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イングロリアス・バスターズ(長文版・前半) タランティーノに、映画の神が舞い降りた! 


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 イングロリアス・バスターズ
 (2010年 アメリカ映画)95/100点


ジャンゴ 繋がれざる者』公開中のタランティーノですが、なかなかの傑作だったもので、思わず前作「イングロリアス・バスターズ」を再鑑賞しました。
4度目くらいの鑑賞だったのですが、何度見ても面白い映画というのは、人生でそうそう出会うものではありません。
改めてタランティーノの力量に感心しきりのこの頃なのでした。

というわけで、本作の感想は以前にも書いたのですけど、短文だったもので再度書いてみようと思います。

本作は、第二次世界大戦時に、「ナチ」によって支配されていたフランス・パリが舞台となっております。
レイン米陸軍中尉(ブラット・ピット)率いるバスターズの面々と、ナチス親衛隊大佐のランダ(クリストフ・ヴァルツ)に家族を殺されたユダヤ人のショシャナ(メラニー・ロラン)が、それぞれ別の方向から「ヒットラー含むナチス高官暗殺」を目論む物語。
本作は5章から成り立ち、それぞれでオムニバスのように、舞台も登場人物も空気感もガラリと変わって描かれますが、最後の5章目でそれが一つに集約されるという「パルプ・フィクション」を思わせる手の込んだ流れ。153分の長尺なのに、全く飽きず、むしろもっと見ていたいと思わせる脚本・演出は、神がかっているとさえ思わせるほどでした。

というわけで、根性出して、各章ごとの感想を上げていこうと思います。
公開からだいぶ経ってますので、ほぼネタバレで書いていくつもりです。


第1章『その昔…ナチ占領下のフランスで』

全編ワンシチュエーションでの会話劇ですが、相当に魅せます。
BGM『エリーゼのために』にのせて、ある農村一家に近づいてくるナチスの車両。
屈強な体つきの家主の男は、それを知るや何かを決意した表情で到着を待ちます。
たちまち不穏な空気が場を支配し、この先に起こるただならぬ出来事を予感させます。
そんな中、ナチスの車両がなかなか一家に到着しない…それどころか、カットが変わる度に、「車両が同じ場所を走っている」という昔ながらの映画の突っ込みどころを揶揄した表現が、小ネタとして挟まれるところが憎い。

一家に到着するのは、ナチスのランダ大佐。本作でアカデミー助演男優賞を獲得し、一躍名を馳せたクリストフ・ヴァルツの登場です。

ランダ大佐が屋敷内に案内されると、そこには美しい娘が3人…おっと、初見の時は全く気付きませんでしたが、娘の中に、今をときめくレア・セドゥ(『ゴーストプロトコル』『ミッドナイト・イン・パリ』)の姿があるとは! さすがに目の付け所がいい!
思わせぶりな視線を父親と交わしたりし、この瞬間だけの登場ですが、印象的な役割を全うします。

ここからランダ大佐の心理術満載の会話が盛り込まれていきます。
娘を褒め、出されたミルクを褒め…ランダ大佐が紳士的で丁重な人柄を強調すればするほど、奥に隠れた牙が見え隠れし、緊張感を煽っていきます。
4回目の鑑賞ともなると、意外にテンポの早いシーンであると分かるのですが、初見の時は手に汗を握って、非常に長い時間に感じたものです。
(早く帰ってくれ!)
家主も同様に永遠の時を感じていたことでしょう。

無題


この場面での会話は、ランダ大佐の申し出によりフランス語から英語に切り替えられます。
これには、二つの意味があります。
1.国がどこであれ、登場人物が英語しか話さない従来のアメリカ映画への皮肉。
2.床下に隠れているユダヤ人に会話の内容が分からないようにした計略。

