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ダークナイト・ライジング 伝説は、壮絶に…失速した? 


 無題
 ダークナイト・ライジング
 (2012年 アメリカ・イギリス共同製作)75/100点


最初に誤解のないようにお伝えしますが、本作はとても面白いです。迫力も十分にあります。まさにA級のアクション映画だと思います。
が…、しかし!
これは、泣く子も黙る大傑作「ダークナイト」の続編なのです。
期待値は相当なもので、このハードルは容易に越えられるものではありません。
早々に感想を言ってしまえば、「越えられなかったね」となります。それほど前作の衝撃は計り知れないものでした。
そもそも続編を作る意図が初めからあったわけではないようで、監督のクリストファー・ノーランは、本作制作の前段階で、映画会社に対し「優れた3作目など、見た事がありますか?」と弱気のような意欲のないようなことを述べています。
そういう場合、続編の物語やアイディアには、無理やりひねり出しました感が出てしまうものですが、確かにそれが本作にもにじみ出ていたように思います。

私が一番残念に感じたこと。それは、前作「ダークナイト」では誰もが知っている「バットマン」というマンガ原作を、非常にリアリズム溢れた犯罪映画に昇華させていたのに、本作では一気に内容が「マンガ」になっていた点です。
(私は原作を読んだことがないため、映画のテイストが原作に忠実なのか、ノーラン節なのかどうかわかりません。その点はご容赦ください)


どの点がマンガチックだったり、残念に思ったりしたかといいますと…

・キャットウーマン(アン・ハサウェイ)
ハル・ベリーが演じた映画「キャット・ウーマン」は大コケしたそうですが、ノーラン版「バットマン」では、今回が初登場のキャラクターです。が…、正直、必要なキャラクターだったのかよく分かりません。
主人公のブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の指紋を盗んだり、バットマンをダマし敵側に売ったり、いわゆる峰不二子キャラですけど、単にお色気女性キャラで画面に華を添えたかっただけのような絡み方に過ぎません。正直、彼女を出すくらいなら、敵のベインのキャラクターをもうちょっと掘り下げた方が良かったように思います。後述しますが、後半かなり駆け足な展開でしたので…。
アン・ハサウェイのピッチリしたコスチュームが見ものっちゃあ見ものですけど、バットマンと並び、その姿は「イタい人」ぎりぎりのライン。格闘がややドン臭いのも気になりました。
ただ序盤に、貞淑なメイドから本性を表した時、急に性悪そうな表情と声色に変わるのでビクリとしました。そこだけは良かったかな…?

   無題


・虎の穴
後半に、バットマンであるブルース・ウェインが、ベインに敗れて落とされるこの世の地獄という場所。
容易には登ることのできない深い穴の下の牢獄です。ウェインは、ベインによって立ち上がれないほどの重傷を負わされ、この場所へ落とされますが、その場にいた医師の荒療治のおかげで見事に再起。おまけにベインの弱点や己の弱点克服法まで教えてもらい、完全復活で穴倉を登りきります。いわば、カリン塔みたいなものです。精神と時の部屋みたいなもんですね。死の淵からよみがえったサイヤ…バットマンは、さらなる強さを伴って旅立ちます…って、その場所、果たしてどこだったの…? ゴッサムシティ内じゃないよね? どうやって街に戻ったの? 
「登りにくい」という表現も、いまいち分かりにくかったような…つまり「跳躍力」が大事ということは、よくわかりました。

・空飛ぶ車
最新メカです。戦車のようにごつくて、アメリカンなデザインです。個人的には、もうちょっとシャープなデザインの方が好きですけど。これがびゅんびゅん飛び回る姿は非現実的。ベインも呆れ気味に見つめておったような(?)

