素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

パルプフィクション(前半の感想) 映画史は、ここから新しく始まる。 


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 パルプフィクション
 (1994年 アメリカ映画)95/100点


あけましておめでとうございます。
新年1発目は、100記事目ということで、やはりフェイバリットな映画で書きたいと思いまして、自身の映画鑑賞史上3本の指に入る本作をチョイスしました。
クエンティン・タランティーノ2作目にして、世界を驚愕させた本作。
カンヌ映画祭グリンプリを獲得し、それ以後の映画に多大な影響を与え、はっきり言って、映画史が「パルプ・フィクション」以前以後に分かれるといっても過言ではないほどの傑作だと思っております。

低俗小説のような複数の物語が微妙に絡み合って描かれ、時間軸を自在に操った構成や驚くほど印象的なセリフ、抜群のセンスが効いたバイオレンスやシチュエーション。愉快なキャラクターたち。

まー、不思議の国のマフィアたち。いわば、大人のファンタジーといってもいいいくらい。

順を追って書いていきたいと思います。


・オープニング

無題1
ハニー・バニー(アマンダ・ブラマー)「I love you,Pumpkin.」
パンプキン(ティム・ロス)「I love,Honey Bunny.」
「Everybody be cool,this is a robbery!」
ハニー・バニー 「Any of you fukin`pricks move and I`ll execute every motherfuckin` last one of you!」



ファミレスでだらりと時間を潰しているように見える不良カップル。
その会話は何とも専門的な強盗のお話。
何でも商店への押し込み強盗は、逆に店主のショットガンの返り討ちにあってしまう恐れがあると嘆く男に対し、女は「殺しは嫌だわ」と可憐な(?)言葉で返します。「でもカタギも嫌だわ」と直後にぎろりと男を睨む。
男は提案します。
「こういうファミレスは保険に入ってるから、無駄に抵抗しないんだよ」
「わお、頭いいじゃん」と女。
「ほいじゃあさ、ほいじゃあさ、今からやんのよ、すぐここで」
途端に二人が豹変します。
「ちょっと強盗してく?」ぐらいのカジュアルなノリで始まる強盗シーンですが、良い子はマネしちゃだめだから!
ハニー・バニーの豹変した声色が面白いけど、言い終わった直後に、今や誰もが知っている名曲にのしあがった「MISIRLOU」が響きながらOPクレジットが始まるかっこ良さといったら!
しょっぱなから心臓をわしづかみにされること間違いなし。

無題2
ビンセント(ジョン・トラボルタ)「They call it a Royale with Cheese.」
ジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)「what`d they call a Big Mac」
ビンセント「Well,Big Mac`s a Big Mac, but they call it Le Big Mac」



オープニングの強盗シーンは、おっぱじまったところで終わり、すぐに別の場面に移ります。
車でどこかに向かうマフィアの手下二人組。
ヨーロッパ帰りのビンセントが、相棒のジュールスにおみやげ話を聞かせています。
「ビッグマックのことを、ル・ビッグマックって呼ぶんだぜ~」とおもろいのかどうかよく分からないながらも、ケラケラと笑う二人につられて頬が緩むような和やかな場面。
凶悪なマフィアの手下には、この時点ではあまり見えません。
目的地にたどり着きながらも二人の会話は続き、今度ビンセントがボスの出張中に奥さんを接待するという話に。
ジュールスは警告します。「気を付けろ。以前ボスの奥さんをマッサージした男は、窓から突き落とされたぞ」 と、ビンセントをぞっとさせます。
「それ以降、言語障害が治らない」
さらにぞっとさせます。
もちろん、これ伏線です。
ボスの奥さんの接待は、とにかく慎重にしないと大変だということ。

