素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

キャビン ドキっ! モンスターだらけの殺戮大会。 


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 キャビン
 (2012年 アメリカ映画)80/100点


ホラー映画ファンには堪らない「お祭り」のような映画でした。
理屈なんか、もーめちゃくちゃです。
まともな感覚で見ても、きっとわけわからんことでしょう。
この作品は、まさにホラー映画を愛する者が、ホラー映画をこよなく愛する者のために、ホラー映画をさらに、ことのほか愛するように作られた、とびっきりのホラー愛にあふれたスペクタクルな(以下略)

とにかく!

これまでのホラー映画によく出てくる「方程式」をふんだんに活用し、「ホラーによくある展開」の謎の解明を試みています。
とはいえ。
その解明の仕方には、全くもって「筋」は通っていませんよ。「ホラー映画によくある強引ともいえる展開の裏側には、実は壮大な秘密があったのだ!」ということなのですが、本作で明かされるその秘密がそもそもとてつもなく「強引」なのです。正直、従来のホラー映画の方が、まだ大人しいくらいです。
ゆえに。
これは、完全にホラー映画の「パロディ」なのです。恐らく、「通」のホラー映画ファンであれば、本作のいたるところでゲラゲラと爆笑できることでしょう。
本作にふさわしい鑑賞姿勢とは、愛情に溢れた温かい目でなされるべきなのです。
私は、そこまでホラー映画に精通していませんが、なかなか「楽しく」観る事が出来ましたよ。

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 (鑑賞は、これくらいの温かい目で…)


あらすじは、「バカンスに出かける5人の若者。向かった先には古びた山小屋。まさにホラー映画の定番の流れ。しかし、舞台の裏には、若者たちを監視するたくさんの人々がいた。やがて蘇る怪物。響き渡る絶叫。ほとばしる血しぶき。若者たちは、ホラー映画の定番通り、次々に惨殺されていく。そして、その全ては仕組まれたものだった…」というお話。


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冒頭から、科学者風の男たちが出てきます。
あらら、早々に「裏側」を見せるんですね。しかし、面白いオープニングです。映画タイトルの出し方は、ミヒャエル・ハネケ監督の「ファニーゲーム」を模していて、いきなりハイセンスな映画愛を感じます。

続いて、ホラー映画にありがちな、軽薄そうな「若者5人組」が出てきて、泊りがけで遊びに行く話が始まります。
本作の終盤でも言及されますけど、ホラー映画にはよく「軽薄な若さ」への罰というか、若者への恨みみたいなものが描かれます。無責任に騒ぎまくる乱痴気な「若者」なんか殺されちまえ、という社会からの「冷たい視線」が具現化しているような…。だから、ホラー映画では惨事の前に必ず「濡れ場」が披露され、まさに最大級の「若さの特権」の恩恵にあずかった者から、無残に殺されていく傾向があるのでした。

…なんか、分かります。
飲み屋街で酒に酔った大学生らしき集団が、自分たちが世界の中心だと言わんばかりに大騒ぎしている姿を見ると…その中に、ぽいっとジェイソンを放り込んでしまいたくなりますしね。…ワタシダケ…?

ホラー映画の存在意義は、そんな「妬み」から発生した「願望」を、見事に叶えるところにもあるのです。たぶん。

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さて。

「若さ」という罪を抱えた5人の若者一向は、旅路の途中で胡散臭いガソリンスタンドの親父に出会い、「不吉なこと」を予言されてみたり、森の中のいかにもな空気を放つ山小屋に到着してみたり、あとで何か起こりそうな感じ満載な湖で泳いでみたり、夜はエロティックな雰囲気が漂ってみたり、おのおの好き勝手に別行動を始めちゃってみたり…
美しい方程式のようなホラー映画の既定路線に乗って、着々と物語は進んでいきます。

そして、それは決して偶然の展開なのではなく、陰でコントロールしている「秘密組織」が存在していたのです。
この組織、非常に壮大であり、おそらく国家レベルの組織だと思われます。
目的は、「『古きもの』を鎮めるために、生贄として若者の命を捧げる。」というもの。

…ポカーンでしょ? ポカーンとしちゃう目的なんです。
普通こういう物語設定の場合、登場する非科学的なモノ(怪物とか)の正体は、実は「科学的な創り物」で、何か「科学的な目的」の為に存在している、となりがちです。
ところが。
本作の世界には「モンスター」は実際に存在しています。そして組織は、『古きもの』が世界を滅ぼさないように大人しくさせる為、「生贄」を捧げる作業を、極めて科学的に、システマチックに実行しているのでありました。

なんというバランスの悪い世界だ!

