素人目線の映画感想ブログ

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殺し屋たちの挽歌 殺し屋、不真面目な人質に悩む。 


 無題
 殺し屋たちの挽歌
 (1984年 イギリス映画)80/100点


奇妙な雰囲気のバイオレンス映画です。
どことなく静かな佇まいで、渋みが滲む上質な一品。
エリッククラプトンの音楽に、凝った構図が印象的です。

地味っちゃあ地味ですけどね。物語が展開し始めるまでは、つまんなそうな気がして不安でしたから。

簡単にあらすじをご紹介。
法廷で強盗仲間を裏切る証言をしたウィリー(テレンス・スタンプ)は、10年後、裏切った組織のボスが雇った二人の殺し屋・ブラドック(ジョン・ハート)とマイロン(ティム・ロス)によって拉致される。ブラドックはウィリーをすぐには殺さず、ボスが待つパリへと連行する…

いわばロードムービーです。
物語は、主人公・ウィリーと殺し屋二人に、マギーという若い女が加わった4人の逃避行で展開されます。
注目すべきは豪華なキャスティング。
いぶし銀・ジョン・ハート、まだブレイク前のティム・ロス、『イギリスから来た男』のテレンス・スタンプ
みんな、若々しくて驚きます。(実はテレンス・スタンプのことをよく知らなくて、以下のようなお粗末な事態に…)

冒頭では、裁判で重要な証言をするウィニーを、刑事たちが厳戒態勢で警護しています。
その後、すぐに裁判シーンとなり、ウィニーが証言。怒る強盗仲間たち。そして、10年後に場面が移ってウィニーが再登場、という流れなんですけど…
さすが昔の映画だけあって、説明的なセリフが少ないためか、「冒頭で護衛されている人」「裁判で証言している人」「10年後に早速出てくる紳士な男」が、同一人物ウィニーと気づいたのは、鑑賞1時間後だったというお粗末な具合に。
なにせ裁判で仲間を売る証言者・ウィニーの姿が、完全に保身に走った嫌味な雰囲気で、どう考えても下っ端な悪役に見えてしまったのです。それが10年後には「知的で、優しげで、胆が据わった主人公キャラ」として再登場するものだから、混乱してしまったのです。
しかも、容姿が白髪に変わっていたものだから、「先天性外国人の顔の見分けがつかない病」も絡まって、なおさら判別がきかず、正直言って冒頭の鑑賞はとってもつらかったのでした。
最近の映画の予定調和な演出に慣れていると、こんなところで鑑賞力の低下を思い知らされます。

さて。

ウィリーはまんまとブラドック(ジョン・ハート)とマイロン(ティム・ロス)によって拉致され、途中で人質として捕まえた若い女・マギーとパリへ向かうわけです。

拉致中にウィニーを護衛していた警察官が死んだものだから、警察は真剣に捜査を開始し、じわりじわりと追ってくるのでした。

   無題5


…というかですね、殺し屋・ブラドックは出来る男なんですが、周辺の人々が結構やらかす人たちなので、次々と証拠や足取りがつかみやすくなるようなトラブルを起こしてしまうのです。ブラドックが奔放なキャラクターたちに翻弄され、困惑させられる姿はいたって気の毒にさえ見えます。

ではここで、実はいい奴かもしれないブラドックをとことん困らせる、不思議なご一行をご紹介。

・15歳にとても見えない女・マギー
無題1
か弱い女と見せかけ、これがどうして女狐100%で出来上がっております。
特技は、色目と噛みつき。
殺されないための自己防衛策ではありますが、ちゃっかりマイロンを虜にしてみせたり、ブラドックにまで怪しい笑みを見せつけ取り込もうと必死です。
挙句に、ガソリンスタンドのお兄ちゃんに安易に助けを求めてしまったため、お兄ちゃんは口封じに殺されてしまうという罪作り。その際のブラドックのやれやれ感には、全くもって同意。
ブラドックは何度もこの女を殺そうと試みますが、なぜか手が出せません。
噛みつかれ、親指と人差し指の間を噛み切られたというのに、直後、マイロンの「腹が減ったなあ」というセリフを聞くや、ブラドックは「女はさっき食べていたぜ」などと気取って答える始末。
ありゃー、かっこつけちゃったなー。
結局、ブラドックの命運を彼女が握ってしまったのでした。
男は美人に勝てぬ」という人生の裏テーマが発動しております。