無題3
ジュールス「Ezekiel 25:17.The path of the righteous man is beset on all sides by the inequities of the selfish and the tyranny of evil men.Blessed is he who, in the name of charity and good will, shepherds the weak through the valley of darkness, for he is truly his brother`s keeper and the finder of lost children. And I will strike down upon thee with great vengeance and furious anger those who attempt to poison and destroy my brothers. And you will know my name is the Lord when I lay my vengeance upon you.」


ビンセントとジュールスは、ボスの金を持って逃げたチンピラを追っていたのでした。
ここから、二人の、特にジュールスの「ヤバイ」存在感が浮き上がってきます。
穏やかならぬ眼力を放ったまま、炭酸飲料を一気飲みしたり、 「なんともファッキングなお利口野郎だ」と褒めながら震え上がらせてみたり、 チンピラの一人が「言い訳」を始めるやいなや「ふむふむ」と聞いてるふりして、直後にチンピラ仲間をあっさり射殺してみたり。「ん? すまん。今何かしゃべってたか?」
もう何も言えなくなるほど怯えるチンピラなのであります。
タランティーノ映画の特徴ですけど、「もーこりゃ、助からないだろうなあ」というシチュエーションでの恐怖の煽り方がうまい、うまい。そいで、予想通り助からないでやんの。
「マーセルス・ウォレス(ボス)は、商売女か!?」
とわけの分からない問いかけをほとばしらせるジュールス。
「え? え?」
とチンピラが戸惑うと、「英語がわかんねーか!」とブチギレるジュールス。言いがかりですやん。
チンピラがかわいそうになってきます。なんかチンピラって顔してないしね。不思議なキャスティング。
散々におちょくったあげく、ジュールスは処刑を実行します。
この場にふさわしいという聖書の一節を唱えながら。
それが上記のセリフです。
当時はブームでしたから、このセリフを覚えたりなんかしちゃったりして。
「イジュキュエル、トニファーイブセブンティーン…」って具合にね。
「…グレイトベンジェンスエン、フューリスエンガー…」って具合にね。
「…エニュウィノー、マイネイムイズアロー、フェナイレイマイベンジェンスアポンニュー」って。
処刑直前に決め台詞を述べるというのは、千葉真一の「ボディーガード牙」という映画のオマージュらしいですが、マニアック過ぎです。

第1章 ビンセント・ベガとマーセルス・ウォレスの妻

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司会者「Young lady, what is your name?」
ミア(ユマ・サーマン)「Missus Mia Wallace.」
司会者「And, uh, how` bout your fella here?」
ミア「Vincent Vega.」
司会者「All right, let`s see what you can do.Take it away!」



第1章のしょっぱなは、ブルース・ウィリスの正面から始まります。
マフィアのボスから「ボクシングの八百長」を依頼されるボクサー・ブッチです。
「プライドなんて、糞喰らえだ!」
というボスの説得に、「八百長を了承」してみせるブッチなのでした。
そこへビンセントが現れ、ブッチに絡みます。
「何見てんだ、あほ野郎」と、子供並みの悪口を、何の前触れもなくブッチに浴びせるビンセント。
これもまた、この先の伏線でした。

そしてビンセントは、先の話でも出てきたようにボスの奥さん・ミアの接待に出かけます。
ばっちりヘロインできめて準備万全(?)なビンセントは、ミアの家に迎えに行きます。
別室の部屋からマイクでビンセントに話しかけるミア。
ミアは変わり者でいて、ミステリアスで無邪気な女性として描かれています。
場面はレストランへ。
タランティーノの趣味全開、「僕の考えたレストランの内装」とばかりに、映画オタクな作りになっております。
きっと将来、こんなレストランを経営したいんでしょーなー。
タランティーノ作品の特徴ですけど、しっかり作り上げたセットを「隅々まで映したい願望」に突き動かされ、長回しで店内をうろつくビンセントの背中を、撮影カメラは追っていきます。
よほど隅々まで見せたいのか、ミアとちょっとはぐれたことにして歩き回らせております。
マリリン・モンローのような店員が、モンローのように下からの風でスカートを巻き上がらせる演出などなど、映画のキャラクター達がなりきりの給仕として動き回っています。
確かに…「あったら行ってみたいこんな店」に見事に仕上がっているのがすごい。

