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デイ・オブ・ザ・デッド 博士の異常なゾンビ愛。 


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 デイ・オブ・ザ・デッド
 (1985年 アメリカ映画)80/100点


随分昔に、深夜で「ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)」を見て、それまで抱いていたゾンビ映画のイメージが根本から覆り、いたく驚いたものです。

ゾンビ映画のイメージ=「血みどろグロテスク描写を楽しむだけの映画」

しかし、ゾンビ映画の巨匠・ジョージ・A・ロメロは、「世界の混沌の中での人間の行動心理」を見事に表現した映画を作り上げたのです。

本作は、その「ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)」の続編です。
続編なのに邦題は「死霊のえじき…そりゃあ、誤解されるでしょう。
タイトルから推察すると、まさに阿鼻叫喚の悪趣味な地獄絵図満載の映画だと捉えられるのも無理ないと思います。ともすれば、夜な夜な犬や猫を引き裂いて回っている人が見てる映画だと思われがちです。(そこまでじゃない)
ちなみに原題は「デイ・オブ・ザ・デッド」…ゾンビ世界の昼間…ま、地味ですけど。

あらすじは、「大量のゾンビが蔓延する世界。フロリダ州郊外の地下基地では女科学者のサラやローガン博士らが、あらゆる角度でゾンビを研究していた。その他、数人の軍人やヘリコプターパイロットらが共に生活している。軍人たちは、いっこうに改善しない状況にいらだち、徐々に科学者グループとの亀裂が生まれていく…」というお話。

 無題12


ああ、人間のなんと愚かなことか。
手を取り合って生きていかねばならない事態に、なぜ互いの「理解」が出来ず、いらだち、仲だがいをし、さらに最悪な結末を導いてしまうのでしょうか。

軍人のボスは、成果の上がらない科学者たちの「ゾンビ研究」に嫌悪感を持っています。
軍人たちの本来の望みは、「このゾンビの世界を魔法のように改善する新薬の発明」、もしくは、「ゾンビを易々と倒すことのできる弱点の発見」だと思います。
ところが、科学者は何をしているかというと、「なぜこんな世界になったのか」という根源的でいて、大変時間のかかるテーマの研究や、「ゾンビをてなずける方法」という、悪趣味にも似た研究ばかり。
うーん、そりゃ頭にも来ますわね。両者の思惑が食い違い過ぎです。
さながら体育会系VS理系のような対立構図さえ見えてきます。

もちろん、映画としては、「軍人たち」の方に愚劣さの度合いが大きいように描かれているのですが、主人公・サラを初め、「わっかんないかねー、この研究の大事さがさー」という「上から目線」の態度が透けて見えるのと同時に、どこか「現実逃避」な物の考え方をしているようにも感じられ、実は「科学者の悪癖」も垣間見えるのです。
その点に関し、しっかり者の黒人のヘリパイロット・ジョンは、サラに向かって戒めの言葉を放ります。過去の貴重な資料や細かな記録にこだわるサラに対し、「そんなものは何の役にも立たないぞ」と。

本作の最大の特徴は、仲たがいを始める人間同士の陰で、ローガン博士の研究対象であるゾンビのバブに、なんと人間への愛着の感情が芽生え始めるというところです。
ローガン博士はバブをコントロールしようと考えています。音楽を聞かせてみたり、軍人に敬礼させてみたり、本を与えてみたり、ご褒美に美味しい「エサ」を与えてみたりして、少しずつ手なずけていきます。…これはまさに「志村動物園」の志村園長とパン君のやり取りに酷似! 結局、人間に危害を加えちゃったところまで酷似!

