素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

漫画「GANTZ」(h26.5) 


 images (1)


「映画の原作漫画を読んでみよう」第2弾です。
前回は「ヒミズ」でしたけど、今回は、先日、映画「GANTZ」の感想を書きましたので、続けて漫画「GANTZ」を読破。
とはいえ、連載開始は10年以上も前なので、今さら感満載のチョイスではあるのですが…。

これが、面白いのなんのって! 震えが来るほどハマッた。連載13年間の軌跡を、たった2週間ほどで読み切ってしまいました。面白くて、先が知りたくて、止まらない、止まらない。

こんなに面白いものを、今まで見逃していたんだなあと。

映画「GANTZ」は、原作のファンから酷評だったらしいですが、原作を最後まで読んでしまった今、なるほどなー、物語を省き過ぎだよなあと納得する部分もあれば、よくあそこまで再現できたなーと感心する部分もありましたよ。

さて…なにせ全37巻もありますので、どう書き出せば良いものか…出来るだけ、端的に感想をば。
頑張ってネタバレしないよう、物語にはあまり触れないようにします。

さて。

箇条で行きましょう。「GANTZ」のココが面白い!

1.「日常性」と「残虐性」
私、この物語って、近未来かなんかの話だと思っていたのですけど、完全に設定は現代です。登場する若者も現代風であり、セリフも「今っぽい」感じが、ちょっと不快なほど出てきますが、それによって非常にリアルな日常が印象付けられます。この日常の日本の風景の中に現れる未来兵器を携えたガンツスーツの主人公たちと、異形の宇宙人たちの姿は、より一層「不気味」に映えます。
物語には常に「死」が蔓延しています。それもかなり過激な「死」です。人体破壊の美学とも言うべきなのか、まーグロテスクに首は飛ぶ、四肢が飛ぶ、上半身がちぎれ取れる…クラクラするくらいに残酷です。そういう残酷描写を楽しむだけの漫画なのかなあと思えるほどに、容赦ない。一般市民もあっけないほどに犠牲になっていきます。学校での虐殺や新宿での大量乱射事件、大阪での激戦など、いつもの日常の中で起きる無数の「死」の描写に、実際に起こりかねない予感を植え付けられ、読む者を震え上がらせます。


2.敵のおぞましさ。
上記の「残虐性」ゆえに、闘いには圧倒的な緊迫感があります。目を覆わんばかりの「死」を逃れるためには、「星人」と呼ばれる敵を倒さなければならないのですが、これまた、敵が圧倒的に強い。回を重ねるごとに、インフレを通り越して、果てしなく「最強」設定を塗り替えていく敵たち。最終的には何とか勝つし、漫画なんだから、勝っていくはずだと分かっているのに、読んでる最中は、とても「勝てる気がしません」…作者の術中です。フリーザが「私の戦闘力は53万です」と言った瞬間の絶望感を、毎回毎回突きつけてくる絶望漫画。それが、「GANTZ」なのであります。ちなみに、いつ、だれが死ぬか分からず、主要キャラと思わせておいて、あっさり死んだりするので、安心してページがめくれません。怖い。怖い。
おまけに、敵の造型がやたら怖い。これも回を重ねるごとにどんどん不穏になっていくのです。ちょっと頭おかしいんじゃ…と思えるほど、敵や敵の攻撃方法が気持ち悪いです。終盤に、飛んでくる光の胞子に触れた者の末路なんて…。もーやめてくれーというほど怖かった。

ダウンロード


3.熱いキャラクターたち。
残酷さやハードな闘いを楽しむだけの漫画…かと思いきや、意外に物語には人間の熱が込められています。主人公と各キャラクターたちが魅力的です。結構多くのキャラクターが登場しますが、「こいつは死なないでほしい」と思えるお気に入りキャラが見つかることでしょう(同時に、ハラハラ感はうなぎのぼりに)。気の抜けた男から、ぐんぐんと成長していく主人公・玄野、幼年時代から玄野に憧れていた好青年・加藤、やさぐれた中学生・西、玄野の恋人で地味なヒロイン・たえ、玄野に叶わぬ想いを寄せる日本一のアイドル・レイカ(ちょっと設定にパーマンのパー子を思い出した)、只のおっさんのはずなのに、意外に活躍してみせるおっちゃん、などなど。過酷な戦況の中に、次次に現れる猛者たちの頼もしさと…脆さ。

そのキャラクターたちが見せる熱い絆が、非常に見応えあります。

秀逸なのは、コミック19巻。忘れもしない傑作巻です。記憶を消されて戦線を離脱した主人公・玄野。何事もない日常に戻り、何事もなかったかのように、気の抜けた日々を送りますが…そこへ、声をかけてくる見知らぬ中年。実は、共に死線をくぐってきた仲間・おっちゃんなのですが、玄野は記憶が消えていて気づきません。おっちゃんは、道を尋ねるふりをして声をかけます。コミック1巻では、玄野は人に道を聞かれても「うぜえ」とシカトするような人間でしたが、ここでの玄野は、とても丁寧に返事をします。それを聞いて、にっこりとするおっちゃん。玄野の成長と、仲間の優しさが瞬時に見て取れて、非常に感動する名場面です。
また、玄野は常に恋人である「たえちゃん」のために命を賭けます。人類の為とか、英雄になるためとか、大それた運命を背負いません(結果背負っているのですが)。他のキャラクターたちも、しかり。半径数十メートル以内の身近な誰かを守るため。そのために、皆、命を賭けて戦うのでした。それは、やはりとても美しいものなのです。


