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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

ルーパー /ブルース・ウィリス版ターミネーターだった。 


 無題
 ルーパー
 (2013年 アメリカ映画)
 80/100点



ブルース・ウィリスの出演作の多さって何なんだろうーなー。

本作上映の直前、ブルース・ウィリスが出演する別の映画予告を3つも見た(見せられた)もので、そう思いました。
『G・Iジョー』の続編に最強の助っ人役という、エクスペンダブルズの二匹目のどじょう過ぎる出演や、もはや『ダイハード』の続編と他のアクション映画の区別など完全に放棄した出演や、相変わらず刑事ばっかりという、舘ひろしも真っ青の出演など。
ひたすら数をこなしてます。

B級な雰囲気の映画にもいそいそと出るものだから、ブルース・ウィリス出演=B級というイメージが付かないか、他人事ながら心配になります。

そして、本作にもブルース・ウィリスが出演しています。

本作の海外での評価は高く、監督・脚本のライアン・ジョンソンが数々の賞を受賞しています。
観終わった感想は、確かに「ウルっとした」けど、「矛盾いっぱい」「唐突にターミネーター化」「仰天の倫理性無視」…という感じで、佳作と傑作の間の印象でした。

ただ。
斬新さを狙っているのがよく分かるし、意外性もあって面白かったです。

まず、あらすじを簡単にいうと、「未来の世界でのマフィアの処刑方法は、始末したい標的を過去に送り込み、そこでルーパーと呼ばれる殺し屋に始末させるというもの。ルーパーの一人であるジョセフ(ジョセフ・ゴードン・レビット)は、日々自堕落な生活を送りながら、粛々と人殺し業をこなしていく。ある日、いつものように銃を構え、過去から転送されてくる標的を待っていたのだが、目の前に現れたのは30年後の自分(ブルース・ウィリス)だった。30年後のジョセフは、未来で犯罪王に成長する子供を殺しにやって来たのだった…」というお話。


<結末以外、ネタバレします。>


意外だったのは、ブルース・ウィリス演じる年老いたジョセフ(オールド・ジョー)が、善人側ではない、ということ。
未来で犯罪王となった男を過去で探し出し、子どものうちに始末するためにやってきます。まさにターミネーターな目的なわけです。

アスピリンを欲しがるシーンがあったので『ダイハード3』のオマージュかなと思っていたら、後半のウィリスの殴り込みシーンなんて、まんま『ターミネーター』でビビりました。『ターミネーター』のオマージュか! と思ったけど、ちゃうちゃう! あっちはシュワルツネッガー! と心の中で突っ込んでました。

子供を守るのは、25歳のジョセフ(ヤング・ジョー)です。彼は善人側。『ターミネーター』でいうところのカイルです。

子供の母親・サラ(エミリー・プラント)はライフルをぶっ放し、斧を振りかざす屈強な女性ですから、まさにサラ・コナー…、ありゃ、名前も一緒じゃん!?

狙われる子供は、ジョン・コナーのような少年ではなく、まだ幼児ですが、驚異的な芝居を見せます。
目つきに影があり、本当に将来の犯罪王を思わせるのでびっくり。二枚目ではなく、ぽっちゃりした顔つきがむしろ可愛らしい配役です。

ストーリーは複雑に思えますけど、あまり考え過ぎるとパラドックスの矛盾に気づいてどんどんわからなくなるので、深く考えない方がいいです。

ようは、「未来の自分が現在にやってきて、子どもを始末しようとしているから止めよう!」というだけのこと。

本作のタイムパラドックスの矛盾は、製作者もさらっとスルーしようとしていますので、触れないであげてください。
劇中でブルース・ウィリスまでも、「複雑なんだ! あんまり言わないでくれ!」とヒステリックに机をダンダン叩いていましたから。
ヤング・ジョーは観客同様、「お、おう…」って気合い負けしていましたよ。

監督は新進気鋭の人だそうですが、作りが尖がってる感じがして好感が持てます。
・銃撃シーンやバイオレンスシーンの見せ方が凝っています。

・ヤングジョーも、ヤク中だし友達を売ったりしますので、なかなかくせ者です。

・ヤング・ジョーが、過去から送られてくる標的を待つ時の静寂が、独特です。

・未来から来た逃亡者を探すための犯罪組織の捜索手段が残酷。逃亡者の若い頃の人物を傷つけることで、未来の逃亡者の体も傷付いていくという…。

・ゲコゲコガエルの連絡装置が地味にステキ。

・ヤング・ジョーがフランス語を学んでいるのを見て、未来人の一人が「中国語の方が将来性があるぞ」と言います。フランスへの皮肉?


無題2
(アクションの見せ方、バッチリ!)


ところで。

「超能力設定」が必要だったのか疑問に思いました。
犯罪王になる子供の「ヤバさ」を強調するためでしょうけど、無理やり感は否めませんでした。

あと、オールド・ジョーがしでかす、ある完全な倫理違反シーンも首をかしげました。
必要だったかなあ。設定次第でいくらでも回避できたと思いますが。
…人によってはドン引きして、映画に集中できなくなる恐れがあるのでは? とさえ思いました。

まー、あの瞬間、映画的にはオールド・ジョーの命運は決まりましたね…。
おまけに、「この映画は何をしでかすか分かんない」と思わせることができるので、先が読めずにハラハラとするには一役買っているんですけど…。

そして。

ジョセフ・・ゴードン・レビットとブルース・ウィリスの同一人物設定ですけどね…
ジョセフは一生懸命にウィリスの口調や目つきを真似していました。その努力の甲斐もあって、似てる気がしないでもありません。
が。
ま…、髪の毛の問題はスルーして。
けど、25年前の『ダイハード』のウィリスを見ればわかる通り、ちょっとジョセフが若い頃のウィリスってのは、あんまりかなあ。大して気になりませんけど。

無題1
(この直後、ヤング・ジョーはスカルプDを買い漁ったという。わーい、やっぱ言っちゃった。)


あと。
敵キャラのキッドブルーという男が、終盤であっさりした最期だったのが無念でした。
てっきり、彼はずっと生き残った先で出世し、実はルーパーの仕切り役になるのかなーと、内心ワクワクしていたものだから。

全体的に散漫な印象もあるものの、「斬新で情感のあるSF」を描ききった秀作です。

あ、でも、こっそり突っ込んでおくと、「(反転で)ヤング・ジョーの現状が、まんまオールド・ジョーにも影響を与える」ならば、終盤にヤング・ジョーが「改心していく」なら、オールド・ジョーも「改心していく」んじゃありませんかあ?

…野暮かな?


↓こちらの感想もどうぞ!
・流転の末に 映画「LOOPER/ルーパー」/カゲヒナタのレビュー


  

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Posted on 2013/01/15 Tue. 23:35 [edit]

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