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グレイヴ・エンカウンターズ 怖がらせたがるお化けたち。 


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 グレイヴ・エンカウンターズ
 (2011年 カナダ映画)70/100点


いわゆる「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」系のドキュメンタリー風ホラー映画です。
本作では、「心霊番組のために『ある廃墟』を取材している」、という体での映像が流されていきます。
こういう形式の映画を「モキュメンタリー」というそうですね。

実は、この手の作風(「REC」や「パラノーマル・アクティヴィティ」「クローバー・フィールド」「大日本人」等)は大好きです。
とにかく臨場感が半端ない。その場に居合わせている感がとてつもない。
「本当にあった出来事」風に描くので、リアルなことこの上ないのです。
作り物だと知らずに見た人は、「え…? こんなことが本当にあったの…?」と唖然とするそうです。

いずれ、上記モキュメンタリー映画の感想をまとめようかな、と思っているのですが…
さて、本作。当然、見る前からモキュメンタリー映画ということを知っての鑑賞でした。
なんでも予告編映像へのアクセス数がとんでもない数に及んだとかで、そこそこ話題だったこともあります。

けどお…

うーん…個人的な意見ですが、少々モキュメンタリーの流儀とは異なる面が、ちらほら見受けられたような…ちょっと期待と違った感じだったかなあ。

あらすじは、「心霊番組の『グレイヴ・エンカウンターズ』が、第6回の放送の題材に選んだのは廃墟と化したコリントウッド精神科病院。出演者と番組スタッフは、番組の趣旨でこの場所で一夜を過ごす事となる。しかし、撮影の途中から次々と怪現象に見舞われていき…」というお話。


モキュメンタリーの最大の弱点は、みなさんご存知の通り、「なぜ窮地のまっただ中でテレビカメラを回し続けられるのか!?」というものです。
もちろん、本作でも例外なくその「突っ込みどころ」は健在。しかし、そんな野暮な勘ぐりは暗黙の了解で「言及」してはいけないことになっています(たぶん)。あえて解答を捧ぐなら、それはひとえに「カメラマンのプロ根性」なのであります。撮影を続け、記録し続けることが、主人公たちに課せられた使命なのだから、決してカメラを手放さないのです。命ある限り!

さて、その点はもう良いとして(ほんとに野暮だから!)、そうはいっても、本作ではモキュメンタリーとしてどうなのかなあという点がちらほら。

私は、モキュメンタリーは、あくまで「リアル」でないといけないと思っています。最大限に現実味を帯びてこそ活きる手法だと思っています。だからこそ、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の最大の恐怖描写が、せいぜいテントごしにバシバシ殴られるだけという、むごいほど地味だとしても十分に怖かったのだと思います。

つまり、妙に劇調な展開や演出はいらん、と思うわけです。

「パラノーマル・アクティヴィティ」でも、扉が勝手にぎぎいぃぃ…と開いたとか、奥さんが旦那のベット脇で数時間突っ立ったまま…とかいった、撮影側としてはお手軽な恐怖描写でも、余計に怖いわけです。

それに比べると、本作は「やり過ぎ」感満載ではないでしょうか。
現実味を吹き飛ばすほどの恐怖描写は、かえって興ざめを招くのがモキュメンタリーの難しいところだと思いますよ。
まだ序盤に見た、髪の毛をふわっと持ち上げられるとか、窓がすぅぅ…っと開くとかは、良かったんですけど。

さすがに、その…
主人公たちが異空間に紛れ込む…ってのは、行き過ぎかと。

どういうことかと言うと、主人公たちが危険を感じて建物から出ようとするのですけど、あら不思議? 入ってきたはずの入り口を出ると、そこにはさらに病院の廊下が続いているのでした。
屋上から逃げ出そうと階段を駆け上がると…あら不思議? なかったはずの壁が出来ていて、主人公たちの行く手を遮っているのでした。

すげー怪奇現象・・・って、もうそれって悪魔の仕業だよね!?

あんましなー、あんましなー、物理現象に手を出してほしくないんだよなー、わかんないかなー。

たくさんの手が壁や天井から飛び出すわ、いなくなったスタッフが患者服を着せられて発見されるわ、女の子の背中にはおぞましい切り傷で「ヘロー」と書かれているわ、腕にはなぜか自身の名前入りのバンド(患者用)が付けられているわ、血だまりの風呂場から女子が「ぶはっ」って飛び出てくるわ、もう好き放題のお化けたちが物理現象をありえないほどこねくりまわしているっつーの!

幽霊はそうじゃないんだ! …って何度思った事か。
幽霊ってなー、もっとじめじめとしていて、じわりじわりと近づいてきて、振り返るといなくなってて…決して触れたりするでもなく、眼で殺すっつーか、気配だけで恐ろしい気分にさせるものなんだっ! …って思うのです。怖いなー、怖いなー、嫌だなー、嫌だなーと思いながら、すっと目だけを動かして隣を見てみたんですね、すると、さっきまでいなかったはずの青白い女の横顔が一瞬だけ見えて、「うわっ!」って飛び跳ねて、もう一回見てみると、そこには誰もいなくてですね、ただ床には無数の黒髪が落ちていたんですねえ…みたいな!
そこいらを、もうちっと「リング」でも見て、勉強してほしーなー。

これは、日本人の総意である! (たぶん)

本作の幽霊たちは、「ここで振り向いたらこいつら驚くでー」という意地の悪い意識がはっきりしています。
昔見た「ゲゲゲの鬼太郎」の話を思い出しました。
「妖怪なんていねーよ」と豪語するサラリーマン二人を懲らしめるために、鬼太郎を含む妖怪一同が、その二人を幽霊列車に誘い込んで驚かせまくる話です。
ほぼ、それ。
遊び半分の気持ちで心霊現場に訪れた主人公たちを、好き放題に痛ぶる霊魂たちなのでした。

そして終盤、幽霊はさらに酷いことに、ほぼ「ゾンビ」のような姿になって、主人公たちを追いかけまわします。
まさに「夜は墓場で運動会」状態。

うーん…。

また、キャラクターの一貫性のなさも、少し気になったところです。
そもそも「グレイヴ・エンカウンターズ」という架空の心霊番組は、「ヤラセ」のスタンスのようです。偽物の霊能力者と笑い合って撮影していたり、廃墟の掃除人にお金を渡して嘘の幽霊話をさせたりと、めちゃくちゃです。
しかし、主人公は時折、「頼む! 霊現象を起こしてくれ!」と闇に語りかけます。また、番組の企画通りに廃墟の入口を完全施錠して、自分たちが朝まで外に出られないように仕掛けます。なんでそこだけ真面目なん? と不思議に思いました。

モキュメンタリー映画では、いかにリアルに芝居するかも重要です。当然英語は分からないのだから、リアルかどうかの判断は「ビビリ方」でしか判断できません。その点は、本作は十分に「リアル」だったように思います。特に女性のビビリ方は重要ですが、行方不明のスタッフの名前を連呼するあたりは、きっちり発狂寸前の叫び声で迫真でした。見ているこちら側は、その「ビビリ方」に恐怖を感じるのです。「もらい泣き」ならぬ、「誘い笑い」ならぬ、「伝染ビビり」といった感じで。
まーでも本当にリアルなリアクションをするとしたら、「ゾンビ」が出てきた時点で、腰が抜けますがね。

散々に書いてきましたけど、ただクスクス笑って突っ込みながら見るには楽しい映画かもしれません。

では。


 

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Posted on 2013/05/21 Tue. 13:25 [edit]

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