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必殺4 恨み晴らします 深作欣二、「必殺映画」を撮る。 


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 必殺4 恨み晴らします 
 (1987年 日本映画)80/100点


続けざまで恐縮ですが、今回も「必殺映画」を取り上げてしまいました。
本作は、「必殺」の生みの親でもある深作欣二監督(『仁義なき戦い』『バトルロワイヤル』)の作品ということで、深作色の濃いぃぃ…つまり、百花繚乱な衣装やスピーディーかつ派手なアクション、深作組として知られる千葉真一、真田広之などの役者陣が盛り込まれております。

前作がシリアスな社会派ドラマであったことへの反動なのか、今回は比較的娯楽色が強いのですが、一見すると「必殺」というより、別物のアクション忍者活劇になり変っているような気がして、またまた本作も賛否両論なのです。

冒頭から、深作欣二お得意の人海戦術が炸裂しています。
それは、白昼の奉行所内にて、乱心した侍(石橋蓮司)が刀を振りかざして暴れまわり、多数の侍たちが逃げ惑うというもの。
もちろん、その中には主人公「中村主水」の姿もあるわけです。
当然、主水は表向きヘタレのフリをしていますので一緒に逃げ惑うのですが、あれよあれよという間に、乱心侍と狭い部屋に閉じ込められてしまいます。
主水、意外に天然ボケっすな!
全編スローモーションで展開されるこの場面はドタバタコメディのような雰囲気もあり、主水によるナレーションでも「プッツン」なんて、公開当時の流行語まで出てくる始末。
しかし、同じく閉じ込められたお奉行様が刺殺され、主水は「見殺し」の汚名を着せられることに。
ちなみに、この場面の顛末は、乱心侍を部屋に閉じ込めるために表から扉を押さえていた侍たちが、一斉に部屋に倒れ掛かってくるという、実に見応えのある「絵」で終わります。

まさに今回は痛快娯楽映画だぜっ、と予告しているようなオープニングでした。

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驚くべきは、本作の悪のボス・真田広之演じる奉行・奥田右京とその側近たちの外見です。
まさに『里見八犬伝』『魔界転生』の世界のように怪しい空気をたたえた右京たちは、まさにもののけを思わせるのでした。そんなお奉行様はおらんやろー。
殺された奉行の後釜として赴任早々、同心たちに1両小判をふるまったり、主水に「私の時は、見殺しにするなよ」などと軽口を叩いて笑いをかっさらうなど、人心掌握述を備えています。とてつもないキレ者の風格から、まさに、これまでにないタイプの強大な敵が現れたという戦慄を走らせます。
ラストに訪れるであろう主水との死闘を予感させ、わくわくせずにはいられません。

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主水と敵対する仕事人・わらべや文七を演じるのは、千葉真一。
非常にアウトローな一匹狼な仕事人…ってか忍だなあ、こりゃ。
しかも一人娘と一人息子を携え、子供にまで殺しの仕事をさせるという子連れ仕事人。
主水はこの文七と、3人の殺しの標的を同時に狙うという「的争い」を始めます。
その標的とは、右京が裏で手を引く地上げの片棒を担いだ旗本の悪ガキ愚連隊のメンツです。
この的争いでは、文七は恐ろしく手際の良い殺し技で主水を圧倒。それどころか、主水さえも殺す気まんまんで仕掛けてくる無茶っぷり。
そんな文七の凶行に戸惑っている内、通りがかりの芸者に殺しの現場を目撃されて、顔を隠して逃げ惑う主水。
映画ならではの特別感溢れる展開で、しばし画面にくぎ付けになりました。

前述の愚連隊による地上げ場面の凄惨を極める大混乱シーンや、文七と右京の配下・九蔵(蟹江敬三)との一騎打ちも、映画ならではのド派手なアクションで魅せます。

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何度も言いますが、もはや「必殺」というより、もはや別物の大型時代劇の様相なのです。
そこへ「仕事人」がお邪魔しちゃてる感じとも言えます。
そのためか、主水以外の仕事人の出番は終盤しかありません。

というわけで、その終盤です。
最大の見どころは、右京の見事なまでの変わり身です。
真田広之最大の見せ場です。気持ち良かったろーなー、この芝居。
これまでは、いつでも丁寧な口調で育ちの良さや位の高さを感じさせていた右京ですが、突如本性を現すその瞬間、言葉使いや態度がべらんめー調に変化するのです。
これまでは「…でございます。されば…」なんて感じだったのが、「これでわかったろー、おめーさんはだまされたんだよーっ」って突然軽妙になるから、かっこいい。
その瞬間、側近たちの邪悪な笑顔も憎たらしく、非常に強烈です。

