素人目線の映画感想ブログ

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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

ブレードランナー2049/ 人造人間、3次元キャラに萌ゆ。 


 ブレードランナー2049
 ブレードランナー2049
 (2017年 アメリカ映画)  
 83/100点



前作『ブレードランナー』の感想はこちら。


<結末以外、ネタバレがあります。>


面白い…と思います。
いや、世間では賛否両論だし、なんたって偉大なる前作の続編だし、ドゥニ監督が、哲学的な物語をさらに深めようとして描いているから、本当に理解できているかどうか自信なく…

それで遠慮がちなんですけど。
面白かった…と思います。

ええい! はっきり言いましょう。

長ったらしいと聞いていたから覚悟していたんですが…、そんなことはない!
結構面白かった!
たぶん、個人的嗜好に合っていたのでしょう。
確かに、憂鬱そうな空気感が延々続きます。物静かです。

ただ、私は哀しげなSFが好きなんです。
退廃的な世界観が実に美しい。一歩間違えば、明日にでも終わってしまいそうなバランスを欠いた世界。人の心から希望をえぐり、「諦め」に濡れた街並み。

押井守が影響を受けまくったクラシックと未来世界が入り混じった風景も印象的です。
だって。
車が空を飛ぶかたわら、ガスコンロで鍋を茹でてるって素敵じゃないか!

未来的な美術にも、もちろん目を見張ります。
部屋の造形が特に美しい。ウォレス社の無機質な受付とか、水面が揺らめく室内とか、あんなデザイン大好きです。

そんな感じで、個人的に目耳にとても心地良かったのです。

ブレード2049


おまけに。

物語も、実は大筋はシンプルなもんです。
「レプリカントと呼ばれる人造人間のいる世界。危険な旧型人造人間の始末を続ける、ニュータイプ人造人間の主人公は、ターゲットの家の庭の木の下に埋もれた人間の骨を見つける。調査の結果、その骨の主は、出産を行った形跡がある上、なんとレプリカントであった。『レプリカントが子を産む…』、この奇跡の事態に、様々な組織の思惑が動き出す」というお話。

人造人間が子供を産んだ! えらいこっちゃ!

警察組織の偉い人は…
こんなことが世間に知れたら、人間の立場が危うくなりまっせ! 始末せな!

レプリカントを作る会社の偉い人は…
レプリカントに大量の子を産ませる方法が分かれば、神になれるばい! その子供を連れてきんしゃい!

人造人間の反乱組織の偉い人は…
この奇跡をもとに一旗あげる前に、秘密を知るハリソンを始末するがね!

主人公は…
その子どもって、ひょっとしてオレじゃね…?

という物語。

大筋の物語が分かりやすいので、とても見やすかった。

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ただ。


<ここから、結末以外、ネタバレします>


実は。
そうはいっても、ちょっと物語がありがち過ぎないか? という疑念もあります。

そもそも、人造人間の記憶に基づくアイデンティティの話なんて、全く持って目新しくありませんよね。
前作の影響を受けた押井守の『攻殻機動隊』もそう。
それと、この哀しい展開は『月に囚われた男』そのまんま。




ついでに言うと、反乱勢力の存在も、『マトリックス』を思い出してしまった。

だから、SF映画の金字塔と言われ、バイブルのように崇められている『ブレードランナー』の続編として考えると、「今一つ」のような気がしないでもないのです。

で。

そんな既視感を感じる設定がちらほら見える中、特に引っかかった点がありまして…

『her / 世界でひとつの彼女』でもありましたよね。「AI」の恋物語。
本作では、「立体映像(ホログラフィー)」の女性ジョイと、主人公K(ライアン・ゴズリング)の恋物語が展開します。
私は、どうもそこにノレない。
人造人間に感情が芽生えることは、まだ受け止められますが…

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ジョイとは、「siri」の超絶進化バージョンみたいなもんです。
けど、「立体映像」だぜ…。「虚像」そのものだもん…。
しかも、当然「ジョイ」は製品ですから、主人公以外にも、この「ジョイ」を利用している人は大勢いるわけです。それも同じ姿態で。

言うなればさあ…、アニメキャラに恋するのと一緒なんですよ。

このジョイとの関係性が、終盤のKの行動の動機の一つになってるってのは、あまりに「安い」ように思うのです。

もちろん、Kは自身のアイデンティティに悩むのと同時に、実はジョイの存在にも、むなしさを覚えていた可能性はあります。
まあ…、持っていたらそれはそれで、普遍的な「二次元オタクの葛藤」そのものですけど…

それにしても。
ジョイとKのロマンチックな場面での「チャイナドレス」が実にあざとい… 
そもそもジョイの顔つきからして、あ ざ と い。
『her / 世界でひとつの彼女』の感想と同じこと書きますけど、「Kよ、知らない間に課金されてんじゃない?」


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このセンスだけは…、どうしたドゥニ監督! と首を傾げたものです。

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とはいえ。

中盤以降でハリソン・フォードが現れるとワクワクしますね。
前作を観ていると、やはり感慨深いです。
特に、前作でハリソンと逃げたレイチェルが当時の姿で登場した時が、「おー! 『ブレードランナー』の続編だあ!」と改めて。


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でも…。

超個人的な感想ですけど。
ハリソン・フォード(演じるデッカード)って、本当はそっとしておいてほしかったんじゃないのかなあ。
とか思ってしまった。

今さらそんな…、30年も昔のことで、このノンキな生活を壊してくれるなよって声が聞こえるのですよ。せっかくキャリスタ・フロックハート愛犬とのんびり過ごしてんだからさあ。
だって、そうでないと、まだ説明途中なのにKに銃ぶっぱなしたりしないって。
「この生活を守りたい!」って必死だもの。

果たしてこの結末は、本当にハリソンの望んだものだったのか…

だから、Kがやってきたせいで彼の生活が壊れた時、なんか「もったいない…」とか思ったのは、オレの生活疲れの心象の投影であろうか。(恐らく、そう)

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んー。

あれ? 
なんか、良くない感想みたいになってしまった…

いや、でも、アクションは面白いし、ウォレス社に忠実なラヴのキャラクターも印象的だし。
何度も言いますが、世界観が本当に素晴らしかったんです。

全てはプログラムに過ぎない…、という世界の空しさも良かった。(続編をやるつもりなのか、描き足りていないけど)

退屈だと思うことはなかったのは、本当なんだけど…

やっぱり。
偉大な前作の続編とは、不幸なのかもしれません。
それこそ。
コピーに過ぎないレプリカントやジョイのように、本作自体もアイデンティティの苦悩を抱えているように思うのです。


  

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Posted on 2018/04/05 Thu. 13:37 [edit]

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