しかし、そのギャップが楽しくもあります。
この組織が何とも魅力的なのです。
一言でいうなら、なんてことのないフツーの組織なのです。
この組織の描写が何とも「普通で軽い」ことが、非常に素晴らしい演出だと思います。

・人を殺める作業であることに、何の重みも背負っていません。
・とはいえ、悪の組織といった雰囲気はなく、むしろ真面目で事務的でおちゃめな人たちのようです。
・果たしてどの方法で若者が殺されることになるか、「賭け」をして盛り上がっています。
・殺される直前の若者たちの「濡れ場」を盗み見たりして、楽しんでいます。
・作戦が失敗しそうになった時、必死に何とかしようと頑張る姿が、まるで主人公です。


本人たちは、いたって作業的に粛々とミッションをこなしているだけなのです。…とはいえ、やはりやっていることは「殺戮」なので、一応、道徳的に違和感を覚える新人職員が出てきたりしますけど…そんなことは、大した問題として描かれません。が、それでいいのです。
ようはこの組織、いわゆる、ホラー映画を楽しんでいる「我々、鑑賞者のこと」なのだと思います。
ヒロインが殺されそうになっている場面が映されたモニターを背景に、盛大にパーティーが開かれる描写は、非常に象徴的です。と同時に、背筋の凍るほどのブラックジョークでもありました。

この点が、まさに「斬新」です。恐れ入ります。

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それと。

大量に出現する「モンスター」も、本作の大きな大きな魅力です。


(以下、鑑賞前には知らない方がいいネタバレがあります)


驚きました。
上記の「秘密組織」は、古今東西ありとあらゆる「モンスター」を飼っているのです。
ゾンビも、幽霊も、殺人鬼も、怪物も、地獄の王みたいなのも、ありとあらゆる邪悪なものを一堂にして飼っているのでした。全てが「殺戮」のプロ。この中から、偶然性を装って生贄に放つのです。今回どれが選ばれるかな~とわくわくしている組織の人たちのハシャギっぷりと言ったら。「今週のビックリドッキリメカ」かよ! 

前述したように、極めて「ふつー」の雰囲気の組織なのに、そんな恐ろしいことを「ふつー」にやっていることが、見事なギャップ効果で、かえって心臓が凍りつくほど恐ろしかったです。

だからこそ…本作最大の突っ込みどころがありまして…

そのセキュリティー、おかしいだろ!?

っていうね…。

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そう、人間は愚かなものです。
長年に渡り、恐ろしいことを問題なくやっていたからといって、驕り、脆弱な「危機管理」のまま怠慢になってしまっていたのです。
終盤、この組織は「原発事故」レベルをはるかに凌駕した「ありえない事故」を巻き起こしてしまいます。
ここは、心が折れかけましたよー。恐ろしくって恐ろしくって。
まさかまさか。そんなところに「スイッチ」があり、まさかまさか、素人がピッポッパッといくつかのスイッチを押しただけで、まさかまさか何十種類もの地獄のモンスターの監禁状態が、一斉に「解除」されてしまうなんて!

そもそも解除スイッチなんていらんやろ!!

さあ、ここからが阿鼻叫喚の地獄絵図。
ホラー映画ファンには垂涎の名場面。
耐性のない人にはドン引きのグロ場面。
これは、犠牲者と鑑賞者の大逆転劇。余裕をかまして傍観者を気取っていた者への信じがたいほどの天罰。
映画史上初とも言える斬新この上ない名場面を、「うえー、まじー」と思いながらもなんかワクワクして見てました。
まさにオールスターキャストと言った感じで、モンスター群が組織内部で暴れまわります。
個々がそれぞれ個性的なので、大変チグハグ感が激しいです。貞子とジェイソンとプレデターが共闘してるみたいな感じ。それが、めちゃくちゃにぎやかで楽しい!
いくつかのホラー映画のキャラクターをそのままを出せたらもっと盛り上がるんでしょうけど、そこまで許可が出なかったのか、「似てる」感じに抑えられているのが惜しかった。

この秘密組織は世界中にあって、日本支部もあるそうで、心霊チックな化け物が幼児を追いかけまわした挙句、成仏させられるという摩訶不思議な映像も出てきます。どういうイメージなんだろう…?

