素人目線の映画感想ブログ

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おおかみこどもの雨と雪 「ただのこどもの雨と雪」なら良かったのに。 


 無題
 おおかみこどもの雨と雪 
 (2012年 日本映画)75/100点


期待してました。
細田守監督は、前作「時をかける少女」「サマーウォーズ」にて、日本のアニメ界の未来を背負えるほどの力を見せつけてくれていたからです。
本作は、興行的に大成功。ここまで稼げるアニメは、有名原作ものやジブリ、エヴァンゲリオン以外には他にありません。さすがは、宮崎駿の後釜と目されていた男。
評論家の評価もなかなか高いようです。

が、しかし!

ワタシ個人としては、本作は「残念」だったのです。
いやいや、中盤までは「大傑作」だと思ったものです。
しかし、結末に向かうにつれて、まさかの大失速。

その理由を書いていきましょう。

まずは序盤。
ここもいけなかった。
主人公の大学生・ハナ(声・宮崎あおい)と、オオカミオトコ(声・大沢たかお)との出会いが描かれます。
この恋愛場面が、甘ったるくて、少々きつかった。
メルヘンチック満載で、やたら純粋過ぎるのです。相手の男がもしオオカミオトコだったら、みなさんどーしますか!?
ぎょええええーーー! 化け物じゃん、信じらんない! つーか写メ写メ! 雑誌に売り込み! 新種発見! 新種発見! …みたいになるでしょ、ふつー。 …ならないかな…?
それを、「あなただから怖くない…」ってリアクションがそれだけ…。
ファンタジーに何を突っ込んでいるのだ、と思われるかもしれませんが、描写がリアル路線でいるだけに(鑑賞前にリアル路線だと聞いていたし)、何の伏線もない突然のカレシによるオオカミオトコ告白を、極めて自然に受け入れる展開は、どうしても不自然に思えるのでした。

さらには、オオカミの姿でハナに重なる描写なんかは、ちょっとあれだねー。アメリカなんかだと御法度では…?

そういうわけで子供を授かります。

しかし、かつてオオカミコドモであったオオカミオトコは、当然オオカミコドモが人間社会で生き抜く事の大変さを知っているはずです。それにも関わらず、まだ学生の身分であったハナに子を産ませ、さらに二人目までこさえさせることに、ハナも含め、大変な無責任さ(計画性のなさ)を感じずにはいられないのです。

ゆえに。
ハナとオオカミオトコの二人が、軽薄で思慮に欠けているキャラであったらいいのですが、二人の人柄のみならず、この恋路を極めて純粋で美しいものとして描いていたので、一抹の「嫌悪感」を抱いてしまったのでした。

おじさんの嫉妬…? …かもしれませんけど。

鑑賞する人の中には、この序盤の「青臭さ」で、悪い評価を固めてしまった人もいるのではないかと思うのです。

しかし、オオカミオトコが死んでしまう描写は、とても無機質で、それがかえってドキリとさせます。
人間の手によって遺体をゴミ収集車に、ポイっと放り込まれるだけ…という。
雨の中、二人の子供を抱え、いなくなったオオカミオトコを探し回るハナの姿は大変痛々しく、この突然の残酷なリアリズム描写に戸惑います。

ここから、ハナの母子家庭描写が始まります。本編のスタートです。

二人の子供は、姉の「雪」と、弟の「雨」。
興奮するとオオカミコドモに大変身です。
ゆえに、人前に出すわけには行きません。
幼稚園に行けず、病院にも行けません。
子供を誰に預けることも出来ず、ハナは仕事にも就けません。

はいっ。ここで突っ込みどころです。
質問「生活資金はどうしているのか?」
答え「オオカミオトコが残してくれていた僅かばかりの貯金を崩しています」

それにしては、結構な月日をハナは無収入で過ごしています。
ここも気になる人は気になるでしょう。日々家計に頭を悩ます私には、どうしても首を傾げざるを得ない描写の甘さでした。

さて、そうはいっても、実は映画は段々と面白くなっていきます。

ハナの子育て奮闘記は、子育て経験者にはあるある路線であり、オオカミコドモを育てることの不便さも、子育て経験者には想像できる過酷さです。
だもんで、あれだけ訝しげに鑑賞していたにも関わらず、いつの間にかハナがんばれ! なんて気持ちになっていたりなんかして。