・結局何がしたいのかわからん手下のマイロン
無題
若さ100%のティムロスなのであります。
特技は、やんちゃな性格とこん棒
ブラドックを慕っているようですが、ウィリーの言葉で簡単に不安に駆られたり、マギーの虜になってしまったり、穏便にすべき道中なのに大乱闘を始めちゃったり、思わずブラドックに銃を向けちゃったり、若気の至りゆえのトホホな行動に走ります。


・死を恐れぬと豪語する男・ウィリー
無題2
哲学100%で生きている悟りの境地の男。
特技は、すかし。
じきに殺されると分かっているのに、いたって冷静沈着で逃げるチャンスに見向きもしません。
ブラドックとマイロンは、次第にウィリーに一目を置くようになっていきます。
ウィリーはこれまでの膨大な読書によって、死後の世界を信じています。「死」は単にあちら側にいくだけの過程にすぎないので怖くないなどと言ってブラドックを惑わします。ただ怖いのは、「手際の悪い殺し屋に殺されることだ」と。


このような面々が好き勝手に振る舞っているうちに、ストックホルム症候群よろしく、一時ピクニックのような雰囲気になってしまいます。その度に、ブラドックは自分含めて喝を入れる為、「もう、ここで殺しちゃう!」とやけになって見せたりするのでした。
みんなもうちょっと緊張感持とう!
結局殺せずに、うじうじするブラドックなのであります。
そんな彼の後ろ姿を見て、「彼は傷ついているなあ」という視線を交わすウィリーとマイロン。
分かっているなら、やめてあげて!


無題2
手下に銃を突きつけられたり…

無題3
噛みつかれたり…

無題1
騒動を起こされたり…

無題5
手下と人質が仲良く立ち○○○したり…



無題
しょぼん…          ↑注・ブラドック


ええと…みんな…いったん謝ろうか…?


目撃者を消したり、やむなく連れて行ったりしている苦労人のブラドックですが、その労力むなしく警察にあっさりと足取りをつかまれ、全く「運」というものがありません。
よくぞこれまで無事に殺し屋家業を務められたものです。
まるで人生の不運が一気に押し寄せているようです。
そもそもこのブラドック、プロの殺し屋ならば、当然殺さねばならない目撃者を、出来るだけ殺さないようにすむ方法を考えてあげたり、非常に優しい男でもあります。
そういう意味では「ヤキが回っている」とも言えますね。
そのことに自分自身でも気づき始めているのか、イライラが募っていくのでした。
そんな初老の男を名優ジョン・ハートが見事に演じています。
よい塩梅で人生疲れが表情に表れ、殺し屋の凄みと哀愁が両立し、複雑な人間性が垣間見えます。

さらに終盤、ブラドックの目の前で信じがたいことが起きます。
(反転で)「あれだけ「死」を恐れていないと言っていたウィニーが、予定と違う「時」と「場所」で殺されそうになった時、激しい動揺を示し、命乞いを始めるのです。

うそお…

思わず顔をしかめるブラドックなのでありました。
ここまできて、最大級の裏切りにあったようなショックを受け、彼の思考回路はついに「爆発」に至るのです。

最後は、ほぼヤケ気味になっていましたけど…結局のところ、「美人には勝てぬ」ということなのでしょうか…?
彼の最期のウィンクが、妙にかっこよく決まっていました。


  無題6
  ヤ・ケ・ク・ソ!


↓本作は、こちらのブログでご紹介頂きました。
『殺し屋たちの挽歌』(1984) - The Hit -/momoな毎日




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Posted on 2013/03/11 Mon. 19:58 [edit]

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