素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

ルパン三世 カリオストロの城 /これが、ほんとの名場面! 


 無題1
 ルパン三世 カリオストロの城
 (1979年 日本映画)
 90/100点



今さら『カリオストロの城』の感想もないとは思いますが、どうしても我慢ならんことがあるのです。
それは、テレビでやってる「懐かしのアニメ特集」なんかで、『ルパン三世』の名場面というと、必ず銭形のあの場面が映し出され…

番組テロップ「名場面まで3…2…1…」
銭形「やつぁー、とんでもないものを盗んでいきました…あなたの心です」
スタジオ「わぁぁぁ…(歓声)」
ってのが、むず痒くっていけない!

何度も何度も何度も何度も、ルパンの名場面といえばひとつ覚えでこのシーンとセリフばかりで、忸怩たる思いがするのです。
個人的な思いですけど、宮崎駿はそこまで評価してないんじゃないかなあ、この場面。

というわけで、毎回同じ場面だけを取り上げる「懐かしのアニメ特集」に辟易し(『アルプスの少女ハイジ』にしても、「クララが立った!」のシーンばっかり…。)、自分で名場面を掘り下げようと考えたのでありました。


『カリオストロの城』本当の名場面集。

1.偽札

無題
ルパン「前祝にぱぁっとやっかー!」


冒頭の掴みが完璧じゃないですか。
国営カジノの金庫に押し入り、まんまと大金をせしめたルパンが、すぐさま「ゴート札」と呼ばれる伝説の偽札だと見抜きます。「復讐」の意欲まんまんに、偽札作りを暴くことを決意する場面。
たまに見かけるテレビスペシャルでは、相変わらず似たような「お宝」を設定する凝り固まったプロットですが、本作では「偽札の謎」が物語の軸という斬新さ。
斬新ったって、1979年の作品ですぜ。

さらに。
フィアットの天井を開けて札束をばらまく、映画として輝いた「絵」を見せます。
もちろん、アニメでしか成立しないファンタジーな描写ですけど。(プロの強盗が、札束を見せびらかしながら車を走らせるなんてありえません)

本作は実写アクション映画に引けをとらないクオリティでありながら、アニメという利点を最大限に生かしたファニーな場面が散りばめられています。それでも、なぜかマンガチックに感じさせないところが、宮崎駿の天才的な手腕です。

(ただし、良い子はゴミの大量放棄はダメ、絶対。)


2.冒頭のカーアクション

無題2
次元「こんどのは、ただのタマじゃねーぞぉ」


まんまとカリオストロ公国に潜入したルパンと次元。
フィアットのタイヤがパンクするという、意外な整備不良。
そして、のどかな場面の直後に始まるカーチェイス。この緩急が素晴らしい。
逃走車には、ご存じのようにウエディングドレスを着込んだ花嫁・クラリス。
それを追う悪漢たち。
この騒動にビビッと楽しげな予感を感じ、ルパンも後を追います。にったりとした笑顔をたたえて。

かのスティーブン・スピルバーグが、「映画史上、最も完璧」と評したと噂のカーチェイスシーンの始まりです。
確かに、相当に洗練されています。
対向車線のトラックを避けつつ、次元の銃撃にびくともしない悪漢の「ただならぬ車」。反撃に爆弾を転がされ、これを避けつつ、ルパンは崖を登り詰めて道なき道を突っ切って回り込む。次元は特殊な銃弾を銃に装鎮。細かいですけど、弾を咥えた感じで「今度のは…」というセリフ回しがいいですな。そして見事に悪漢を撃破。
そして、BGMがルパンのテーマのジャズバージョンときたもんだから、もう完璧。
1979年より技術も上がっているはずの今、なぜこれに匹敵するものが作られないのかという不思議…。


3.潜入

無題3
ルパン「あったり~。いー勘してるぜ~」


強固に警備されたカリオストロの城への潜入のため、あえて銭形を呼び寄せるルパン。
陽動に銭形を使うとは舐められたもんですが、インターポールとはいえ、きっちりと日本の警察組織が出張ってくるところが好感ポイント。
この潜入シーンも、なんだかんだいって潜入した…、と省かれそうな潜入方法を細かに描写します。
地下水路をたどっていく場面は、泳げない、暗いとこ怖い、狭いとこ嫌い、の私にはガクブルものでした。

