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SHORT PEACE 映像技術なんていらない! 


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 SHORT PEACE
 (2013年 日本映画)総合70/100点


偉そうなこと言うと…「映像技術が凄いんだ」というのは、イコール「映画が凄いんだ」ということには決してならないってことだと思います。
本作は、まるで「映像技術の品評会」…これをきっかけに資金を集めて、本格的な長編制作の足掛かりにしたい…という意図なのか。それならまだ救いがある、といいますか。これ、まず練習なんだよーということなら、まだ納得できるといいますか。

これが、本気の本気だったらマズイですよ。

と、思ってしまったのでした。

確かに、本作の映像技術は凄く目を見張るものがあります。まるで駄目、というわけでは全然ありません。見どころもあります。けれど、全体から香ってくる「短編なんだしこんなもんだろ」的な匂いが気にかかりました。
もちろん、それは完全に誤解かもしれません。しれないけれど、圧倒的な物語のつまらなさにそう感じずにはいられなかったのでした。

そりゃあ、「世にも奇妙な物語」みたいなどんでん返しが必要とは言いませんけど…。なんか初めから見せたい「映像技術」ありきで、物語は後からくっ付けたみたいな感じがとても強いのです。
技術を見せ終わったから、さあ、物語もここでお終いだよという感じ。
…。
「ゼロ・グラヴィティ」を見よ!
あちらは見せたい物語のために、映像技術を後から作り上げたのです。

そう!
技術が先に来てはダメ! だと私は思っています。

代表例が、「イノセンス」以降の押井守。
偏見かもしれませんが、「押井守は行っちまったのさ。均一なCG技術の裂け目の向こうに。」
「ビューティフル・ドリーマー」や「パトレイバー劇場版」で見せた、あの驚異的に魅惑的な演出力はどこかへ消え、ひたすら美しい映像技術を見せつけることだけに力を費やしているかのような作品ばかりを作るようになってしまいました。
「イノセンス」の中で、一人の刑事が怒りを表す演出にて、「ゴミ箱を蹴飛ばす」という無様な手法を見た時、期待に膨らんでいた私の心は鋭い針を突き刺されたように委縮したのでありました。
まだまだ期待していますけど…次回作「ガルム戦記」では、ぜひ、かつての演出力を取り戻してほしい!

さて。
今回は、大友克洋監督の話でしたね。
そもそも、もういい加減あの「AKIRA」の大友克洋最新作! っていう煽りはやめませんか。
何十年前の話っすか!?
その後の「メモリーズ」も「スチームボーイ」も、大したことなかったって言っているようなものだと思います。
本作も、決して歴史に残るほどの見応えは感じませんでした。
渾身の長編を期待しているからこそ、ちょっと厳し目で見てしまったのかもしれませんが…。

本作は、OPアニメと4編からなる物語のオムニバス形式です。
散々けなしたようなことを書きましたが、確かに印象的な部分もあります。
一つ一つ、ご紹介。


『OP』 監督:森本晃司
実は、ここからして…不安を感じたのでした。
デジタル的な画面がちらちらと散りばめられ、テクノチックと言いますか…何となく時代錯誤感が…。
女の子が次々に着せ替えられていく様子も…もしかしたら、この映画は自分には合わないのでは…と嫌な予感を感じたものです。

ショート


『九十九(つくも)』 監督:森田修平
いわゆる、「もったいないお化け」のお話。
激しい雷雨に遭い、深い森の中のお堂で雨宿りする男ですが…摩訶不思議な世界へと紛れ込みます。
現れるのは人間に使い捨てられた「傘」や「着物」の数々。怨念を含み、生きているかのようにうごめいて主人公をおののかせます…が、実は男は修繕屋。腕が鳴るぜとばかりに、次々に壊れ朽ちた「道具」を再生していくのでした。

好みなんでしょうけど、CGで作られたキャラクターと背景画のミスマッチ感が気にかかりました。まるでゲーム画像のような感じなのです。そのために、キャラクターに息吹を感じられないのが痛い。単にセルアニメに慣れ過ぎているだけという指摘もありましょうが…。
男の修繕道具のカラクリや手際の細やかさには目を見張るものがあったので、どんな結末が待っているのか…と期待したのですが、巨大な龍をかたどった「もったいないお化け」がどどーんと現れて…しぼんで…気づいたら…お終い。
鑑賞当初、上映時間を知らなかったので超びっくり。これって1本こんなに短いの!? 内容薄くない!? と驚愕し、嫌な予感はウナギ登っていくのでした。

ショート2


『火要鎮(ひのようじん)』 監督:大友克洋
まるで絵巻物のような構図には興味を持ちました。
本作唯一の大友克弘洋監督作品。以前の作品「メモリーズ」の短編「大砲の街」では、全編ワンカットという素晴らしい試みがあったので、今回もこの構図でずっとやっていくのか!? とわくわくしたのですが…途中からその法則は藻屑に…。
代わりに終盤は「炎」の演武。確かに「火の表現」は凄いし、火消しの活躍は迫力があったように思いますが…これもまた、ええええっ!? ここで終わり!? という感じに…。井戸に何らかの意味があるような気がしていたのですが。主人公の娘と火消しの男の幼少時には、とてつもなく深い秘密があるような気がしたのですが。深読みして、どうつながるのかなあなどと考えている間に、画面がフェードアウトして終わりました。とても悲しかったです。

映像は本当に美しいですけど。下の画像の通り、着物の表現とかすごいんですけど。

ショート1


『GAMBO(ガンボ)』 監督:安藤裕章
鬼と熊の闘い。
確かに、もの凄い迫力でした。見応えありました。
長編でこの化け物と熊の壮絶な闘いや、ガンボと呼ばれる熊と村娘の交流がもっと見れたらなあと思ったものです。
とにかく、鬼の重量感やプレデターを越えた残忍さはまさに「鬼」です。見事な表現力。
あ、結局はプレデターだったんですけどね…。

これは結構好きです。
気づいたら、しっかり熊を応援してました。くまー! くまー! って。

ただ、リアル感のある絵柄に対し、若い侍や村娘のデザインが妙にアニメチックなのが…アンバランスかな。

ショート3


『武器よさらば』 監督:カトキハジメ
完全男の子向けなんですけど…本作で最も好きな作品です。
ほんと、このクオリティで長編になったらいいのになあと思いました。
なにより、本作で唯一オチがしっかりしています。
「なるほどー!」と唸ったものでした。皮肉にもほどがあるってな見事な結末。完璧なブラックユーモアです。笑いました。(短編だからこそ許されるオチでしたけど)
終わりよければなんとやら。この物語が本作を救いましたなー。

無人兵器VS兵士達の死闘です。

専門用語や見慣れない武器が飛び交い、スピード感・迫力・展開ともに申し分ない出来栄えです。
何度も言いますが、このレベルで長編が出来たらハリウッドの戦争映画に引けをとらない傑作になりそうです。

ショート4


という事で、良い点も多々ありながら全体的には不完全燃焼な気分で終わった本作。
培われたこの技術を世界が認め、資金が集まり、無事に長編が作られることを祈っています。
もしかしたら、押井守の元に資金を集めるより良い作品ができるかもよ。

しかし、最後のEDテーマ「夢で逢いましょう」は狙い過ぎで、大ハズシだと個人的に思います。

そこらへんのウケを狙った選曲は、庵野秀明の方が断然上かなー。


  

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Posted on 2014/02/12 Wed. 23:59 [edit]

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