無題6


このレストランシーンは、ホントに摩訶不思議です。
緩慢な時間が流れ始めるのに、一切退屈しないこのテンポは一体なんでしょう。
バニラシェイクが5ドルもするのもなぜなんでしょう。でも「a pretty fuckin` good milkshake」なんです。飲んでみたい…。映画史上で言えば、「天空の城のラピュタ」の「目玉焼きが乗ったパン」に勝るとも劣らぬ、すげー引き付けられる食べ物ですわ!
オープニングでは散々饒舌だったビンセントですが、やはり初対面のミアには、大人しめです。
沈黙の時間が流れたりして、ミアに「この気まずい感じ、イヤ」と言われてしまいます。
ミアにせっつかれ、何とかひねり出した話題というと…
窓から突き落とされた男の話ってほんと?
…うーん。バッドチョイス?

その後、ダンスコンテストのシーンへ。
だからこその、ジョン・トラボルタキャスティング。
ミアとビンセント。二人して奇妙なダンスを踊った後、見事に優勝。

さて、夢のように楽しいひとときを過ごした二人は、帰路につきます。
かなり「いい雰囲気」になる二人ですが、いかんせん、ミアはボスの奥さんですから、ビンセントは洗面所に入り、鏡に向かって自分に問い質します。
紳士に対応して、帰るんだと。
気持ちを固め、いざ「サヨナラ」と洗面所を出た瞬間、ビンセントは悪夢のような光景を目にするのです。
ミアが、ビンセントの上着から拝借したヘロインを多量に摂取したため、泡を吹いて倒れていたのです。
死ぬかもしれない…
「ミアにマッサージをしただけの男」は、窓から突き落とされました。
ミアを死なせてしまったら、まず間違いなくビンセントには「死」の制裁が訪れるでしょう。
天国から一気に地獄へ落ちる場面です。
ビンセントは車を爆走させ、ミアを麻薬の売人のもとへ連れて行きます。
あからさまに迷惑そうにする売人でしたが、ビンセントの気迫に押され、やむを得ず救助することを決めます。
決めますが…なんとも救助方法がザツ。素人同然。体中にピアスを付けた売人の奥さんは「出てってもらえ!」と喚き散らすし、ビンセントは冷静さを失っているし。この場面、ワンカットで撮影したりしていて、なかなか臨場感・緊張感に溢れた名シーンです。

その後、何とか助かるミアでしたが…
ビンセントの憔悴しきった様子が何とも気の毒ですけど、嵐が去った後の静けさが、どことなく美しいです。
そして、ほんのわずかに心が通じるミアとビンセントなのでした。

ミア「Okay.Three tomatoes are walking down the street, a poppa tomato, a momma tomato and a little baby tomato.The baby tomato is lagging behind the poppa and momma tomato.The poppa tomato gets mad, goes over to the baby and stamps on him-and says:`catch up.`」…「ケチャップ!」

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第2章 金時計

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エスペランザ「I want to know what it feels like to kill a man.」
ブッチ(ブルース・ウィリス)「I couldn`t tell ya. I didn`t know he was dead. Now I know he`s dead , do you wannna know how I feel about it? -I don`t feel the least little bit bad.」



第2章は、ボクサー・ブッチの話です。「金時計」とは、ブッチのひいおじいちゃんの時代から代々受け継がれてきた大事な形見の品物です。ブッチの父親は北ベトナムの捕虜収容所で死にました。死ぬ寸前まで、これを尻の穴に隠していたとか。父の死後、同じく捕虜で友人のクーンツ大尉(クリストファー・ウォーケン)が2年間尻の穴に隠したという、努力の賜物なのであります。その「金時計」にまつわる、なんとも「尻」の痛くなる話…