さて、内部潜入後、銭形にまんまと変装したルパンは護衛を心理的に操り、大混乱を生じさせます。
こんな細かいところでも、あったまいーなーと思う展開。
護衛を馬鹿にしきった銭形ルパンの顔がまた、いい。


4.大ジャンプ

無題4
ビヨーーーーーン。


本来、ルパン特有の道具を使ってクラリスの監禁塔まで移動すればいいだけの話ですけど、映画的に面白くするため、あえての大ジャンプシーンです。
完全にマンガチックであり得ない描写ですが、「あえて」の描写なので気にならずOK。しかも全然陳腐になっておらず、ウィットにさえ感じます。

(ただ、その後に塔をよじ登る為のロープが細すぎて手が切れそう…。)


5.ファーストピンチ

無題5
ルパン「そんなこといって…後で後悔するぜ」


クラリスの部屋に侵入を果たしたルパン。
実はここから始まるクラリスとの交流シーンは、あまりにルパンが優しすぎてノレなかったクチです。
ちょっとロマンチック過ぎるかな、と。
他の方のブログを見ると、この場面では、先の展開を示唆したセリフがあると知って驚きました。
ルパン「ドロボーは空だって飛べるし、湖の水を飲み干すことだってできる」
つまりこの後、落とし穴に落とされても平気であり、終盤で湖を干上がらせることの暗示だと。
…知らなかった。
初鑑賞から20年以上経って新しい発見があるとは…、ちょっと震えますね。

そして。
伯爵一味に取り囲まれて窮地に陥るルパン。
いたって冷静なのは、穴に落とされることを分かっているから…?
さて、ここからが本作のストーリーテリングの素晴らしさ。
この巧さ、今後の新作ルパンで少しでも垣間見ることなどできるのでしょうか…?


6.大逆転…からの~大ピンチ! からの~逃亡!

無題6
不二子「えりの裏よ。ルパンはいつもそこに隠すわ」


ここが、本作のみならず、個人的にはルパン全体で見ても、最高レベルの名場面。
地下からの大脱出劇の始まりです。
銭形との共闘でまんまと脱出を成功させたルパン。城内を駆け巡り、オートジャイロを奪い去るという、血沸き肉躍る大逆転を展開させます。
空中から、クラリスの監禁塔へ再び近づきます。

ここでは、不二子がアクションでもセリフでも大活躍。
クラリスから「(ルパンに)捨てられたの?」と聞かれ、「まさか…、捨 て た の」と答えたり、ルパンに「ロープを出せ」と指示され、「偉そうに言わないで」と半ギレしたり。
純潔なクラリスには理解できない渋い男女の会話が展開されるカッコ良さ。もはや熟年夫婦の域なのでありました。

そして、大逆転のままクラリス奪還を果たすと思った矢先の「銃撃」
撃ち抜かれ、崩れ落ちるルパン。
まさか!
と思ったものですよ、初見の時は。
そう見せかけて実は~、とか思ったものです。
ルパンが撃たれ、身動きが出来なくなるだなんて…。
ライトな映画に見せかけて、このハードな展開! 何度思い起こしても興奮します。

さらに痺れたのは…。
指輪を返せば助けてやるという伯爵を信じ、クラリスはルパンに指輪を渡すように言いますがルパンは拒みます。そこで不二子が「えりの裏よ。ルパンはいつもそこに隠すわ」と教えてしまうのです。またもや長年連れ添った仲間であることを伺わせる、これも大人の会話です。

前半では相変わらず「ふーじこちゃーん」な感じだったルパンが、憎々しげに「不二子のやつめ」と毒づくのが、子ども心にショッキングでした。


7.大暴露

無題7
銭形「ルパンを追っていてとんでもないものを見つけてしまった。どーしよー?」


クラリス奪還の最終局面。
インターポールから手を引くように圧力をかけられた銭形は、ルパン逮捕を名目としてカリオストロ城に再突入。偽札工場で偽札を「偶然」見つけたように装い、テレビキャスターに扮した不二子がそれをテレビ中継してしまう、これまた感涙ものの共闘!