と、このように、本作では「言語」が一つのテーマになっています。

使われる小物にまで計算がされていて…途中でランダ大佐が懐から取り出す私用のパイプが、まさに毒蛇を思わせる異様な色合いの上に、不自然に巨大なもので…。
…こいつ…相当にヤバイやつだ… と背筋を凍らせるのでした。
「もし、あなた方がユダヤ人を匿っていれば大問題だが、今正直に話せば、むしろ報奨金を出そう」
一気に静まり、ほほえみを消すランダ大佐。
ぎゅうっと心臓を締め付けるような静寂。
「国家の敵を匿っているな…?」
たまらず家主は「はい」と答え、涙を一筋流すのです。
すげええなあああああ。
オープニングシーンの秀逸さとしては、間違いなく映画史上トップレベルの凄さ。
一気に観客の心は掴まれてしまうのでした。

ユダヤ人の居場所を突き止めたランダ大佐は、突如フランス語に戻って言い放ちます。
「いやー、ご協力ありがとう! これであなたたちの疑いは晴れました!」
憎たらしいほど見え透いた芝居で兵士を呼び寄せ、一斉に床下に向けて銃を乱射させるのです。

床下から一人逃げ出すのは、本作のヒロイン・ショシャナ(メラニー・ロラン)。

どういう風の吹き回しか、ランダ大佐はこの小娘を捨て置けとばかりに見逃すのでした。

泣きながら必死に逃げるショシャナの姿が、非常に映える印象的なカットでした。

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第2章『名誉なき野郎ども』

場面はがらっと変わって、ブラット・ピット演じるレイン中尉が現れます。
バスターズの前で、いかにドイツ兵を残虐に倒すかを力説します。
ナチ100人の頭の皮を剥いで持ってこい!
と、どちらが悪者かわからないほどの悪意を見せつけます。
まさに「毒をもって毒を制す」
バスターズ面々はユダヤ系ばかりを揃えたアメリカ人たちです。
不気味に笑顔をたたえ、ナチを震え上がらせることに生きがいを感じている野郎どもなのです。

無題4


ホントに頭の皮を剥いでいる場面は、本作で最もグロテスクな表現で、これさえ乗り切れば、バイオレンスにあまり耐性のない方でも大丈夫…と思います。

と思いきや、捕えたドイツ兵を尋問するレイン中尉。
このドイツ兵がまた紳士的で、バスターズにも敬意を払うような立派な軍人なものだから、余計どっちが悪者かわからなくなるのは、狙いでしょうか?
仲間を決して売る事のないドイツ兵に対し、レイン中尉は不敵な笑みを浮かべて「ユダヤの熊」と恐れられる男を呼びます。
この男…あ、あれ? なんか華奢に見える…のは、監督の盟友でもある映画監督のイーライ・ロス(『ホステル』)。結構目立つ役回りに無理やりキャスティングするところが、タランティーノ特有の遊び心ですかな。

からんころんとバットの音を響かせて、ドイツ兵の前に立つ「ユダヤの熊」は何の躊躇も工夫もなく、本当にドイツ兵の頭をかち割るのでした。ハッハッハ! ホントニヤリヨッタ! タチワルイナー!

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直後、もう一人の捕まったドイツ兵があっさりとレイン中尉に情報をバラしちゃうところが、無残で笑った!
とはいえ、無傷で逃がされるわけではなく、今後軍服を脱いでも元・ナチだと分かるように、レインによって額にナチのシンボルである鉤十字の切り傷を刻まれるのでした。ここ試験に出るよーの重要な伏線ポイント。

ということで、第2章はドB級な空気感満載であり、世間の一部では、この章のエピソードはいらなかったのでは? という意見もありますけど、ようは「ジャンゴ 繋がれざる者」でも見せていた、悪い奴にはどんなひどいことしたって許されるよね! だから好き放題しちゃうんだい! という宣告でもあるわけです。

まー、ホントに無邪気な悪趣味でありました。

おっと、このままではだらりと長い文章列になっちまいますので、続きは後半にて!

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Posted on 2013/03/05 Tue. 21:02 [edit]

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