隅々までサービス精神満載。
この「お祭り」騒ぎ。なかなか見過ごせません。

しかし、あんまり気を緩めてにやけていると…いつか我々にも罰が下るかもしれませんよ。・・・ほら、今も背後からあなたを見つめる怪しげな…

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ア、タ、タ、カ、イ、目ー。


↓秀逸なホラーファンの皆様の感想をどうぞ。

・愚者の末路 映画「キャビン」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー/カゲヒナタのレビュー

・『キャビン』/すきなものだけでいいです。

・『キャビン』(2012) - The Cabin in the Woods -/momoな毎日


  

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Posted on 2013/10/07 Mon. 19:54 [edit]

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07

コメント

 

最初の無限ループのくだり笑いましたw
今回も以下ネタバレ〜のところからはすっ飛ばしてますが
これは王道のホラー映画と見せかけ
実はホラー要素はそこそこに
それを監視している組織がいる、ということでいいんでしょうか?
とんでもない吹っ飛んだストーリーですねw
80点をつけるということはそれだけで終わらないのでしょうが・・・

ところでリーガルハイ2は見ましたか?
まだ見ていないのであれば自分の言うことは
余計になってしまいますが
見た前提で言うなら「勢いがねぇ・・・」です。
確かに2期はどうしてもつまらなくなりますが
視聴者を獲得するために最初は力を入れてくると思ったら
うーん一時間半もあって解決せずちんたらちんたら
遅い展開。一話完結がよかったのに!!
と思いました。脚本家は同じですが
ちょっと力みすぎちゃった感じでした。
これこそ点をつけるなら甘く見積もっても55点。
2話以降に期待しつつ、つまらなくても見てしまいそうです。
どうしても1回ハマったものは諦めきれませんw
まあ気になる感じを出せる作り方をしているならそれはすごいですが。

URL | しろの #rnU6iefI | 2013/10/11 14:06 | edit

しろの様 

コメントありがとうございます。

この映画は、ホラー映画のパロディです。
残虐シーンは出てきますけど、本文中のように、びくびくして見るより、
温かい目で見ると楽しいですよ。

終盤のお祭り騒ぎは、見ごたえありです。
ただ…ある程度ホラー映画に慣れてないとキツイかも。

リーガルハイ2はもちろん見ました。
近く感想を書くつもりですが…
一言でいうと、「半沢」とのギャップ効果を狙い過ぎで、
空回り…でしたね。
しかし後半は持ち直したと思っています。
これからに期待してます。

URL | タイチ #- | 2013/10/11 23:39 | edit

はじめまして 

根っからのホラーマニアですが、コイツは全く合わなかったです…

ホラー映画の常識を覆すって売り文句でしたが、プロットも演出も至って普通というか、それほど目新しさは感じなかったです。

ラストバトルも、まさにハリウッドといった感じで、派手さはあるけど単調でした。

文句ばかり言ってますが、普通のホラーとして、普通に観れたので、それなりに楽しみましたよ。

劇場にも結構人が入ってましたし、ホラー界にお金が回るのは喜ばしいです。

URL | 通りすがりのホラーマニア #Xu3YZZjs | 2013/11/17 17:42 | edit

通りすがりのホラーマニア 様 

コメントありがとうございます。

ケラケラ笑いながら見るにはいいかもしれません。

研究所職員=我々鑑賞者

という視点は、結構皮肉ってて好きです。

いろんなクリーチャーが出てくるのも、「楽しい」映画。
まあ、これ、ホラー映画じゃないっすね。

URL | タイチ #- | 2013/11/27 11:37 | edit

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