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キャプテン・フィリップス キャプテンは、本当に「普通の人」 


キャプテン・フィリップス [DVD]
 キャプテン・フィリップス
 (2014年 アメリカ映画)80/100点


実際にあった海賊事件の映画化です。
ゆえに、派手な映画ではありません。本作は、史実の事件を緊張感溢れる演出で撮るポール・グリーングラス監督(「ユナイテッド93」など)の真骨頂です。乾いた空気感の中、生々しい描写がなされ、いつ誰が死ぬのか、死なないのか、全く分からない展開に胃が痛むような怖さがありました。

本作は2部構成です。前半は海賊に襲われて船長が捕われるまでを描き、後半はアメリカ海軍による船長救出劇を描きます。

船長であるフィリップス(トム・ハンクス)はヒーローではありません。仕事に対し真面目で慎重な普通の人です。
よく等身大の主人公と言いながら、超人的な大活躍をしてみせるワールド・ウォー・Zな映画がありますけど、本作はノンフィクションということもあって、本当に普通の人。
船が襲撃されても、「沈黙の戦艦」のスティーブン・セガールのように銃をぶっぱなすことはありません。空手を駆使することもありません。爆薬を仕掛けることだってありませんし、妙な大阪弁を話すことも、日本人妻を持つ事も、映画のスタッフにわがままを言って訴えられることもないので安心です。

しかし、フィリップス船長はかなり優秀な船長として船内の警備には慎重です。鍵をしっかりチェックして回ったり、気の抜けた船員にズバリと注意をして締めたりと、細やかであり頼もしい理想の上司像でありました。

なにより、武器を駆使せずに海賊を追っ払う知恵に長けています。
序盤、案の定現れた海賊への撃退法が見事だったものです。
しかし、海賊どもは上層部からのプレッシャーもあり、何としてでも襲撃を成功させてやると意気揚々。
再度現れ、今度は怯むことなく銃をぶっぱなしての強行作戦を決行します。

対して、乗船させてなるものかと対抗する船長と乗組員たち。
さながら…大人版「ホームアローン」のような攻防戦を繰り広げるのでありました!
もちろん、海賊たちの顔つきといったら、ジョー・ペシ(ホームアローンの泥棒さん)のような柔和なものとは違い、ホンマモン? と思えるほどの顔つきで、やたらリアルです(実際にソマリアで役者を選んだといいます)。悪役商会も真っ青のホンマモン度数の高さは、青汁を呑ませただけで殴りかかってきそうなほど危なっかしいのでありました(?)
海賊VS乗員。どっちも命を賭けた必死さですので、ヒリヒリするほどの緊張を醸します。海賊に対し、丸腰の乗員たちは放水したりガラス片をばらまいたりして抵抗します。
様々な罠に引っ掛かる海賊たちは、ジョー・ペシのような「アイテテテテー!」なんて悠長でコミカルなリアクションはしません。ばらまかれたガラス片の上を裸足で踏んでしまった海賊の一人は、失神しそうなほどの激痛に顔をゆがめます。見ているこっちまで顔がゆがむ程の痛々しさ。ただ、マコーレー・カルキン(ホームアローンの主人公)みたいに、敵の頭をガスバーナーで焼いたりまでしません! あれでもジョー・ペシは、「ひゃー!」だけで助かっていたけれど。

見るからに粗暴であり、乱暴な海賊の彼らは、いつ発砲し人を殺すかわかりません。
とはいえ、彼らはプロのテロリストというわけではないので、戦闘の素人である乗組員の奇襲程度であたふたする場面もあります。そういう面からして、大変にリアルな「修羅場」を見せつけられている感じでした。

無題


さて。

そんなこんなあって、船長は人質として海賊にさらわれてしまいます、結局!

さあさあ、お立合い。
実は本作の真骨頂は、後半のアメリカ海軍による「船長救出作戦」なのであります。
「てめーら、オレらに勝てるとでも思ってんのか、こら」と言わんばかりのオラオラなアメリカ海軍の登場は、何とも言えない頼もしさに溢れており、若干の海軍プロパガンダな印象もありました。ま、そこはご愛嬌。

そんなことより、注目すべきは「普通の優秀な船長」であったフィリップス船長が、今度は完全に「普通のひ弱な人質」になるところです。
フィリップス船長が機転を回し、海賊どもをバッタバッタと殴り倒す…なんて一切ありません。
本当に人質なだけです。
代わりに大活躍を見せるのは、アメリカ海軍なのであります。
素人に毛が生えた程度の海賊団VS戦闘のスーパープロフェッショナルのアメリカ海軍。

もはや、どちらに軍配が上がるのかはハッキリと見えているのです。

ゆえに、後半のハラハラは、フィリップス船長が無傷で助かることができるのか、できないのか。この一点。

フィリップス船長も、判っています。
アメリカ海軍が「勝つ」に決まっている。
また、最終的には、どんな手を使ってでも「海賊」を一掃しにかかってくると。
フィリップス船長の脳裏には、悪い予感がよぎります。
無茶な救出作戦のあげく、海賊に撃ち殺されてしまうかもしれない。また、海軍の攻撃で、自分も巻き添えを食らうかもしれないと。

今は倫理上の問題か、テレビ番組の「衝撃の瞬間」での、「人質惨殺場面」など、めっきり見なくなりました。
昔はありましたよね。無茶な救出作戦のあげく、立てこもった犯人たちが人質を撃ち殺していくって映像。(昔は、よくやってたよなー)
私だって、「人質」になってしまったら、あの映像を思い出して震え上がることでしょう。
フィリップス船長もまた、救出作戦失敗という「死」を覚悟し、家族に遺書を書きとめるのでした。

その「覚悟」をよそに、アメリカ海軍の救出作戦が難航しながらも進んでいきます。
緊張感はマックスにまで達し、それは時間の感覚をなくすほど。
果たして、アメリカ海軍はフィリップス船長を無事に救出することができるのか。

これは、相当な見応えでした。

無題2


それにしても、素晴らしいのはフィリップス船長演じるトム・ハンクスです。

ラストもラスト。フィリップス船長のとある「涙」の場面。

気が抜けた後に訪れる、このあっけにとられるほどの「普通でリアルな感情」に、思わず目頭が熱くなりました。

この映画は、この最後のフィリップス船長を描くためだったと気づかされたのでした。




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Posted on 2014/02/06 Thu. 22:46 [edit]

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