここで明らかになるわけです。


お二人のお色直しの流れ。
無題4
誰かの頭を吹き飛ばす羽目になるとは夢にも思ってません。

無題3
誰かの頭を吹き飛ばしたように見えます。

無題2
誰かの頭を吹き飛ばしたように見えません。


・エピローグ

無題4


ようやくラストまで来ました。
黒人の遺体処理を無事にすませた二人が、ほっと一息つくために立ち寄ったファミリーレストラン。
コーヒーとマフィンを楽しみながら、ビンセントとジュールスは、先ほど起きた「弾が当たらない」エピソードについての話の続きを始めます。
なぜか、そこに「神を感じた」というジュールス。
ビンセントは「くだらねえ」と応じません。
しかし、ジュールスはマフィアから足を洗う気満々で、放浪の旅に出るとまで言い放つ始末。
それもコーヒーとマフィンを食べながら考えに至ったというお手軽さ。
ビンセントはあきれ果ててトイレに行きます。
そして、次の瞬間。
本作を、歴史に残る名作にのし上げた決定打とも言うべきシーンが展開されます。

ギャルソン! コーヒー!

と叫ぶのは、オープニングで強盗をおっぱじめるパンプキン。
そのオープニングのシーンが、ラストとつながるのです。

え、え、え、え、えええええー!?

今でこそ、最初と最後がつながる物語はよく見かけるようになりましたけど、当時は本当に新鮮で。衝撃的で。
パンプキンとハニー・バニーの存在を認めた瞬間、この先に起きる出来事を観客の私たちは知っていますから、もう何がどうなるのだろうかとハラハラです。
まるで私たちは予言者のような視座で、事のなりゆきを固唾を飲んで待ち構えることになるのです。
第2章で、マフィアのボス・マーセルスを、そうとは知らずに拉致しちゃった男達さながらの、不幸な巡りあわせ。

ハニー・バニー「I love you,Pumpkin.」
パンプキン「I love,Honey Bunny.」
「Everybody be cool,this is a robbery!」


やっちゃった…。
二人は意外なほど見事な手際で、ファミリーレストラン内を占拠します。
客たちの財布を集めて回りますが、画面の端々には、どう見ても普通でないオーラを放つ一人の黒人の姿が…


チラッ。
無題1

無題2チラッと。

おー怖いよー。

いよいよ、財布の回収はジュールスの順番へ。
ジョジョの奇妙な冒険風に言うと、
無題3
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


という感じ。なんたる緊迫感。

ジュールスはプロの犯罪者です。
アマチュアのパンプキンより一枚も二枚も上手。
案の定あっさり立場は逆転して、ジュールスはパンプキンに銃を突きつけます。
半狂乱となるハニー・バニー。
そこへトイレから戻ってくるビンセントが、ハニー・バニーに銃を向けます。
タランティー関連作品お馴染みの、三つ巴で銃を突きつけ合うという胃がきゅっとなるシチュエーション。
(トゥルーロマンス、レザボアドッグス、イングロリアス・バスターズなどなど)
誰かが引き金を引けば、一気にその場には地獄の血が舞い上がることになるのです。
ますます錯乱するハニー・バニーをなだめるジュールス。
ジュールスは、パンプキンに、自身の心境の変化を語りだします。
そして再び、処刑の前に必ず唱えていた聖書の一節(タランティーノの創作ですが)を口にするのです。
ジュールス「Ezekiel 25:17.The path of the righteous man is beset on all sides by the inequities of the selfish and the tyranny of evil men.Blessed is he who, in the name of charity and good will, shepherds the weak through the valley of darkness, for he is truly his brother`s keeper and the finder of lost children. And I will strike down upon thee with great vengeance and furious anger those who attempt to poison and destroy my brothers. And you will know my name is the Lord when I lay my vengeance upon you.」

善き人、悪しき人、羊飼いは一体誰なのか…不可思議なことをパンプキン相手に語りだすジュールス。
「おれは、悪しき人だ。羊飼いになる…努力をするぜ」

解放されるパンプキンとハニー・バニー。
とっととズラかるビンセントとジュールス。
映画はここで終わります。

これから二人はブッチと出会い、ビンセントはマーセルスの奥さん・ミアと食事に出掛けます。
時間の正式な流れで言うと、この物語のラストシーンは、ボクサーのブッチがひどい目に遭った後、恋人と街を抜け出すところとなるわけです。
初見ではなかなか混乱しますが、この先に起きる出来事を考えると、ジュールスの考えが不思議に意味を帯びているようにも思うのです。ま、考え過ぎで、何にも帯びてないとも言えますけどね。

その辺りはあまり深くないのかも。なんたって、「パルプ・フィクション」なんですから。

今回、再度本作を見直し、改めてこの映画に流れる空気のすごさを実感しました。
何回見ても面白い。
何でこの緩慢と拍子抜けと思いつきのような話で構成されている物語を、一切退屈に感じないのだろう。
タランティーノ・セレクションの名BGMも素晴らしいし、映像とシナリオの密度の濃さなどはもちろんですが、低級の物語にA級の演出を施すことで、何ともいえないギャップ効果が生じているのでは? とか思ったり。

とにかく愛らしく、素晴らしく、最高に楽しい映画。
間違いなく歴史に残る、歴史を変えた傑作なのです。


 

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Posted on 2013/01/02 Wed. 23:30 [edit]

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コメント

 

今日借りてきてこの映画をみました!僕は英語がわからないので吹き替え版でしたが、それでも最後のサミュエル・ジャクソンのセリフは心に響く格好良いセリフでした。私はあまり洋画(というか映画全般)に詳しくないのでよくわからなかった部分があるのですが、ヴィンセントはなぜブッチの家でトイレに入ってたのでしょう?しかもまたブッチが帰ってくる可能性のある家で銃をトイレの外において。自分がしっかり見ていないだけかもしれないのですが、もしよかったら教えて下さい!

URL | はっぱと銃とカネ #MXrrlKHU | 2017/11/05 16:05 | edit

はっぱと銃とカネ 様 

凄い所を突いてきましたね…。
なぜヴィンセントはブッチ邸のトイレを使ったのか…。

恐らく、ブッチがのこのこ帰って来るわけがないと思って油断していたのでしょう。
ブッチ自身、大事な指輪のことがなければ、絶対に戻るはずありませんでしたから。

それと。

ヴィンセントには、トイレに入る度にトラブルが発生する、というジンクスがあります。

1度目は、ミアが泡を吹いてぶっ倒れていました。
2度目は、レストランに強盗が入っていました。
3度目は、ブッチが銃を構えてこちらを狙っていました。

そういう発見がたくさんある映画です。

URL | タイチ #- | 2017/11/05 18:31 | edit

 

言われて気づきました!たしかにヴィンセントがトイレに入った後は必ずよくないことがおきてますね!だから「パルプ」フィクションなのかな?どちらにしろ面白かったので良しとします笑!もしよかったら洋画に限らずタイチさんのオススメの映画を教えてください!

URL | はっぱと銃とカネ #- | 2017/11/09 22:45 | edit

はっぱと銃とカネ 様 

コメントありがとうございます。

「パルプ・フィクション」系でオススメなのは、
同じくタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」ですね。
みなぎる緊張感がさすがの逸品。笑える面もあるし、バラエティな作品です。

犯罪バイオレンス系だと、ちょっと古いけど「ニキータ」なんて大好きです。
同じ系統では、韓国映画もいい映画が多いですよ。「オールドボーイ」とか「殺人の追憶」とか。

良い映画にたくさん出会ってください。

URL | タイチ #- | 2017/11/09 23:59 | edit

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