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インデペンデンス・デイ:リサージェンス これぞ、「戦争賛美」 


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 インデペンデンス・デイ:リサージェンス
 (2016年 アメリカ映画)  75/100点


1996年のSF映画「インデペンデンス・デイ」の正当なる続編である本作は、前作同様、「人類滅亡の危機」というお祭り騒ぎをまき散らします。

想像を絶する犠牲者が出ているでしょうに、最後は何だかハッピーエンドに万事解決! というグウの音も出ないエンターテイメントなのでありました。
ストーリーはあってないようなもの。怒涛の破壊描写による絶望感と、一発逆転の底知れぬ高揚感さえ感じられればそれで良し! の潔さ。それだけの映画だと割り切って観るならば、見事なブロックバスター・ポップコーン・ディザスター映画として、そ こ そ こ 楽しめることでしょう。

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だから、いらぬ突っ込みは野暮にしかなりません。宇宙人が間抜けすぎるだの、作戦に無理がありすぎるだのといったところで、始まらないのです。バラエティ番組の「やらせ」を険しく指摘するようなものです。あっけらかんとしましょう。これが、ザッツ・エンターテイメント・ショーなのです。
そんな中。
私が本作を鑑賞しながら一番に感じたこと。それは、アメリカって戦争好きだなあ…ってこと…。突っ込みどころとして、そっちの方面が気になったものです。
『風立ちぬ』とか、『永遠のゼロ』を「戦争賛美」だなんて言っている人たちは、本作を観てどう感じるのだろうか。
そりゃあ、史実を絡めてるわけでもないし、「悪の異星人襲来」という勧善懲悪設定ではあるのだけれど、これこそ完全なる「戦争賛美」だと思うのです。
それこそ、エンターテイメントに対して何を言っているんだ、という声が聞こえそうですが。
圧倒的な軍国主義、マッチョイズム、イキアタリバッタリでも根性と勢いで打ち勝つ精神論、特攻神話、そしてイザとなったら核兵器最強!
本作を見ていると…「戦争が強い」というのが、やっぱりアメリカの最大の価値であるような気がしてくるのでした。
あれほどイラク戦争で傷付いただろうに…。トラウマを微塵も感じさせず、今だにこんな映画で戦気昂揚してる民族って、何とも頼もしいやら、空恐ろしいやら。前作にしても本作でも、演説で兵士たちが奮起するシーンがありますが、あんなの邦画でやったら、とたんにヒットラー呼ばわりされること間違いなし。日本人とアメリカ人では、やっぱり根本的に戦争の捉え方が違うんだなと思わずにいられないのでした。

とはいえ…

序盤こそ、月に設置した破壊兵器が倒れてくるという無理やりなピンチを、脳筋全開な方法で回避したあたりはシラっとして見てました。けれど、物語が進んで人類が絶望的ピンチに叩き落されてからは、反射みたいなもので、危機一髪で逆転劇なんか見せられると、しっかり鳥肌が立つものです。物量的にも技術的にも圧倒的に強く、そして問答無用に邪悪で、無礼にも地球人を舐めきってやがる「エイリアン」を、さっさと木端微塵にぶちのめしちまえ! …と、かくいう私もしっかり高揚したのです。

無論、そんな描写が許されるのは、敵が一ミリも感情描写のない「人でなし」だからです。
しかし、そうであるならば、出来れば立ち向かう軍隊は多国籍であったほしかったなあと思います。もっと「全人類VSエイリアン」という様相が見て取れれば、面白かっただろうにと。あいにく、出てくるアメリカ以外の国と言えば、またしても中国、そして、アフリカのとある部族の長くらい。
どうせなら、アメリカも欧州もロシアもアジアも中東もタリバンでも何でも、みーんな一致団結でエイリアンに立ち向かったなら、どれほど胸熱だったことか。ディズニー映画が差別根絶をメッセージに入れ込んでいる昨今なのだから、そういう国境・人種・宗教を全て越えた<地球規模の一致団結>を描写してほしかったものです。どうせ、ありえない描写ばかりなのだから。

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さて。

前作を見ていなくとも物語はわかりますが…ま、物語なんてないようなものですが、だからこそ、前作を知っていた方が楽しいのは確かです。それは、前作の登場人物たちが、ギャラ高のウィル・スミスを除いて結構登場するからです。前作で、「インデペンデンスデイ!」の印象的な演説をした元・大統領も出てくるし、何より、前作で敵に精神を乗っ取られた博士まで登場した時は驚いたものです。しかも、今回はそこそこ活躍してるし。前作の主人公二人の嫁だの父ちゃんだの。前作を記憶していると、まるで同窓会の様相で楽しいのです。

これは前作関係ないですが、ラース・フォン・トリアー監督作品の常連女優シャルロット・ゲンズブールが出てきたのはビックリ。本作では身体を張らされることもないからか、なんか…肩の力を抜いて演じているような様子で、なごみました。

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ただ、それでやたらと登場人物が多くなったために、一人一人の人物描写や見せ場が雑なのが残念なところです。
本作を観た後、前作を見返したんですけど、あれだけ大味と批判されてた前作すら、相対的に「人間ドラマ」がちゃんとしているように感じたほど。
その他、前作と見比べると…やっぱり緊張感が圧倒的に違います。前作は、敵艦の巨大さもさることながら、バリアの存在や無数の敵機に、「フリーザの53万戦闘力」並の絶望感を感じたものです。しかし、今回は何だかハラハラする気持ちが、途中で落ち着いてしまったような気がします。それはやはり…「(ネタバレなので反転で)ボスさえ潰せば全て解決、という振り切れたご都合主義で醒めてしまったのが最大の原因です」 

あ、あと余談ですが、敵とは別のエイリアンの存在という設定は、なんだか『ガンツ』を思い出しました。球体だし。

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それともう一つ。

敵が巨大だから「強い」とか、「脅威」とかいう時代は終わっているんじゃないかと思うのです。
今は、どこに潜んでいるか分からない極小のテロリストがむしろ、最大の強敵なのではないでしょうか。
その終わらない恐怖を抱えたアメリカ(アメリカに限りませんが)が作った本作は、まるで「見える敵なら勝てるんだ。巨大な敵なら立ち向かえるんだ…」という現実逃避…いや、強いアメリカとしての自信の復権を狙っているような気も、ちょっとするのです。

そう考えると、本作の時代錯誤なほどの「戦争賛美」は、実に空虚な強がりに思えてならないのです。

うーーん。

こうなったら、エイリアンに攻めてきてもらって、地球人みんなで団結して戦おうじゃないか!
そう。
「エイリアンの襲撃」とは、世界に敵を作り過ぎてしまったアメリカの、心からの願いなのかもしれません。


   

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Posted on 2016/07/20 Wed. 00:21 [edit]

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