  無題4


直後に展開される、「右京一味」VS「主水軍団」も大迫力な殺陣。
恐らく藤田まこと本人ではなく、スタントマンが演じていると思われますが、非常にスピード感のある殺陣で圧倒されます。
さらに追いつめられた右京がさらなる変わり身を起こし、狂気をまとい始める姿も圧巻。
異変に気づいて集まってきた侍たちを、無差別にバッサバッサと切り捨てていき、もはや仕事人たちの立場を奪い取っての独壇場・大暴れなのであります。

邪魔者は全て消す男、右京。
その凶悪な刃は主水の刀を砕き、絶体絶命のピンチに追い詰めるのです。
とっさに小刀を構える、主水!
「そんな小さい刀でオレの首に届くのかよ!」
嘲笑する右京。
どうする主水!

ドキューン!

えーーーーーーーーっ!
「そんなのありかよ…」
その瞬間、観客と右京は異口同音につぶやくのでした。
主水の仲間による銃殺っすか…。
だったら、最初からそうすりゃよかったんじゃないか、な…。ハ、ハハハ…。

どうも必殺の映画ってのは、ラストに肩すかしを食らわすのがお好きなようで。

ここらで本作の欠点な部分もご紹介。

・個人的な見方ですけど、全般的に泥臭さを感じるかなあ。右京がクールでスタイリッシュな印象なだけに、作品に流れる空気のバランスが悪くて不安定に感じました。

・主水の不倫話もおなかいっぱい。これがまた、渋いというよりは泥臭くっていけない。

・で、その不倫相手のおふく(倍賞美津子)が殺されるのもありきたりかな…。必殺全般に言えることだけど、死にゃいいってもんじゃないでしょー。

・主水の仲間は終盤以外一切活躍せず。毎回思うことだけど、何故お金にもならない「危険な仕事」を引き受けるのか? ま、これは後期必殺全般に漂う疑問点ですけどね。

・前述の右京のラスト。肩すかしだなー。けど、死んだと思わせてむっくりと起き上がり、またバタっと倒れる流れは、真田広之の見事なキレ味。何回も見たくなるほどにうまい。こういう所はすごい。

全般的に高いレベルでの演出と結構な予算で作られた、にぎやかなお祭り騒ぎの本作。
見どころは多いので、「必殺」に興味のある方のみならず、時代劇映画のファンにもオススメです!




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Posted on 2013/03/01 Fri. 22:54 [edit]

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コメント

いいですよ~~ 

初めまして、ドリンコと申します。
このDVD持ってます。
サクッと見れらる痛快時代劇だと思います。
映画館で観たときは、鳥肌がたつくらいカッコよくって2回見ました。

私は九蔵がおふくにジワジワ迫ってくるおけら長屋のシーンがターミネーターのt2000のようで好きです。

URL | ドリンコ #- | 2013/12/07 22:08 | edit

ドリンコ様 

コメントありがとうございます。

この映画を見たのは、まだ学生の時だったので、
当時は、本策の「こってり感」がつらかったのですが、
大人になって、改めて見ると、「傑作じゃん・・・」と
思ったものです。

けど、おふくが死んじゃうところは、悲しいというか、
残酷な感じでしたね。痛がり方が何かリアルで。

骨太な「必殺」がまた見たいものです。

URL | タイチ #- | 2013/12/11 10:29 | edit

録画してよかった! 

正月にBSで初めて見ました。ラストのシーンの真田の変貌は鳥肌立ちました∑(゚Д゚)武器を手にした時のBGMもまたいいですね!(≧∇≦)なんかドラクエで初めてラスボスと戦うかのような感じがo(^▽^)o

URL | Pフラッシュ #- | 2016/01/06 22:45 | edit

Pフラッシュ 様 


コメントありがとうございます!

ずっとかしこまってたのが、急に、べらんめえ調に変わるのが気持ち良かったですね。
異質な強敵だっただけに、「そんなのアリかよ…」な最期はちょと消化不良。
仕事人は正々堂々と闘う必要はないとはいえ、
『必殺3』にしても、名作ではあるのに、
どうにもスッキリしないボスの倒し方をしますなあ…。

BGMが壮大なアクション時代劇でしたね。
必殺っぽくないけど、私も好きです。

URL | タイチ #- | 2016/01/07 10:13 | edit

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