素人目線の映画感想ブログ

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ONE PIECE FILM GOLD /原作者は、映画の壁であれ。 


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 ONE PIECE FILM GOLD
 (2016年 日本映画)  
 70/100点



ワンピースの劇場版は、『STRONG WORLD』あたりから、様子が変わったように記憶しています。
何が…かというと、特別感を煽る宣伝の巧さです。
今度のは、今までのとは違うぞ…! という空気を上手に匂わせるのです。

私もそういう煽りに弱いもので。

もともと積極的に観ていませんでしたが、『STRONG WORLD』以降、ワンピース映画に注目するようにしていました。

その特別感とは…単純に、「タイトルがカッコよくなった」こともありますが、一番は「原作者が制作に参加するようになった」ということが大きいと思います。

原作者・尾田栄一郎氏が自ら手掛けるのだから、さぞ力が入っているに違いない、面白いに違いないと思わせるのです。

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けれど。

個人的に言うと。
私は、長期連載されている原作のアニメ映画化に関し、原作者はあまり関わってほしくありません。
原作者が関わる映画製作とは、…鍋奉行がいる鍋パーティーみたいなものじゃないでしょうか。
好きに食べたいのに、「これダメ。これ違う。あーわかってねーなー!」という存在…。

だって。

素晴らしく面白かったアニメ作品の中に、(私が知っている限りでは)原作者が参加した映画は、皆無です。
おまけに、一般世間の評価とは裏腹に、時にそれは原作者から否定されたり、怒られたりしている場合さえあります。

↓以下、その例です。

『ビューティフル・ドリーマー』

いわずもがな、押井守の初期の大傑作です。『うる星やつら』のキャラクターを使い、「空間」「時間」という概念の哲学を盛り込み、怪しげで魅惑的な物語を展開させます。
めちゃくちゃ、雰囲気が面白い映画です。
おまけにこの作品には、「いつも同じようなドタバタ劇が繰り返されている」という、原作への皮肉さえ盛り込まれていると言います。

だもんで。原作者・高橋留美子の怒りを買ったと言われていますが、映画自体は歴史に残る大傑作です。

『パトレイバー劇場版パート1&パート2』

またまた押井守です。パート1はまだマンガに沿った面もありますが、パート2は完全に独自路線。
「集団的自衛権」をテーマにした『2』は、そもそも主人公が変更されているし、レイバーという特殊なロボットも必要のないストーリーです。
実は押井守はロボットが大嫌い。OVAの頃から、なんとかロボットを出さないで済むように工夫した等と、身も蓋もないことを言い放っています。

しかし言わずもがな、初期ビデオシリーズも含め、劇場版『1』も『2』も大傑作です。

『カリオストロの城』

スピルバーグに「完璧なカーアクション」と言わせたほど、アクション映画の魅力をふんだんに詰め込んだこの宮崎駿の初監督作も、原作の雰囲気には全く沿っていません。
「宮崎ルパン」と言われ、原作と異なる優男なルパンが登場する本作もまた、そりゃあ、傑作中の傑作です。


原作破壊神・オシーとハヤーオの手にかかったため、原作ファンや原作者からは否定されることもある上記作品ですが、映画的には素晴らしいわけです。
『シン・ゴジラ』も、初代を踏襲しつつも、独自の作家性で描かれ、あれほど面白くなりました。

既定路線をぶち壊す。

だからこそ、シリーズものの原作にはなかった、新たな魅力を引き出せるのだと思うのです。
「マンネリの美学」という発想もあるでしょうが、やはり映画は、「特別」であってほしい。

映画だったら、原作のパラレルワールドが描かれたっていい、とさえ思うのです。

ゴールド


で。

本作『FILM GOLD』は、原作者が映画製作に思い切り関わっているから、やっぱり「いつもと同じ」ワンピースに仕上がっていると感じました。

「ワンピースはこうであるべきだ!」という固定観念から、1ミリも脱していませんよ。

強いボス、そこそこ強いボスの側近(ルフィの仲間にあてがわれるだけの存在)、さらわれる仲間のピンチ、怒りのパワー押し。

敵がシキからグラン・テゾーロに変わっただけ。捕らわれるのがナミからゾロに変わっただけ。

倒し方も、ルフィが「ドリャアアアアアア」と力任せで押し切るだけで、何の工夫もありません。

「船上カジノ」という舞台設定にはすごく期待をしたのですが、『千と千尋の神隠し』の湯屋ほどの「舞台装置の魅力」もまるでなく…。

なにより、映画ならではのストーリー展開など、微塵もありません。
下手にキャラクターを動かすと、原作との辻褄が合わなくなるからでしょうか。

原作にも言いたいことではありますが、出てくるキャラクターが多すぎて、まとまっていない印象なのです。おまけに、メインのルフィ一味の行動・戦闘が、本当にいつもと同じ。
それぞれのキャラクターに固定ファンがいるから、それぞれを、いつものように、活躍させねばならないという制約があるようで、とても窮屈に思うのです。

本作OPでのキャラクター紹介がカッコイイと評判ですが、私は、「うへー、またメインキャラたちのいつもと同じような紹介PVを(おまけに9人分も)見せられるのかあ…」とうんざりしてしまったものです。

もっと端的に言うと、本作には、「原作を越えている部分」がないのでした。
これが、一番残念に感じるところです。原作を越えるためにも、原作者はあえて「壁」であってほしいです。
立ちはだかる「原作者」をぶっ倒してやろうとする、「野心ある作家」に、ぜひ登場してほしいと願うのです。

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というわけで。

ハリウッドの大型アクション映画のように、中身がほとんど印象に残らなかったので、うまく感想が書けません。

唯一集中できたのは、敵のグラン・デゾーロに何やら暗い過去があるように描かれていたところでした。が、それが単なる物語のアクセントでしかなかったのが惜しいです。
いらないキャラクターばかり出しているから、尺が足りなかった? 

本作を好きな人には、大変不愉快な文章で申し訳ないのですが、以上が、私が感じている正直なところ。
(ちなみに私は、「戦争編」までは読んでいた原作ファンです)

けれど…

一緒に見に行った子供たちは大絶賛!

ひゃー。つまり、マーケティング的にはものすごく正しい映画だということ。


  

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Posted on 2016/08/27 Sat. 15:09 [edit]

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