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ドラえもん 新のび太の大魔境 命を賭して闘う小学生。 


映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 500ラージピース 新・のび太の大魔境 500-L161
 ドラえもん 新のび太の大魔境
 (2014年 日本映画) 80/100点


前回が「ファニーゲーム」で、今回は「ドラえもん」ってのが、なんとも一貫性のないブログですな。

さて。

ドラえもん映画は残念ながら「リメイク」に限る、と思っています。
今回、まさに30年以上前のドラ映画のリメイク。

やはりリメイク版は鉄板です。

どうして、こうもオリジナルストーリーと盛り上がり方が違うんだろーなー。
ノスタルジックな想いもあるのでしょうけど…なんか分からんが、終始ウルウル感激していたもの。

あらすじは、「秘境を探せとジャイアンに命じられたのび太は、ドラえもんと衛星写真を使って調査に乗り出す。そんな折り、のび太は一匹の賢い犬と出会い、自宅で飼う事に。ペコと名付けられたその犬は、ある日無数の衛星写真から一枚を咥えのび太に見せるが、そこには謎の巨人像が写っていた。ドラえもんといつものメンバーが、アフリカの奥地に存在する巨人像を目指して、夏休みの自由研究のノリで冒険に出発する!」というもの。

純粋でシンプルでいいですなー。2014年という時代性に全く合っていない物語設定も、迎合していない感じで良い!
旧作とほとんど違わずに、物語は進みます。

どら2


序盤の緩やかな「冒険ごっこ感」がたまりません。ドラ映画の真骨頂です。「恐竜育成ごっこ」「スーパーマンごっこ」「探検隊ごっこ」「魔法使いごっこ」「宇宙戦争ごっこ」などなど。旧作ドラえもん映画の優良な点は概して、こういった豪華でリアルな「ごっこ遊び」っていう感じが子供心をくすぐるのです。
普通だったら、「そんな普段着で冒険するか!?」とか、「危険過ぎるだろ、ジャングルなめんな!」とか言いたくなる突っ込みどころなのですが、本来そこをギャグとして狙っているのだから文句なし。

「100点の答案を隠しに家に戻る」のび太。
「上級フランス語会話の番組を録画しに家に戻る」スネ夫。
「おトイレのために家に戻る」しずかちゃん。
そして、「そんな冒険があるかー!」と憤ったジャイアンが、「ママが怖くて家に戻る」という素晴らしいオチ。

その後、ジャイアンに「猛獣引き寄せマント」なる道具を身に付けさせ、ジャイアンをトラに食わせようとする恐ろしいイタズラを仕掛けます。何食わぬ顔をしているドラ一同は、逃げ惑うジャイアンを尻目に、秘密道具を使ってバッタバッタと猛獣どもを叩きのめすのであります。…引き寄せておいて、叩きのめす…。意外に陰湿な奴らかもしれません。 

案の定、不機嫌になったジャイアンは冒険を中止しますが、その夜、突如現れた巨神像に冒険再開を促され、再び冒険の旅に出発するのでした。その際、ジャイアンは「財宝の地図」を手に入れて神の御神託とばかりに盛り上がっていますが、それに対し胡散臭そうにするドラ一同。「この地図、わら半紙にサインペンで書いてあるよ」と冷静なツッコミを入れるのび太は、なかなかのリアリストです。

さて、再出発に際しては、ジャイアンの提案のもと便利な秘密道具を一切置いていくこととなります。
おまけに、空き地に置きっぱなしだった「どこでもドア」を、不法投棄されたゴミと勘違いされ、ばらばらに刻まれてしまう始末。
「のび太の恐竜」の時にもあった「家に帰れなくなる」という、子供にとって最大にハードボイルドな展開。これこれ。ドラ映画には、普段のテレビシリーズにはないヒヤリとした緊張感があるのです。

