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君の名は。 新海誠、最高のエンタメ・デビュー。 


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 君の名は。
 (2016年 日本映画)  90/100点


<後半でネタバレします。>


大ヒット中です。遅ればせながら観てきましたが、それでも劇場は埋まってました。ものすごい勢いです。驚いたのは、観客に中高生だけにあらず、中高年の方々が多かったこと。一気に国民的映画に登り詰めました。
そうはいっても。
監督の「新海誠」は、これまでも多くの作品を手掛けていますが、ちょっとマニアックです。かくいう私も、絵の美しさは知っていましたが、センチメンタルの濃いぃ印象があって、これまで敬遠していたものです。
しかし。
本作は、思いっきりエンターテイメントに振り切っています。これまでとは大きく違うようです。
男女入れ替わりとは、あまりに使い古された設定です。それだけで、観たい気持ちがなくなるものです。けどね。…これが、面白かった…。間違いなく、傑作です。
冒頭こそ、何やら主人公の男女がナレーションしている感じが、「あれ…やっぱりおセンチじゃん…」と不安にさせましたが、その後はアップテンポのエンタメです。きっちり笑わせます。そして、モーレツに感動させます。

 君の名は

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体が入れ替わることで、今までになかった特技(男の子は突然裁縫の腕前を披露し、女の子はスポーツ万能になる)で周囲を驚かせる「入れ替わりあるある」をきれいに踏襲していきます。男女入れ替わりだもんで、何気なく「エロ」も入れ込み、それをテンドンの笑いにすることで、いやらしさを上手に「ごまかし」ているのも巧かった。特筆すべきは、入れ替わりっぱなしではなく、定期的に元の体に戻るという設定。入れ替わっている間に勝手な行動や約束をされていたり、体に落書きされていたり、迷惑千万なわけです。予告編で二人が同時に吠える「あの男(女)は~(# ゚Д゚)」に繋がります。

男の子が住む「都会」と、女の子が住む「田舎」の対比が面白いです。風景がガラっと変わります。それゆえ、「絵的」に飽きません。わかる人にしかわかりませんが、ゲーム『グランド・セフト・オートV』の舞台が、序盤の派手な都会から、中盤、ド田舎町に移った時のギャップの衝撃に似ていました(誰もわからんな…)。
また、カフェでバイトしたり、シャレたパンケーキを食べる今時な高校生の生活描写があったかと思うと、見たこともない田舎の神事が盛り込まれるので、その喧噪と静寂のギャップ感も良かったです。

しかし。

それだけなら、「小ネタの積み重ねアニメ」で終わっていることでしょう。正直途中から、「ああ…、ひょっとして、SF青春映画として、このまましんみりと終わるのかなあ…」と思ったのですが…甘かった。その程度なら、ここまで映画がヒットするわけもなく。

そう。

終盤の展開には驚きました。
若干、「映画なので壮大にしてみました」感はありますが、予想していなかった大スペクタクルの勃発に、「ほー、そーきたかー」と唸りました。
前述の「都会」と「田舎」の見せ方もそうですが、爽やか傾向にあった物語が、終盤でガラッと深刻になるので、上映中全く集中力が途切れません。
テーマソングも、ここだーっとばかりに抜群のタイミングでかかりますし、終盤はもう…ウルウルしっぱなし。

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<以下、終盤までネタバレです。>


ただし、本作には「?」と思う部分も多く、突っ込みどころもあります。

まず、観た人の多くが思うことでしょうけれど、「入れ替わっている者同士は、同時代の人間ではなく、3年のズレがある」ということに、なぜ二人が気づかないのか。これは、やっぱり疑問点です。高校生は新聞を読まないかもしれない。今時、テレビだって見ないのかもしれませんが…。そうはいっても今の時代、3年間での世の中の変わりようは大きいですよ。公開されてる映画も違うし、ケータイの機種だってえらい違うでしょーが。いまだにガラケーの私が言うのもなんですが。というわけで…エンタメなんだからと目をつぶるには、ちょっとギリギリの荒ではないかと思いました。

そして、個人的な感想ですが、展開がやや神がかり過ぎる気もします。主人公の女の子の家が「神社」であることから、この事態が、「なにかしら神の手」によって引き起こされているというのが、とても強引に感じられたのです。神事で女の子が口に含んで作った酒(口噛み酒)を男の子が飲むことで、再び入れ替わりが始まるという理屈もよくわかりません。現代劇だからこそ、呑み込みにくいのです。
また。
大災害直前、最初は完全に拒否していた父親が、なぜか急に避難命令を出す行動原理にも首をかしげました。(これは原作を読むと詳しく分かるそうですが、映画を観るだけだとよくわかりませんでした。代々、入れ替わりをしてきた家系なのだ、という伏線はありましたけど)

そしてラスト。
実は、ラストに一番不満がありまして…。
二人が再び出会ってしまうのは、ハッピーエンドに傾きすぎで、個人的には白けました。あれは…、『ガンツ』のラストみたいに、お互いの記憶が消え、二度と出会わずに終わってほしかったなあ。あくまで村を救うためだけの「神の御業」であったとドライに描く方が、展開がご都合主義では? という意見も出ていることだし、バランスが取れていたように思います。二人が離れてから間もないのならばともかく、再び出会うまでの期間が長いわけだから。「ん…? 大学時代に何にもなかったのかなあ…」と意地悪な見方をしてしまいました。「結ぶ」「繋がる」がテーマとはいえ…ちょっと、やっぱり…綺麗に収まり過ぎるのかなあと。

とはいえ。本作のクオリティの高さは凄いもので、満足度の高い映画鑑賞であったことは事実です。

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そして。
監督の「新海誠」がポスト宮崎駿だと言われるくらいの、爆発的なヒット。
しかし、正直このヒットは意外に思えて仕方ありません。冒頭で言ったように、劇場に中高年の観客が多かったことが、不思議なのです。いくら映画が面白いといっても、予告編から受ける印象や、実際の中身の主な部分は、「現代の高校生の青春劇」 宮崎駿の作品のように、全世代を取り込めそうな雰囲気ではありません。もしや、1950年代の日本映画「君の名は」とタイトルが同じことが、中高年の追憶の情をくすぐったとでも言うのでしょうか。それとも、それこそ映画のテーマのように、口コミで人から人へ、評判が繋がり、紡がれていったのでしょうか。いずれにしても、監督も凄いけど、プロデューサーももの凄いプロデュース力だなあ、と思うものです。

全世代を「結んだ」新海誠は、この先もエンターテイメント街道を走るのか。
にわかに、日本のアニメ界がざわついていることでしょう。ポスト宮崎駿の先鋒「細田守」や「庵野秀明」に、大きな刺激を与えることになっているならば、ファンとしては楽しみなところです。


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Posted on 2016/09/29 Thu. 20:31 [edit]

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