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終戦のエンペラー このろくでもない、素晴らしき日本。 


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 終戦のエンペラー
 (2013年 アメリカ映画)75/100点


「風立ちぬ」「永遠のゼロ」など、ここ最近戦争にまつわる映画や小説、話題に触れる機会が多くて、改めて「第二次世界大戦」の頃の日本の歴史に興味を持つようになっています。
思えば、学校の日本史って「近代史」は最後の方なのでさらりとした扱いでしかなかったように思いますが、日本人の精神性や日本の未来を考えていく上で、この時代の考証が最も重要な気がします。
そんな折の本作の鑑賞。
一言でいえば、「天皇陛下の戦争責任」について、日本を統治したマッカーサー元帥がどのように判断したのかを史実通りに描いた映画です。

無題5


マッカーサーが主人公…とばかり思っていました。
予告では、地球を監視する宇宙人役でお馴染みのトミーリー・ジョーンズが目立っていましたもので。
彼がいかに日本統治を成し遂げたかを描いているのかと思いましたが、主人公は、その部下であるボナー・フェラーズ准将。そして物語は、前述のように「天皇陛下を裁判にかけるか否か」 つまり、「天皇陛下に戦争責任があるのかどうか」の調査一点を描きだします。

無題


調査の過程であぶりでてくるのは、日本人の精神性における「謎」ばかり。
おおよそアメリカ人には理解しにくい「忠誠心や忠義」「本音と建前」に、フェラーズ准将は頭を悩ませます。
側近や日本兵からの「絶対の忠誠心」を得ながらも、ただの偶像的存在にさえ思える摩訶不思議な「天皇陛下」という存在。

この映画が、アメリカ映画であることが不思議でした。
映画の冒頭は、当時の映像である原子爆弾の投下から始まりますが、魔の手が迫ってくるようなBGMで恐怖心を与えます。
空襲によって多くの日本人が殺され、また、家を失ったことを描きます。
中村雅俊演じる近衛文麿は、「あなたたちだって日本の二つの都市を壊滅させた。侵略もした。我々は同罪だ」と言い放ちます。
フェラーズは、天皇陛下の処刑を望む者に「報復と正義は違う!」と吐き捨てます。

誰得?
そう思いました。
この映画は、決してアメリカに都合の良い描き方をしていないと感じたのです。
アメリカ人にとって、これは面白いのかなあと少し心配になりました。
ゆえに、本作は娯楽作品ではありません。
何が悪かった、なにがいけなかった、などという戦争の総括でもありません。
ただ、日本人とアメリカ人が互いに理解しようと歩み寄り、調和の一歩を踏み出すまでを描いているのです。
まさに、「未来志向」だと感じたのでした。

なんか時期的に…、斜めに見ると、「日本人を持ち上げて何を企んでんだ!」って声が聞こえてきそうでもありますが。

さて。

物語はやや地味です。「白黒はっきりしない」結末です。ただ、そこが極めて日本的な結末でもあり、「日本を理解する」ための映画としては、本作のテーマになぞらえた最適な結末とも言えます。

ただ…いけなかったのは、フェラーズ准将と日本人の女性との恋愛パートです。
正直、そこに時間を割く必要は全く感じませんでした。
史実部分が地味だからドラマ性を強めたい、恋愛場面がないと盛り上がらない、という狙いがくっきり見えて非常に残念な印象を持ちました。
映画のテーマに正面からぶつかろうという姿勢さえ疑わしくなり、しかもそのパートは回想シーンであるため、物語がぶつ切りにされて映画への集中が途切れてしまうのです。

無理に恋愛パートを入れるのは、やめよう。
あと、無理に日本風にしようと、竹やぶで追いかけっこするのもやめよう。
あといい加減、尺八的なBGMを鳴らすのも、もう、やめよう。


無題1


日本の名優が多数出てくるのも見所です。
ま、おなじみのメンツのようにも思いますが、西田敏行の見事な英語芝居。
画面に現れるだけで、全てをかっさらいそうなほどの存在感の塊・桃井かおり。
見事な詩を披露し、厳格なる天皇陛下の側近を演じた夏八木勲。
NTTに任せてられっかといういぶし銀の風貌・伊武雅刀。
散々叩かれた「橋下徹発言」と全く同じ論理を堂々とかます近衛文麿・中村雅俊。

無論、マッカーサー元帥・トミーリー・ジョーンズも、間が抜けているようで、油断ならぬ狸親父っぷりを見事に演じ、宇宙人ジョーンズの彼しか知らない人々を唸らせる芝居を見せ付けます。
「CMで好き放題コスプレさせられてるけど、ワテの本気は違いまっせ!」という気迫の名芝居でありました。ジョーンズ、見事に汚名返上! 名誉挽回! ・・・本領発揮!

無題2


ラストシーンは、マッカーサー元帥と天皇陛下の会談です。
これまで一切顔を出さなかった天皇陛下がついに登場する場面は、過剰な演出はないものの、どこか荘厳なオーラを感じたものです。これもまた、日本人の精神性ですかね…。
有名ではありますが、ここでの天皇陛下のある発言によってマッカーサーは驚愕します。
ここは、やっぱり見せ場ですな。本作唯一、と言ってもいいくらい心が動かされた見せ場でした。

アメリカによる統治が成功したのは、「日本」だけと言われています。
その点が、実は最も特異な日本人の精神性を表しているようにも思います。
出来ればその点にも突っ込んで、さらには戦後の驚異的な復興まで描ききっていれば良かったように思います。ちょっと小さな(歴史的には大きいのだろうが)一点のみの映画であり、半端であった印象は否めません。

本日は、これにて。


 

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Posted on 2013/08/01 Thu. 23:02 [edit]

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