小学生の彼らが、本当に「命」を賭けてますぜ!
原作が楳図かずおであれば、大半が死んでしまう展開です。

さて。

登場人物のシンプルさも旧作の良さですね。
無駄な萌えキャラなど、一切いません。
「ペコ」と名付けられた、賢そうでいてどこかミステリアスな犬のみです。
ただの犬であるはずのペコですが…
序盤、冒険に出発する前にジャイアンに「号令」を促され、ドラ一同が「1!」「2!」「3!」…と番号を言って、最後にペコが「5!」と叫んで、「誰だ?」となる伏線。お見事としか言いようがありません。そのあと、スネ夫に「ジャイアンを入れたら五人じゃないか」と言われ、そうかオレだったかと納得するジャイアンは、社員に上手に転がされているワンマン社長のようで素敵です。

dora 4


その後、物語は少しずつジャイアンを軸に語り始めていきます。
というか、ジャイアンのドジのために、いくつかの危機を招くことになるのです。
責任を感じながらも素直な態度になれず、拗ねたような態度を見せ続けるジャイアン。
それを感じ取ったペコはジャイアンを励まそうとし、ジャイアンはペコを抱いて泣き出すのでした。

そう、有名な話、本作はジャイアンが胆の物語です。
普段のジャイアンは、「カツアゲ」や「無差別暴力」を犯す児童鑑別所行き寸前のガキ大将なのですが、劇場版になると途端に頼もしい奴として活躍します。元祖・ギャップ効果です。

そういったジャイアンの心の葛藤が物語の軸となり、伏線となって、終盤、燃え盛る森の中でのピンチに、ジャイアンが立ち上がるのです。
「逃げろ」というペコをぶん殴り、ペコとともに死地へと向かうジャイアンの姿に、「あれが、たけしさんの責任の取り方なのよ!」と、しずかちゃんが名女優のように語ります。そして、ドラ一同はペコとジャイアンの後に続き、闘える道具もない状況下で勝ち目のない闘いへと赴くのでした。
セリフの聞こえない無音の中、BGMもうまく流れて、非常に感動的な場面。まさに鉄板ってやつです。泣けたー。

それにしても。

これ凄いなーと思ったものです。
だって、何気ですけど、ようは彼らは「死ぬ覚悟」ですからね。ほぼ死ぬ事が分かってての行動なんですよ。ママに二度と会えなくなるかもしれない状況下なんですって、しつこいけども。
恐らくドラ映画史上、最も「命賭け」の場面ではないかと思います。(『魔界大冒険』や『リトルスターウォーズ』以上に、『絶命必至の覚悟』だと思います)
敵兵に向かって行き、一人でも巨神像に近づくことができれば…というノルマンディー上陸作戦をも彷彿とさせる決死行。
なんでそんなにも死ぬ覚悟ができるんだ! みんな、凄すぎるぜ!
しかも、普段着でかー!

そりゃもちろん、最後は「勝利」で終わるんですけど。アニメなんで。
でも、彼らの「死ぬ覚悟」を切実に感じてしまうほど、本作はハードボイルドなのであります。
その後、敵側の隊長と死闘を繰り広げるのび太。
奇跡的なタイミングの良さがなかったら、今頃は串刺しです。

dora3.png


さてさて。

前述したとおり、本作は原作や旧作に非常に忠実な作りとなっております。無駄なものは足さない。それでもいいとは思うのですが…2点だけ、本当の希望としては手を加えてほしかった点もありました。

1.ジャイアンが物語の軸になる伏線が弱い。
いつものように始まって、いつものように登場したジャイアンが急に物語の軸となる伏線が弱い気がしました。唐突感があるのです。オープニングで、彼が「冒険」についてもっと語るなりしてほしかった。一応、それらしい場面はありましたけど、スネ夫も一緒だったため印象が薄まったかなと。


2.いくらなんでも、秘密道具「先取り予約機」は強引過ぎ。
昔から思ってました。いくらなんでもご都合主義過ぎるだろうと。「先取り予約機」とは、「近い将来に同じことをする約束を機械に吹き込む事で、今すぐに願いが叶う」という道具。しずかちゃんは、その機械を使って未来の自分たち5人を助けに呼び出すのでした。こんなことが可能ならなんだって解決してしまえるでしょう。アイディア的にはとても安易です。ここは変えてくるかなーと期待していたのですけど、原作のまんまでしたね。
(『鉄人兵団』でも、突然過去にタイムワープして『ロボット兵団どもの歴史を変える』だなんて、唐突!)


