素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。

スプリット /どうやらシャマランが、好き放題始めた。 


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 スプリット
 (2017年 アメリカ映画)  
 80/100点



<後半からネタバレします>

前作『ヴィジット』で息を吹き返したシャマランの最新作は、「多重人格」の物語。
勢いづいたシャマランですが、本作ではその勢いを利用して、前代未聞の大オチを披露。ごく一部の喝采と、大多数の困惑をかっさらい、したり顔のシャマラン。
どうもこの人は…、先行きが不安です。

とはいっても、本作で魅せる熟達した演出力に安心します。見応えもあるし、どうなる!? と高揚感を煽るのが相変わらず巧いのです。
結果がどうあれ、途中過程が楽しめればそれでいいじゃない。
それって…、シャマラン監督作を見る時のコツなのです。

スプリット2


で。

そんな本作で最も印象的なのは、ジェームズ・マカヴォイの変貌ぶり。『ウォンテッド』の時と比べ、彼自身の様相の変化にも驚きますが、本作では複数の人格を演じ分けていて、見事なのです。潔癖症の男、清楚な女性、無邪気な少年…、人格が境目なく入れ替わる場面では、目つきが特殊メイクのようにガラリと変わります。これは凄い。昼行燈の時と、裏の顔の時で目つきが変わる『必殺シリーズ』の藤田まことみたいです。

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イケメン俳優を目指す人格 

マカヴォイ
突然演技に目覚めた人格


物語は、「3人の女性が一人の男に拉致される。個室に閉じ込められ、怯える3人の前に、男は突然女性の口調に変わって現れた。男は、23もの人格を持つ多重人格者だった。男の目的は…?」というお話。

スプリット5


児童虐待がひとつのテーマになっています。途方もない暗みを抱える登場人物たちの過去が、物語の異様さに大きな説得力を持たせます。それにしても、この問題は映画でよく取り上げられます。前回の『IT』でもそうでした。
小学生くらいまで、子どもは大人に逆らえません。それをいいことに、親は支配者となって子どもを好き放題に叱咤しがちです。親子関係に壁はないからこそ、それは際限なく過剰になっていきます。そこで生まれる心の傷は、大人になっても消えず、時に重大な疾患に結びつくのです。
マカヴォイが演じる男が多重人格者になったキッカケは、気性の荒い母親の厳しい躾でした。そのツラい日々を逃れる為に、男は別の人格に分裂していったのです。

拉致された女性の一人もまた、心に何かを抱えているようです。
度々、彼女の過去がフラッシュバックします。それは、父親と叔父さんと出掛けた「鹿狩り」の風景です。序盤では説明もなく描写される場面ですが、物語が進むにつれ、それは重大な意味を帯びてくるのです。
秘められた過去…、こういう煽り方が、また巧いなー。シャマランったら。

途中で展開される、マカヴォイ演じる男と、彼のカウンセラーである心理学者との心理戦も面白かった。
多重人格障害(DID)について誰よりも理解し、本作では彼に唯一対峙できる存在として、その経験値の深さと知略を見せつけます。
偉大な包容力で彼を救おうともする、この老練なるカッコ良さ! 

ただ。

<ここから、完全にネタバレします。『サイン』のネタバレも含みます。>

スプリット3


本作は、ある意味、反則のような展開をしていきます。
特に、どうしてもシャマラン映画で意識してしまうのは、その結末。今回はというと…
これ、シャマラン監督の『サイン』のオチを知った時と同じ印象でした。
まさか宇宙人か…? 宇宙人じゃないよなあ…。え? じゃあ…、一体どういう結末になるんだ宇宙人だったんかい!!
…ていう。

散々かき回しといて、そのまんま。

…本作でも、そう。
「ビースト」という24番目の人格の存在を、マカヴォイ演じる男は語ります。それは、野獣のように強靭な人格だというのです。
3人が拉致されたのは、そのビーストに捧げる生贄とするため!?
心理学者は、「ビースト」の存在を否定します。
「ビースト」とは一体何なのか…と思ってたら「ビースト(野獣)」でした。

シャ マ ランっ!
…そのまんまじゃあ…


もはやシャマラン監督に、意外性ある結末は期待していないのですが、それにしたって、ドストレートに展開したなあと。本当に、生贄だったなーと。
ただし。
驚くべきことに、本作の結末が「ビースト」である必然性はあります。
それは、誰にも予測できません。できるはずがない。
なんと本作は、『アンブレイカブル2』だった! …というのです! 

…。

わ か り ま す か ? 前作『アンブレイカブル』の感想はこちら。
これは、楽屋オチレベルぎりぎりです。一体何人がキョトンとしたのであろうか。
なんと説明すればいいか…、要は、『ドラゴンボール』の世界にアラレちゃんがいた! ってやつですから。

しかし個人的には、嬉しい意味で笑った。『アンブレイカブル』、結構好きなんです。懐かしくって鳥肌立った。だってラストカットに、ブルース・ウィリスが顔を出すんだもの。しっかりと、あの時の主人公が蘇ったもの!
…でも。
2000年公開の映画で、そんなに傑作とも言われていない本作の続編て。覚えている人そんなにいるか分からない作品ですよ。勇気あるわ-。戸棚の奥の方に置き忘れてた調味料(消費期限表記が消えている)を使うくらい、勇気あるわー。

スプリット4


シャマランって、まだこんな自由な映画の創り方が出来るんですね。
好き放題に『キル・ビル』を作ったタランティーノばりに、ハリウッドでの特権階級だと思いますよ。

ということで。

本作は、『アンブレイカブル』とは反対に、「悪」の誕生を描いたというわけ。

シャマランの次回作『GLASS』では、「ビースト」とブルース・ウィリス演じる「不死身の男」との壮絶な邂逅が描かれると言います。
まさか…、マーベル映画みたいなバトルとかないですよね。そういう壮大なファンタジックで壮絶にコケてるシャマランですからね。

私はまあまあ楽しみですが、果たしてどれだけの人が待ち望むのであろうか!?


 

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Posted on 2017/11/14 Tue. 21:25 [edit]

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