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物語中盤から、人目を気にして生きていかねばならない都会を離れ、ハナ一家は「コンビニもカラオケもない」田舎に引っ越します。
かなりのボロの一軒家です。
わーボロっ!」って、本作には所々「となりのトトロ」の面影が見え隠れしていますね。
ハナは生きていくために、もちろん雪と雨を育て上げるために、ボロ家を懸命に掃除し、失敗を重ねながらも農作物を育てます。
すぐに逃げ出すだろーとタカをくくっていた村人たちも、いつしかハナの頑張りを気にいって手助けをしてくれ始めます。
90歳の農村のいぶし銀なおじいちゃん(声・菅原文太)も、無愛想に見守るという不器用な優しさをハナに示し、好感が持てます。

文章で書くと、ほんとありがちな展開ではあるけれど、実はこの辺りから雪山の滑走シーンまでは、私はずっとウルウルしてました。
段々と生活が安定していく感じが、すごく気持ちいいといいますかっ!
わがままだけど生き生きとしている雪と、何事にも溶け込めない雨に感情移入しちゃったといいますかっ!
えがったー、元気よく生活できるようになって、えがったなーハナちゃーんって!(移入し過ぎ)

ハナの子育ての奮闘ぶりは、確かに非常に良かったよ!

有名俳優や声優が入り混じってましたけど、宮崎あおい始め、声優さん方は良かったです。
特に子役の人たちは驚異的ですね。

物語は、雪と雨それぞれの困難と成長を交互に描いていきます。
雪は次第にお年頃の娘に成長し、頭が良いのか、オオカミコドモ特有のお転婆では生きていけないと、いち早く察知します。
そのため女の子らしい女の子を目指しますが、クラスの男子から「獣臭い」と言われるたりし、青春の心の傷を抱えたりします。
弟の雨はというと、お母さんから離れられないひ弱な性格だったのに、次第にたくましく成長し、なんと10歳にして巣立とうとするではありませんか。

森の主に、オレはなる!ってな感じで。

   無題5


物語終盤は、要するに、そんな子供たちの成長にハナがある覚悟を示すわけなんですけど…残念なことに、映画のパワーが失速していったというか…全てが『予想通りの展開』になっていくのです。
その予想しやすい展開に制作者自身が甘えたのか、展開がまるで説明不足で唐突なわけで。それでいて、突っ込みどころも満載なわけで。

本作は、子育て奮闘記としてのリアルな場面では秀逸なものの、いざオオカミにまつわる話になると途端に陳腐になってしまうのです。
特に強く感じたのが、雪がクラスメイトの男子とお互いの秘密を暴露し合う場面のこと。
男子「オレ…お母さんが再婚するんだ…お腹に子供がいて…生まれたらオレのこと、いらないんだって…」
悲痛な少年の心の叫びです。思い切った告白でした。
一方ハナ。
ハナ「あたしオオカミコドモなの!」
マジかーーー!?
ここでその告白はベストチョイスだったかなーーー!!!????

その後、たなびくカーテンに見え隠れしながらも、結局は見せちゃうオオカミオンナの姿は、もはやシュールの極みのようにも見えたのです。

ようは、「オオカミ」設定がいらなかったわけで。

さて…。
今後も細田守監督には変わらず期待します。
本作に関しては、物語はちょっと無理が祟った感じがありましたが、映像表現や演出は非常に高度で、テンポも良くて、さすがの力量だと感じました。
まー、リクエストなんすけど…。できたら、活劇やってほしいのですよね。
実写でも出来そうなアニメーションではなくて、宮崎駿がかつて作り上げていたような活劇をやってほしいと望むのです。
本作のような物語は、もうちっと晩年でもいいのではないでしょうか?


※余談ですけど、いろんなアニメの要素があったような…。
(すべて個人的見解で、妄想を含んでいると思います)
・前述したとおり、「トトロ」色が一番見えたかな。雨がいなくなるところとか、雪がびえーんと泣く感じとか何となく。
・暴風雨が近づいてくる感じは、何となくだけど「パトレイバー劇場版」
・雪原をハナがありえない滑り方する感じが、なんとなくだけど「カリオストロの城」
・森の様子が、なんとなく「もののけ姫」
・終盤のハナの「しっかり生きて!」は、「エヴァ破」のミサトさんの「行きなさいシンジ君!」と…これは完璧にシンクロしたぞ!


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Posted on 2013/03/08 Fri. 00:00 [edit]

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