8.ラスト

無題8
庭師「なんて気持ちのいい連中だろう」


私はどちらかというと、「あなたの心です」よりも、この庭師のセリフの方が気持ちよかった。
ようはルパン一味と日本警察組織が手を組んで、みんなでクラリスを助けたんですね。
これ、『ワンピース』ばりの一致団結の「胸熱展開」じゃありませんか!
観終わって、こんなに清々しい気持ちになれるアクション映画なんて…、そりゃ国内外探してもそう簡単にはありませんぜ。


『ルパン三世』はまだまだ作られ続けています。
一体いつになったら、『カリオストロの城』を超える、いや匹敵するだけでもいいけど、そんな作品が作られることでしょうか。
もはや叶わぬことなのでしょうか?
そう思い悩むファンは少なくないはずです。
(勝手ながら、細田守あたりに新劇場版を作ってほしい…。勝手ですけど)


<その他の一言ポイント>

・冒頭の札束に埋もれた車内の後部座席に、五右衛門が座っているとは!

・スパゲッティのうまそうなこと。

・伯爵が歩いたままジョドーに服を脱がしてもらうのは、『アイアンマン』と一緒!

・各キャラが大活躍の中、五右衛門だけはやや地味な印象。
多分、何でも切れる「斬鉄剣」の存在は、物語を運ぶ上でこの上なく厄介なのではないでしょうか。ドラえもんの秘密道具と一緒で、「そこでそれを使えば楽勝じゃん」となりがちだから。
しかしそれでも、「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ」とかろうじて名セリフを吐かせるところが、ニクい。

・いちいち音楽がカッコいい。
序盤、伯爵がクラリスの指から指輪がなくなっていることに気づき、クラリスを叩き起こそうかと思いきや、思いとどまって踵をかえす場面の音楽が、細かいけどなぜかめちゃくちゃ好き。

・とはいえ、一番好きな音楽はこれ!



・結婚式の神父にルパンが化けているのは見え見えでしたね。もうちょっと意外性がほしかった。

・終盤は、ちょっと失速している気もします。特に時計塔。
それから指輪の謎が簡単過ぎ…。なぜ伯爵はこれに気づかなかったか?

・聞けば、製作期間半年というデタラメなスケジュールだったとか。

・ルパンがクラリスに惚れかけている…というのはいらなかったかな。あくまで「おじ様」であってほしかった。つまり…、ロリコンルパン。


というわけで、宮崎駿の記念すべき第1回監督作の感想でした。
もう1回、活劇を作ってほしいなあ!!


↓こちらのブログを参考にいたしました。
[No.18] ルパン三世 カリオストロの城 <96点>/Mr.Alan Smitheeの”時には映画の話を”


 

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったら、クリック1票お願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
  このエントリーをはてなブックマークに追加

<スポンサードリンク>

Posted on 2013/02/05 Tue. 01:01 [edit]

TB: 0    CM: 15

05

コメント

死ぬ前に、見たい映画。 

叔父さんの一人ごとで、すみません!50年生きてきましたが、死ぬ前にもう一度見たい映画のNO1は、自分は、この映画です!

URL | ミツキリンタロウ #- | 2014/04/21 08:06 | edit

ミツキリンタロウ様 

コメントありがとうございます。

50才台の方こそ、リアルタイムのルパン世代なんですよね!
最近のルパンの感想を恐る恐るお聞きしたいものです。

私は、死ぬまでに、「カリオストロの城」に匹敵する「ルパンの新作」が観たい!

URL | タイチ #- | 2014/04/21 12:35 | edit

ありがとうございます! 

自分は、テレビの最初のルパン三世が好きですね。宮崎さんの作品で好きな
のは、カリ城と、未来少年コナンですね!。なんか他のは、説教臭いんで、お金を出してまで、見る気になりまん!。

URL | ミツキリンタロウ #- | 2014/04/22 08:20 | edit

追伸 

納谷悟朗さんと、山田康雄さんが、亡くなられたので、私の観たいルパン三世は、終わりました!

URL | ミツキリンタロウ #- | 2014/04/22 08:49 | edit

ミツキリンタロウ  様 

コメントありがとうございます。

残るは、次元の小林さんですが、次元を主人公にした初期ルパンのようなハードボイルド版ルパンが公開されますね。
実は、ひそかに期待しています。ひょっとしたら、テレビと違って、気概を見せてくれるような気がしています。

URL | タイチ #- | 2014/04/22 13:27 | edit

タイチさんへ 

次元ですか!良いですね!やっぱり次元はハードボイルドが似合いますよね!。なさく作品なら観てみたいです。叔父さんの一人ごとに、コメントありがとうございます!