第1章の冒頭で、マフィアのボス・マーセルスに「八百長」を促され、「承諾して」みせていたブッチですが、見事に裏切り、試合では相手選手を殴り殺してしまいます。
あろうことか、八百長の噂をばらまき、自分の勝利のオッズを跳ね上がらせておいて、こてんぱんに相手を倒してしまったのです。
当然激怒するマーセルス。ビンセントら手下を集めて、飯茶碗の中まで探し回れと本気モードに。
その傍らに、ひょっこり立ってるミアに向かって「こないだはどうも」とあいさつするビンセント…と微妙に交差する物語が楽しいです。
ブッチは、タクシーに乗って隠れ家に逃げます。
そのタクシーの運転手が、またもや不思議な雰囲気のスペイン人女性。これまたミステリアス。
ブッチに「人を殺した気分は?」としきりに聞いてきます。
「何とも思わねえ」とブッチ。
所々で印象的なキャラクターを設置し、意味のあるようなないような、思わせぶりなシーンを挿入しては、ほろ酔いするような困惑を観客に与えるところが実に憎い演出です。

隠れ家のモーテルには、ブッチの恋人・ファビアンがいます。
ちょっとロリコン風な女子です。
とろい雰囲気なんですけど、ブッチは笑って彼女をよくからかいます。
ところが…。
部屋の中に、大事な「金時計」が見当たらないのです。
絶対になくすわけにはいかない「金時計」
なんとファビアンが自宅から逃げ出す時に忘れてきたというのです。
さっきまで幸せそうに笑っていた二人の間に、背筋も凍るような空気が流れます。
またしても、天国から地獄。痛々しくなるシチュエーション。見ている方がつらくなるほどです。
べそをかくファビアンに、なんとか冷静さを取り戻し、ブッチはマフィアが見張っているかもしれない危険な自宅へと向かうのでした。

そして自宅。
何も起きないわけがない。ある因縁がここで炸裂します。

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その後、幸運の「金時計」を手にした割には、運悪くマーセルスと出くわし、逃げる際に異様な男たちに拉致されてしまいます。
こいつらはマフィアではない狂気の集団です。
その男たちは、マーセルスまで、そんなマフィアの大物とは知らずに拉致。
ここから驚愕の「尻」の痛い話が展開されます。
オープニングのジュールスの「マーセルスは売女か!?」のセリフと「金時計の逸話」がこんなところで伏線として働くとは。まさに「パルプフィクション」低俗の極み。笑う所なのか、深刻なのか、リアクションに戸惑う奇妙なシーンの連続。
マーセルスの激怒は、もはやこの男たちに鞍替えし、男たちは何とも哀れな顛末を迎えます。その代わりに、ブッチは無罪放免。そそくさと街を出ていくことになるのです。

無題9
ブッチ「Zed`s dead, baby,zed`s dead.」


さあ、思いがけず、長々となってまいりました。
今年はもうちっと短めな感想文を心がけようかなあと思っている矢先に…!

後半へ続く。

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Posted on 2013/01/01 Tue. 23:00 [edit]

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コメント

とても愛情の籠ったコメントに感動 

たまたまテレビでやってたので、録画したのですが。
ネットで他の方のレビューでも見ようと思いまして。
タイチさんの感想に感動しました。
これほど、詳細に画像入り、英語の台詞入りで、愛情ある分かりやすい解説を見たことがありません。
何回も見た映画で、ビデオまで買った映画なのですが。
このレビューはとても分かりやすく役に立ちました。

URL | 赤間俊秀 #- | 2014/05/01 22:41 | edit

赤間俊秀 様 

コメントありがとうございます。

めちゃくちゃ褒めていただいて、すごく嬉しいです。
いつもは適当に書いているのですが、
パルプフィクションは、自分の中のベスト3に入ってまして、
頑張りました。

報われた気がします。

ありがとうございます!

URL | タイチ #- | 2014/05/01 22:45 | edit

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