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最強のふたり 心のバリアフリーとは? 


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 最強のふたり
 (2011年 フランス映画)80/100点


「金持ちの中年が~、貧乏な青年と~、出会った~」
というウルルン滞在記的な物語ですよ、つまり。

プロット自体は極めてシンプルかつ、目新しくないパターンです。
金持ちだけど人生に退屈を感じている男と、貧乏だけど自由奔放な男が、互いに影響を与え合いながら成長していくという、どこかで聞いたことのあるようなバディフィルム。
ただ、お金持ちの男が頸椎損傷の為に、首から下が動かせない障がい者であるという点と、その障がいの扱い方が本作の大きなポイントです。
とはいっても、お涙頂戴をやらかすわけではありません。
むしろ真逆。
障がいを持つ男に対して、日本では考えにくいイジリ方を見せるのです。これには、かなりカルチャーショックを受けます。
いや、これこそが、本当のバリアフリーなのかもしれません。

あらすじは、「大金持ちの男、フィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、頸椎損傷で首から下がマヒしており、車いす生活を送っている。フィリップは、住み込みの新しい介護人を雇うため、面接を行った。候補者の1人であるドリス(オマール・シー)は、失業保険をもらうために形だけ面接を受けているだけだった。フィリップは、なぜかドリスを気に入り、雇うことを決める。」というお話。


実話だそうです。
エンディングには、実際の二人の映像が紹介されます。
実話と言われると納得せざるをえませんが、「こんな奴を雇うかなあ…、しかも住み込みで…」と思わず首を傾げてしまう程、当初のドリスはめちゃくちゃです。犯罪歴はあるし、礼儀もないし、口も悪いし、そもそも障がい者を介護する経験も気持ちも気概もありません。
全てにおいて、素質なし。
しかし、金持ち男のフィリップは、ドリスが障がい者に対して、全く「同情していない」ところに強く惹かれるのです。

・マヒした足に熱湯をかけて実験する。
・スナック菓子を「健常者用」だとぬかす。
・雪合戦を始め、フィリップに一方的に雪玉をぶつけてチャラける。
・抵抗できない事をいいことに、フィリップの髭を剃って遊ぶ。
・知的障がい者の物まねをする。


無題


ドリスはフィリップに対し、地上波では絶対に流せないであろう「イジり方」を続けます。
しかし、それは決して「ブラック・ユーモア」という描き方ではありません。
フィリップは、「同情」を「見下し」だと感じ、「気遣い」を「壁」だと感じていました。
反対に、ドリスの「無礼」を「対等の意識」とフィリップは感じ取ります。そして、ドリスの容赦のない「からかい」は無垢な「遊び」として、常に気難しい顔をしていたフィリップを笑顔に変えるのでした。

特別扱いをしないというバリアフリーがあるのかもしれません。

以前「五体不満足」で有名な乙武さんが、ご自身のツイッターにて、「僕は完全犯罪を実現できます。なにせ足がつかないから…」といった障がいをネタにしたジョークを書いていて驚いたことがあります。
「障がいを笑いにして何が悪いんだ。障がいを笑い飛ばすことこそ、本当のバリアフリーだ」という風に、綴られていたように思います。
もちろん、障がいを持つ方全員が同じ考えではないと思いますが、乙武さんや本作のフィリップのような、「気遣われない」ことを望む考え方もあるようなのです。

ま、それは障がいのあるなしに関わらず、「友達関係」とは、本来そういうものですよね…。

一方ドリスは、少しずつ、粗暴で堕落していた性格が変わっていきます。
フィリップの世話などまっぴらごめんだと拒否していましたが、次第にすべての介護作業を引き受けていくのです。これまでは、物事を「暴力」と「窃盗」で解決してきたドリスですが、終盤では「大人の対応」を覚えます。この辺はありがちなんだけれど、ぞくっと嬉しくなる展開ですね。ギャップ効果ってやつで。教養とは全く無縁だったドリスが、壁にかかった絵画を「ダリだね」と分かるようになるところがまた、楽しい。

ただ「恋愛」に関しては、どうやらフィリップよりドリスの方が何枚も上手のようです。
フィリップには文通相手がいます。
互いに想い合っている仲のようですが、会ったことは一度もないと言います。
奥手など、ドリスには全く理解ができないので、強制的にフィリップに電話をさせたりし、完全バックアップに入ります。最初は迷惑がっていたフィリップですが、ドリスに背中を押されたその一歩が、次第に彼の運命を大きく変えていくのです。

さらには、フィリップがうんざりしている「上流階級の娯楽」への突っ込みも楽しく、ドリスが適当に書いた絵画が大金で売れたり、「オペラ」に出てくる役者の格好にドリスが大笑いしたり…クラシックの演奏団の前で、ダンスミュージックを流してみせたり…。好き放題です。特にダンスシーンは鳥肌たった! ベタなんだけどね!
ドリスには、品の良いものもそうでないものも、一切の区別がつきません。同じように、彼の見方では、健常者も障がい者も、心の底から区別も差別もないのです。フィリップはドリスのその目線に、心からの安心と、そして痛快さを感じているように思います。


無題2


さて。

この手の映画は、終盤になると一気に事態が変わって、「お涙頂戴」に走ることも多いのですが、本作は実に爽やかに決着をつけます。「(反転で)オープニングシーンや終盤に、『もしや…』という暗い空気をあえて醸してみせる」ところが憎いですな。

ただし、都合の良い描写や、ちょっとわかりにくい描写もあったように思います。

・フィリップの排泄対応の話題を出しておいて、直接の描写を避けたのは、都合が良い気がしました。
・フィリップがドリスを選んだ当初の理由は、もしかしたら「ヤケ」だったかもしれませんね。(推測です)
・結局、「金持ちはいいよね…」という気もしました。
・ドリスが途中でフィリップ邸を出ていく理由が弱い気がしました。
・フィリップの秘書が同性愛者である必要性がよくわかりませんでした。
・なんぼなんでも、オペラ会場での大笑いシーンはダメ。私が映画館で大声を出されたりしたら嫌だから。
・ドリスと家族の行方も気になりますけど、それは蛇足ですかね。
・確かにベタだらけの映画ですけど…ね。


出演者二人の芝居は見事で、引き込まれます。特にドリスは、「えーやつやなー」感満載でよかった。

本作はフランスで大ヒットし、日本でも「アメリ」を越えて、フランス映画最高の興行収入だったそうです。

フランス映画の好きなところって、エンディングで人の表情をしっかり撮るところだと個人的に思っていまして…本作でもさもあらん。ある驚きの出来事のために、感謝と感動の気持ちをたっぷりとたたえたフィリップの表情を、やや長回しのアップで見せるラストカットは、まー、なんて絶品。なんて清々しいラスト。

オススメです。


無題3


 

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Posted on 2013/06/01 Sat. 17:53 [edit]

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