素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

夜明け告げるルーのうた /世界を癒すバラッド 


 yoake.jpg
 夜明け告げるルーのうた
 (2017年 日本映画)  
 90/100点



本作を観よう! と固く誓ったのは、テーマソングが斉藤和義の「歌うたいのバラッド」だったからです。

大好きな曲なのです。

この曲との出会いは、大泉洋の所属する劇団TEAM NACSの『LOVER』という舞台でした。
ラストシーンに流れるこの曲の絶妙さ! 演出も素晴らしくて、心にずっと残り続けるマイフェイバリット・ソングと昇華したのです。

とにかく作劇を盛り上げるのにピッタリな曲だから、映画でも使われないのかなー? と思っていた矢先に、本作の予告編でずきゅーんと胸打たれたのでした。

↓その予告編はこちら。


曲がいいと4割増しに評価が上がるんですけど、本作は紛れもない傑作です!
めちゃくちゃ面白い。そして、期待通りにクライマックスが泣かせる! 

天才と言われる湯浅監督の作品を、実は初めて見ましたけど、こんな凄いアニメーションなんですね!

あらすじは、「凋落した漁業の町に暮らす少年・カイは心を閉ざしている。ある日、彼は歌が大好きな人魚の少女・ルーと出会い、仲間と一緒にバンド活動を始める。しかし、町民の中には、人魚に強い敵意を持つ者もいて…」という物語。

一部には、オリジナリティを疑問視する方もいるようです。

そりゃあ、当初私も思いました。
思いっきし、『ポニョ』ですもんね。しかも、本作でも同じように「ワルキューレの騎行」が流れるあたり、挑戦的だなあと思ったりもしました。

それ以外にも、『トトロ』を思わせるし(ルーのお父さんが叫ぶところ)、『魔女宅』を思わせる場面もあるし(ルーがみんなと仲良くなることで、カイが拗ねるところ)、『もののけ姫』も(この近海の神様である『おかげ様』は、命を生みもし、奪おうともするシシガミのよう)。ジブリ色がちらほら見えるのは確かです。

だけど。

決定的な違いがあります。
宮崎駿より、圧倒的にカタルシスに素直です。まっすぐな物語です。泣かせるポイントは、照れもなくド直球です。だから…、いやあ、泣けたー。テーマソングとも相まって、とても嬉しい鑑賞でしたよ。

さらに。

まるで、「古き良き漫画アニメ」を見ているような感覚もあります。

例えば。
途中でルーのお父さんが出てきます。巨大なサメが人間に化けている姿です。明らかに非人間ですが、町民は仰天しません。これって…、『ハクション大魔王』とか、『パンダコパンダ』とか、『ド根性ガエル』みたいなノリです。明らかに変なモノがいるけど、それが人間社会に溶け込んでいる風景が、すごく懐かしい雰囲気でした。シリーズ化して、毎週テレビ放映してほしいくらいです。

オープニングタイトルの出し方もね、なんか…『うる星やつら』みたいな、あの頃のテレビアニメのいー感じ。

おまけに、「絵の動き」が凄い。オープニングで、カイが階段をポンポンポンと調子よく降りてくるところを見て、あー、とても気持ちのいい「動き」で魅せてくれる映画だと直感しました。

その予想通り、いや、予想を大きく超えて、キャラクターが、カメラが、実にパワフルに、ダイナミックに、スピーディーに動きます。もの凄い見応え。

物語は、ルーとの交流を通じてカイが心を成長させていく展開を軸に、町と人魚にまつわる因縁まで描いていきます。

タコ婆と呼ばれる老女は、かつて恋人を人魚に喰われたと恨みを募らせています。
カイの祖父も同じく、母親の命を奪った人魚を憎みます。

人魚と仲良くする者、商業利用する者、そして排除しようとする者。
人間たちそれぞれの思惑が、次第に人魚(ルー)を追い詰めていきます。

ネタバレはしませんが、一つだけ。

私は、これは鎮魂の物語だと感じました。
かつて海で大切な人をなくした人々の悲しみを浄化する、壮大な神話が繰り広げられるクライマックス。

もちろん、そこには3.11への回顧があります。町内放送のお姉さんが、町民の避難に活躍する場面でも、それを思い起こさずにはいられません。

全てを癒すために。

力強く、そして、すごく優しい歌が、本作の終盤に炸裂するのです。

『君の名は』よりも『kubo』よりも、必見のアニメだと思いますけど、…どうも評判にならないまま公開が終わっていた気がします。

けど、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞(最高賞)を受賞!

何度も言いますが、紛れもない傑作!


  

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったら、クリック1票お願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
<スポンサードリンク>


Posted on 2017/12/02 Sat. 21:30 [edit]

TB: 0    CM: 0

02