URL | ミツキリンタロウ #- | 2014/04/22 14:28 | edit

タイチ様へ 

すみません!メールが好きじゃないんで、チェックせずに送っちゃいました!正しくは、そんな作品なら観てみたいです。世代がちがっても、ルパンを、観たい人がいてくれて嬉しいです。

URL | ミツキリンタロウ #- | 2014/04/22 14:41 | edit

ミツキリンタロウ 様 

コメントありがとうございます。

ルパンは大事な財産だと思います。

この先、きっと素晴らしいルパンが作られると信じています。

あ…、今度の実写版は、たぶん、まずい…。

URL | タイチ #- | 2014/04/22 22:48 | edit

タイチさんへ 

小栗旬の事嫌いじゃないんですが、駄作感が溢れてますね!なんで今更、実写化するのか理解できません!

URL | ミツキリンタロウ #- | 2014/04/23 03:31 | edit

 

ふじこの名台詞
「ルパンが相手なら天下御免で・・」
銭形復活
もうなんか涙でそうになるくらいしびれる

URL | ネオニートさん #- | 2015/01/19 23:50 | edit

ネオニートさん 様 

コメントありがとうございます。

何気に不二子が暗躍する感じがいいですね。
銭形警部は最近は道化役が多いけど、本来は活躍すべきキャラだと思います。

本当に名セリフが多い映画ですよね。
私も先日のテレビ放送を見直して、「あれもあった」「これもあった」
と思いました。

URL | タイチ #- | 2015/01/20 13:18 | edit

 

久しぶりに見て、惚れ直したぜ。

URL | ルピン #LkZag.iM | 2016/10/14 23:49 | edit

ルピン 様 

コメントを頂戴しありがとうございます。
もう何度も何度も観てますけど、今だに手を止めて見入ってしまいますね。
なんでしょうね、この傑作具合。
ストーリーラインが完璧過ぎませんか。
おまけに、1970年代の映画なのに、古めかしく感じない。
制作期間4カ月だって言うし…。
技術も効率も上がっているでしょうに、どうして本作を越える『ルパン』は作られないのでしょうか?

URL | タイチ #- | 2016/10/14 23:55 | edit

 

本当にこの作品は名場面、名台詞の宝庫ですよね。
ちなみに、私が推したい名場面は、ICPO上層部から捜査中止命令を食らった銭形が整列する警官隊に「全員帰国の準備をしろ」と告げるシーンですね。あのシーンは、銭形がルパンと違って組織に属する人間であり、大勢の部下の命や生活を預かる身であることを浮き彫りにしている訳ですよ。
自由人のルパンであれば、自分の信念で突っ走ることができるし、自分の本音を隠す必要もない。ところが銭形は上官としての責任を負っている為に、命令違反を強行して部下を巻添えにすることは出来ないし、部下に取り乱した姿をみせることも許さない。グッとこらえて自分一人の中に悔しさを押し込めなくてはならないんですね。
こういう"大人の責任"を自ら背負っていく銭形の姿を"永遠の少年"ルパンと対置させて描くことで、本作品が単なるヒーロー冒険譚にとどまらない、深みと重みをたたえた作品に仕上がったといえるのではないでしょうか。

URL | 次元爆弾 #- | 2017/04/30 21:50 | edit

次元爆弾 様 

コメントありがとうございます。

私も、あの銭形の哀愁シーンのは印象に残っています。
仰る通り、「組織」の人間である銭形を描いた秀逸なシーンだと思います。

銭形は、とかく「道化」のような役回りが多いです。
カリオストロの城より、渋い「ルパン対人造人間」でも、銭形は
ほとんど役立たずな描写に過ぎませんでした。

カリオストロで描かれた銭形には、
やはり宮崎駿らしい、大人(というか、中年)への愛情すら感じます。

こういった「生(なま)」の描写をもっと見たいと思うのですが。


URL | タイチ #- | 2017/05/02 15:56 | edit

Comment
list

コメントの投稿

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/112-427ce4ed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list