その他、ツッコミどころとか、印象的ないくつか。

・のび太のママは「三石琴乃」に変わって、妙に色気が出ています。イヤじゃないけど。時折のび太がシンジに見えそうで…見えないか。

・序盤、巨神像を見つけるあたりから出木杉に助言を乞うあたりまで、もっと緊張感や高揚感があっても良かったと思います。ちょっとBGMも含め、ノリが軽すぎませんか?

・ジャイアンの声優の人がどんどん上手くなっていってるね!

・のび太の「優しさ」にはもの凄い力があります。ペコにソーセージをあげる姿だけでも、なんかウルルときます。
落ち込んだペコを励ます時でも、自虐エピソードを織り交ぜたり、抜群のカウンセリング能力を見せつけます。

・「先取り予約機」で約束した通り、物語が終わった後、ドラ一同はまたまた激戦の地に向かわねばなりません。本来はヘトヘトになっているはずですが、ジャックバウワー並みの働きです。


・ついでに言うと、夏目三久…ヘタではないですが…聞いている方が恥ずかしかった。

ドラ


さて、というわけで。
旧作リメイクの素晴らしさを改めて実感できた本作。
新ドラ映画のオリジナルストーリーがつまらない理由は、まさにズバリ、「途方に暮れそうなほどのハードな展開」「ほんまもんの戦地という舞台設定」が足りない、ということなのです。


  

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Posted on 2014/03/12 Wed. 22:48 [edit]

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コメント

 

どうも。初めてこちらのブログを拝見させていただきました。
私もこの映画を見てきたのですが、こちらのレビューをみてまた楽しむことが出来ました(笑)
まさしく的を射たようなレビューだと思います。
これからも更新頑張ってください。

URL | donten64 #- | 2014/03/31 01:23 | edit

donten64 様 

コメントありがとうございます。
楽しんで頂けて嬉しいです。
できるだけ、頑張って、楽しい文章をと思っております。
更新が不定期ですが…よろしくお願いいたします。

URL | タイチ #- | 2014/03/31 12:48 | edit

 

はじめまして、はじめてブログを拝見させていただきました。
今回の『大魔境』は、ドラえもんファン歴25年の私にしても最高傑作だったと思われます。気がつかれたか、どうかわかりませんが、今回のジャイアンはキャラデザインが一部一新?(昔に戻された?)ように思えるところ(両目とも目の部分が白い部分があってその中に黒い部分が描かれているデザイン)になったことで少し懐かしさを感じたくらいです。ジャイアンの声優さんも、以前よりもうまくなり名場面のストーリーに違和感なく入れました。
ただ、くやしかったのが、のび太対サーベルの場面です。私個人としてはのび太の一世一代の大勝負は『宇宙開拓史』のギラーミンとの戦いだと思うのですが、それを旧作新作ともに上回るかっこよさだったからです。
これは『新宇宙開拓史』への批判になっちゃうんですけどね・・(涙)
これからも応援します。更新がんばってください。

URL | 亀凜 #- | 2014/04/04 11:30 | edit

亀凜 様 

コメントありがとうございます。
マニアックな見方、恐れ入ります。
そうそう、ジャイアンの目が変わっていましたね。
声優さんがたも、それぞれ、みな板に付いてきました。
もはや、昔の声を聞く方が違和感を感じるくらいか…?

のび太の闘いは、本当に命がけで驚きましたよ。
なんせ、道具の力使っていませんもの。
ただ、今回は、完璧「運」です。
ギラーミン戦は、重力の利はあるものの、実力勝ちって感じです。
しかし…映画になると、ドラえもんってバトル漫画ですね。

URL | タイチ #- | 2014/04/05 15:49 | edit

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