素人目線の映画感想ブログ

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アウトレイジ これまで、誰も見たことのない死に様。 


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 アウトレイジ
 (2010年 日本映画)75/100点


北野武がアート色を封印し、徹底してエンターテイメントに仕上げた佳作です。 

要は、久しぶりにヤクザ映画が作りたかったというわけ。

たけし扮する大友という組長が、上部組織に翻弄されていく話です。

良い点を言えば。
三浦友和、加瀬亮、椎名吉平など、ヤクザイメージのあまりない人をヤクザに仕立てたキャスティングに面白さがあります。 
中でも、北村総一朗(踊る大走査線の署長)演じる親分は、北野映画ならではのひねりの効いたキャスティングです。ひょうひょうとした人が、実は最もドス黒いという役柄が、見事にはまっていました。
イメージにない役者をあえて使う、という北野映画の面白みのひとつです。
(だから、武が高倉健でヤクザ映画を作る、なんて噂はちっとも魅力的ではないのです。)

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(三浦友和…ほっぺにウズマキ書いてビール飲んでません…)


すでにお家芸のバイオレンス描写がうまいです。
昔から、北野映画の銃撃シーンは特徴的でした。
弾が、いつ、どこから放たれるか分からず、観客の予想を裏切った突発的な暴力にドキリとさせられます。
撃たれた後の倒れ方ひとつ、演出が行き届いています。
特筆すべきは、椎名吉平の死に様。これは、今まで他のどの映画でも見たことがありません。
びょーんって飛ぶんですよ。びょーんって。
今までにないシーンを撮る。その意気込みが北野映画にはあります。そこが、「世界の北野」と言われるゆえんなのだと思います。

なぜか心地よい罵声。
「バカヤロー」「コノヤロー」ばっかしですが、テンポが良くて気持ちいいです。「~だぜえ」みたいなものですかね。日本人の琴線に触れるフレーズなのかも(?)
北野映画は、「座頭市」あたりからリズムを重視している、というのも特徴です。 
 
ラストの締め方が印象的。けだるい三浦友和も。 
1「組長、おれには?」
2「バカヤロー」 
3「うひゃひゃ」 
4ドーンとEDクレジット。

見てない人には、なんのこっちゃですが、やはりテンポが良くて気持ちのいい締め方です。
映画の醍醐味の一つは、EDクレジットをどのタイミングで出すか、だと思います。
個人的には、風景がフェードアウトするラストカットはあまり好きではありません。
やはり、ドーンと終わってほしいのですドーンと。
また、三浦友和のやる気のなさそうなラストシーンの風貌は絶妙。
「よっしゃ、これからはオレの天下じゃ。がんばるでー」と普通なら意気込むところだと思いますけど。

…というように、エンターテイメントとして見応えのあるシーンはいっぱいあります。
しかし、北野映画のこれまでのクオリティで考えてみると、残念な部分が多いことも否定できません。
北野映画ファンとしては、下記の点を考慮して、次回作「ビヨンド」を作ってもらいたい!(もう完成してるけど)。

その残念な部分。
・ストーリーはひねらないほうが良い。
途中で大使館の違法カジノのくだりが出てきます。
正直、蛇足です。何の面白味もありません。
北野映画にストーリーはいらないのです。たけしが理系の人だからなのか、ストーリーテリングのセンスはない、と思います。

・良いシーンと手抜きシーンの差が激しすぎ。
マシンガンで大友組が襲撃されるシーンは、驚くほどチープでした。
黒人の大使を罠にはめる場面も、中学生レベルのありきたりさ。
残念なのはサウナ襲撃シーン。何の工夫もありません。

・情緒感ゼロ
今作はエンターテイメントに徹しているので目をつぶるべきかもしれませんが、やはり北野映画独特の哀愁や情感が、今回一切なかったのは、ファンとしては寂しい限りです。
  
総合すると、たけし自身が採点している60点は低すぎるとして、見所が多いのも確かなので私は75点とし、次回作に期待するのでした。


続編『アウトレイジ・ビヨンド』の感想はこちら。


 

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Posted on 2012/09/01 Sat. 11:16 [edit]

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