素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

この世界の片隅に 耐えがたきを、耐え。 


 この世界の片隅に
 この世界の片隅に
 (2016年 日本映画)  95/100点


いやあ…もう、いい映画だ…。まいったなあ…。感想が浮かばない。もう、言葉がないです。観終わって数日経っても、ふわりと思い起こす度に心をつままれてしまっていけない。コトリンゴの「悲しくてやりきれない」が頭の中をずっとリフレインしとる…。広島弁が頭から離れんのじゃあ。

これは、大傑作なんでしょうね。

昨年末から話題騒然の本作ですが、正直、まるで期待していなかった映画です。
予告編を見ても全くピンと来ず…、絵柄も好きじゃないし、なんか文科省推薦みたいな行儀良い映画なのかなあ…くらいの認識だったものです。
しかし。
公開されてから聞こえてくるのは、「絶賛」…というよりも「驚嘆」の声・声・声。

これほどの映画が、『シン・ゴジラ』や『君の名は』、その他奇跡のように優秀な映画が多くておなか一杯になっていた2016年の年末に現れるとは、そりゃもうね…
もえあずが決勝で全然食が進まないのも仕方ない!(たまたま、テレ東の『大食い世界一決定戦』を見たもんで…)

それで本作ですが。

もう、泣くしかないでしょうが。
オープニングクレジットが出てからというもの、ずっとウルウルしてましたよ。
決して、「泣かそう」としているわけでもない、何でもないシーンであればあるほど、ウルウルくるのはなんででしょうね。

過酷なはずの第二次世界大戦下。苦しい生活の中で、懸命に生きていた人々の。
「何でもない、何でもない」日々を描き出します。
それも、自然体に明るく。笑えるときは、笑っていこうやと、前向きに。

何となく…ここで予告編を。まだ見ていない人には、ぜひオススメだなあ。




中盤まで、戦争の影はあまり見えません。
ひょっとして、このまま平和なままで終わるような。
そんな錯覚をしそうになるほど。
けれど。
舞台は、広島・呉。
先に何が待っているのか、我々観客は知っています。刻一刻、その時が近づきます。
主人公のすずは、広島から呉に嫁ぎますから、その難を逃れるのかな…、どうなるんだろうな…。
映画の終盤を感じるにつれ、増していく空襲の激しさに、画面を見るのが次第に怖くなっていくのでした。

すずは、不器用な性格で、とてものんびりとした人です。
絵を描くのが、唯一の楽しみです。
風の吹くまま、ひらひらと流されて生きるような人にみえます。
けれど、すずは耐えていました。当時は、みんなが耐えて生きていました。
困難にも。不遇にも。時折感じる人の無神経さにも。信じがたい暴力にも。

耐えに耐えていたから。

終盤で見せたすずの激しい怒りは、心の底まで響きました。

まいった。

まいったなあ。


登場人物が、みんな印象的です。
それは、すずの声を務めた「のん(能年玲奈)」を筆頭に、声優さんたちの素晴らしい演技があったからこそです。一番心に残ったのは、当初意地悪なイメージで登場した、すずの夫の姉でした。すごく巧いよなあ…。

学生時代からの憧れだった「水原先輩」とのエピソードは、少しどきりとするような、大人のロマンスが見えて面白かったです。こういう映画に「恋愛ごと」を入れられるのは本当は嫌いですけど、本作では、丹念な「日常描写」の間にあるから、そのギャップがかえって良かったです。
夫の思惑。すずの思惑。水原の思惑。とても上質な描写でした。

そこで水原が呟く、「普通であることの大切さ」
それは、何も戦争の時代に限ったことではありません。
「いやあ、今が平和でよかった」という風には、思いませんでした。いつの時代でも、悲劇はいくらでもあります。「普通」であることは、いつでも一番難しいことなのだと思っています。「普通であること」とは、有るのが難しいこと。有り難いことなのだと、思います。

さて。

…。

あまりにいい映画だと、かえって下手に感想を書きたくなくて、どう書いていいやらわかりません。

もう一つだけ。
本作は「戦争批判」ではあるんですけど、決して、誰が悪いとか、そういうことに言及しません。「戦争を描く」こととは、そういうこととは違うんだと思います。
まだ、もう一つ。
本作には、「悲劇」による残酷さを、過剰に見せつけません。物足りないという人もいるかもしれませんが、私なんかには、それが逆に印象に残ります。
そしてそして、もう一つ。
本作で描かれる「失ったモノ」は、途方に暮れるくらい大きなモノでした。
けれど、耐えがたきを耐えながら、片方の手で、いつだって希望を握りしめようとする底力を、本作に強く感じます。

あとからあとから、そうしていろいろと頭をよぎってくる映画です。

一人でも多くの人が、この映画を目にするといいですね。
なので、変なネタバレをしない内に。今日は、ここまでで。


   

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったら、クリック1票お願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
<スポンサードリンク>

関連記事

Posted on 2017/01/05 Thu. 22:44 [edit]

TB: 0    CM: 0

05