4.戦争描写。
物語の終盤には、強大な文明と軍事力を誇る宇宙人との戦争が始まります。本作の真骨頂は、実はここから始まります。むろん、話が突然「壮大」になってしまうことに、戸惑いもありました。もう少し、こじんまりとした話を期待していたのです。人類滅亡の危機に陥るほどの「戦争」が始まることで、テーマが見えにくくなるのでは…?と。しかし、本作の戦争描写の中に、大事なテーマ性が二つ、描きこまれていました。
一つ目は、「価値観の逆転」
巨大な宇宙人は、人間を家畜のように扱います。虫けらのようにしか意識していません。ゆえに、捉えた地球人への扱いは、残酷極まるものなのですが…それは、地球人が普段から、動物や虫けらに対して行っていること、そのものでした。主人公の恋人・たえちゃんが、宇宙人の子供に捕まって、透明な鉢のような中で飼われる場面は、皮肉の骨頂。鑑賞用として扱われれる人間。まさに、人間の価値観の逆転。尊厳の崩壊。傲慢さへの断罪。この辺りは、地球人たちが一糸まとわぬ姿で逃げ惑います。人間の価値を、ここまでリセットしてみせた物語は、なかなか見られるものではありません。不快。それに尽きますが、まさに殴られたような衝撃を受けました。
二つ目は、「正義と悪の曖昧さ」
当初より、主人公側が宇宙人を殺していくことに「正義」が見えなかったのですが、この「戦争描写」では、人類が「正義」とは描かれません。宇宙人側にも、一般市民がいて、そして地球人側によって、罪のない宇宙人たちがむごたらしく殺されます。捕虜となった宇宙人も、信じがたい仕打ちを受けています。戦争編中盤までは、地球人が虫けらのように扱われますが、終盤では、地球人が同じように宇宙人を弄るのです。


5.謎
物語には、数々の謎が提示されます。
「なぜ玄野たちは闘わねばならないのか」
「星人とは、何者なのか」
「なぜ死者が生き返ることが出来るのか」
「神は、存在するのか」

たくさんの謎が散りばめれ、これによって先が読めずに引き付けられました。
最終回を読み終わった今、果たしてすべての謎が解けたのか、また、納得のいく解き方だったのかは…ま、人ぞれぞれに思うところはあると思いますが。

91436818.jpg


さて。

簡単に魅力を書いていきましたが、とにかく残酷で、不思議で、熱くて、壮大で、深遠な物語。

ただ、序盤はかなりエログロなので、読む人は限られてしまうようには、思います。そういう意味では、オススメしにくい漫画です。

ところで。

前回映画版の感想を書いたときに、「死者が生き返る」設定を批判し、そんな漫画は読みたくないと書いてしまいました。本作は…マックスに「死者が生き返る」漫画なんですよね…たはっ。
ただし、本作では、「人が生き返る」設定に関して、ある意味が込められています。詳しくはあまり触れない様にしますが…。中盤で、死者を生き返らせることに関して、登場人物の一人が疑問を呈します。「人の命って、簡単に生き返らせたりできるような、そんなにチープなものなのか?」と。この問いかけが、終盤ある非常に衝撃的な場面につながっていきます。これまた、ぶん殴られたような衝撃。人の命と、虫の命…果たして、何が、どう違うというのか。愛や情をしらっと嘲けてみせる展開に、果たして主人公たちは、どう抗うのか。

さて。

この「GANTZ」の最終回は、非常に評判が悪いようですね。確かに、あっさりしていて、「えええー! もう終わりー!!」という気持ちになりました。まるで香港映画のような…「事件が終わったら、はい終わり」って感じでしたね。13年間読み続けて感情移入しまくっていた人にとっては、突然そっぽを向かれたような…裏切られた気になった事でしょう。もう少し、後日談があってもいいように思います。真理を解く謎の宇宙人の話も、もっと聞きたかったような気がします。

ガンツs


これ、後半の「戦争編」だけ、ジェームズ・キャメロンあたりに映画化してほしいなあと思ったりもするのでした。

あー、しかし、本作の面白かったところを書いていったら、本当にキリがありません。本当に魅力的な漫画。久しぶりにドハマリする幸福感に満たされた傑作でありました。



 

記事を読んで頂きありがとうございました。
よかったらランキングにご協力ください。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 

 <スポンサードリンク>

その他きまぐれ感想の関連記事

 <スポンサードリンク>

Posted on 2014/05/04 Sun. 23:10 [edit]

TB: 0    CM: 2

04

コメント

素晴らしい記事 

かなり古い記事でしたが、素晴らしい記事でしたのでコメントさせて頂きます。
私も19巻と1巻のシーンが重なり合い、主人公の成長がみれたシーンでとても感動しました。物語は完結し、賛否のある終わり方でしたが、全体的な物語は完成度がかなり高かったと思います。特にキャラが魅力的なのにいつ死ぬかわからないというハラハラ感やひとりひとりの感情が凄くリアルでしたし面白かったです。
私は1巻と19巻のように主人公の成長がみられるシーンが好きなのですが、他作品でそのような漫画やアニメなどはございますか?

URL | コダック #- | 2016/10/17 23:30 | edit

コダック 様 

コメントを頂戴しありがとうございます。

お褒め頂き、光栄です。

『GANTZ』ほどハマった漫画は、近年ありません。
本当に面白かった。連載開始当初は、チャラくてグロいだけの悪趣味な漫画だろ、などと思い込み、読んでいなかった自分の愚かさ。しかし、そのおかげで、続きを待つことなく、GWを使って全巻一気読みする事ができて、まー、最高でしたねえ…。

私も、同じような漫画を探して回っているのですが…なかなか見つからないところです。
何かないですかねえ…。
とりあえず、評判の凄くいい、『GANTZ:O』は観ます!

URL | タイチ #- | 2016/10/18 00:02 | edit

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/189-426e0265
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list