・核爆弾
で、でた! アメリカ人に核爆弾を描かせると、いかに無知なのかがよく分かります。街から10キロ以上離れた先で爆発さえときゃ大丈夫だよね、という認識は、日本人からすると失笑もんです。「はだしのゲン」読め。

・肉弾戦
銃使え。(特に敵側)

・時間の進度が遅すぎ。
時限爆弾のリミットまであと何分みたいな描写では、信じられないくらい時間の進みが遅いです。さっきあと10分って言ってて、ごたごた移動したのに、まだあと9分あるって何? みたいな。
あと数分で核が爆発するって時に、敵のしんみりした独白にのんびり耳を傾ける一同って何? みたいな。

・敵の忠誠心がよくわからない。
ショッカーの戦闘員が、いったい何のためにショッカーに所属しているのかなど、問うては野暮なんですけど、本作では、ベインの手下が「死」をも受け入れるほどベインに忠誠心を持っています。よく理由が分かりませんでした。ま、これは前作にもあった疑問点ですけど。

・警察署長の死にざまがコント
ワざと? というくらい、コントのようなカットのつなぎ方でしたよ。

・ベインの死にざまがコント
だから最初から銃器で倒せと。
それは「反則だ」とか、「主義」に反するとか言うけど、ゴッサムシティが核で消滅するところだから。

・最後のボスの死にざまがコント
安っぽい時代劇のようでしたな。「この恨みをぉぉ…」がくっ。みたいな。

・前作同様、市民の悪意を掘り下げるかのようにみせかけて…。
これも残念だったかな…・。仕掛けた核爆弾のスイッチを市民の一人が持っていると、ベインがゴッサムシティの市民に流布するのですが…前作でもあった「一般市民が悪側に振れる瞬間」を狙ったのかと思いきや…何の効果も帯びていませんでした。(少しの希望を持たせることで、後の絶望感をより深くしようというベインの狙いだったそうですが…。イマイチよく分かりません。)

いかん! 悪口大会のようになってきたので、この辺りで良かった点をあげていきます。
本作は何度も言いますが、「及第点」を軽く超えている映画です。
しかし、期待値がでかすぎた。前作が良すぎた。「ナウシカ」と「アリエッティ」を、同じジブリだからと比較するようなものです。


・緊張感
ハンス・ジマーの音楽がドンドンと盛り上げて、独特の緊張感があります。
禍々しい事態が迫っている感じ。ハラハラさせます。
地下道・スタジアム爆破までのシーンは驚愕でした。美しい声色の少年が歌うアメリカ国家に聞き惚れながら、粛々と爆破スイッチを押すベインの澄み切った狂気。爆破シーン自体はCMで流しちゃってたから、鑑賞前に思いきりネタバレでしたけど。

・高揚感
終盤ですけど、これまたハンス・ジマーの名曲が心を揺さぶります。
バットマンは果たして無事だったのかどうか。
そして、一介の警察官として闘ったジョゼフ・ゴードン=レヴィット演じるジョン・ブレイクの正体とは?
ラストは最後の最後まで重量級に魅せます。

・ベイン
トム・ハーディが演じているとは思えないパワー重視の超凶暴キャラクター。
まさにリアルジャイアン!
低音のダミ声は、それこそジャイアン!
終盤、ちょっと心ある所を見せるのも、憎いぜジャイアン!
いわずもがな、前作の敵キャラである「ジョーカー」は映画史に残る悪人ぶりでしたから、とてつもないプレッシャーがあったと思います。そのプレッシャーを押しのけ、トム・ハーディーは見事に演じきりました。
しかし、やはり脚本の方の問題で、キャラクターの掘り下げが全く足りない気がしました。終盤、もっと彼の内面や背景が描かれるべきだったと思います。惜しい。

   無題1


き、気が付いたら、いい点を思い出せなくなっている…。
前作が偉大というのは、続編にとってここまでツライものなのか。

・バットマンの操るバイクのタイヤが、方向転換の時にゴリュゴリュっと自在に動くのが楽しい。
・場を引き締めるモーガン・フリーマン
・遠景で見せる、どこかしら情緒感のある橋の爆破シーン。
・ゴッサムシティからの脱出を試みる市民と、渡らせまいとする軍の橋の上での攻防。
・ラスト、デジャブのように見せるウェインの執事(マイケル・ケイン)の視線の先。


……。

本当は、まだまだ良いシーンはあったと思いますけど、なぜだかうまく思い出せないのは、やはり前作の呪縛なのかもしれません。それほどに、前作「ダークナイト」は凄かったのでした。

   無題2


↓とはいえ、本作は高評価をされる方がかなり多いです。
・カゲヒナタのレビュー/希望と絶望の戦い「ダークナイトライジング」

・ノラネコの呑んで観るシネマ/ダークナイト ライジング・・・・・評価額1800円


 

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Posted on 2013/01/05 Sat. 23:59 [edit]

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