ただ、個人的にはゾンビに知能を持たせる設定は好きではありません。そうなると、ゾンビというより、ある意味の「超人」となってしまい、急に漫画的になってしまうと思うのです。
ソンビはやはり、限りなく「死者」に近い存在であってほしいなあ。ほぼ「死者」にも関わらず、生きていたころの習慣が脳や体に染みついていて、それが「にじみ出てしまう」ことで、「人間の悲しみ」が表されるのだと思うのです。

終盤に、ローガン博士の復讐とばかりに、バブが銃をつかんで軍人を撃ち抜くような場面は、ちょっと違うかなあと思ったものでした。

しかし、このバブ、実にいい味は出してますがね。
なんだかんだ言っても、ちょっと好きだったりします。


というわけで、科学者たちの楽しげな公開実験を下記に再現してみました。
(一部脚色してますが、空気感は大体一致です。)

無題5
ローガン博士「みなさんこんばんわ。ただ今より、人類初のゾンビの『トモダチ化実験』を始めます。」
サラ「助手のサラです。」

無題2
ローガン博士「さあ、まずは…歯ブラシを持たせてみましょう」
サラ「山切りカットです」

無題5
ローズ博士「…うーん、放り投げてしまったね」
サラ「歯磨き粉付けてあげないんですか?」

無題4
ローガン博士「続きましてー、カミソリです。鏡も用意しました」
サラ「5枚刃のやつです」


無題1
ローガン博士「あー! 皮膚まで剃ってるよ、馬鹿だねー」
サラ「シェイビングクリーム付けてあげないんですか? フフフ…」

無題6
ローガン博士「続いては、読書を…おおっ!?」

無題7
ローガン博士「読んでるよー、読んでる。ねー、すごいっしょ!」
サラ「すごーい!」


無題8
ローガン博士「電話してるー! 電話してるー!」
サラ「やーだ、なんかカワイー! やーだー」

無題11
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
大佐「お、の、れ、らあ…(怒)」


…科学者のみなさん…いったん、謝ろうか。


さて。

人間ドラマに比重が高いといっても、グロテスク描写はかなり激しいです。
耐性がない人が見れば、「やっぱりそっち系か!?」と色眼鏡で見られること必至。
なので、なかなかホラー好きな人以外にはオススメしにくいことも確かです。

ただ、なんと言いますか、非常に冷静に見ると、人間の体がゾンビによって引きちぎられてしまう場面とか、贓物が露わになる場面がそれはそれはよく出来ていまして。今ほどの特殊技術がない時代に、よくぞまあ、これほどリアルに描写できたものだと微笑ましくもあるのでした。そういうシーンは、作り手の存在を感じながら、「ほんと好きなんだねえ」と母親のような眼差しで見ると味わい深いですよ。まあ、無理でしょうけど。

この頃のゾンビ映画は、ゾンビがゆったりと歩きます。
最近のゾンビ映画・「28日後」やら「ワールド・ウォー・Z」などは、とにかくゾンビが走り回るし、強いです。その設定の方が主流になっていますので、ゆったりゾンビは逆に新鮮です。
ほのぼのさえします。
そのため、そんなゾンビにやられる連中の間抜けさ(愚かさ)が強調されます。
そこがまた、「人間社会の危なっかしさ」といいますか、例えば原発のように、どんな安全なシステムを組んでいても、油断一つで崩壊するという皮肉が効いていて好きです。

ゆったりしたゾンビが大量に迫る終盤での圧倒的な「絶望感」
ゾンビをバッタバッタとなぎ倒すようなヒーローは1人も出てきません。
ただ、逃げ惑い、追い詰められていくだけです。
勢いのあるゾンビに一瞬でガブリとやられるのではなく、じわりとなぶり殺される恐怖を思えば、「自決」を選ぶ者の気持ちもよく分かります。
そんなところまでも、人間の心理を追求している傑作だと思うのです。
変に感情移入しちゃったら、しばらくズンと重たい気持ちを抱えてしまいかねません。

ゾンビ系が苦手な人には無理にすすめませんが、悪趣味なスプラッター映画ではない、ということだけは強く伝えたいと思います。

 無題9


↓こちらのブログをオススメします。
『死霊のえじき』(1985) /momoな毎日


  

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Posted on 2013/09/03 Tue. 00:34 [edit]

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03

コメント

 

ローズ博士?

URL |  #SFo5/nok | 2016/07/28 18:37 | edit

Re: タイトルなし 

すみません、直しました。
ご指摘ありがとうございました。

URL | タイチ #- | 2016/07/28 18:47 | edit

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