素人目線の映画感想ブログ

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オール・ユー・ニード・イズ・キル パラレルワールドかリセットか。 


 Edge of Tomorrow (1)
 オール・ユー・ニード・イズ・キル
 (2014年 アメリカ映画) 84/100点


(結末に触れていませんが、ややネタバレを含みます。)


トム・クルーズ主演のSFアクションは、なかなか微妙なものが多いんですけど…
「マイノリティ・リポート」「宇宙戦争」「オブリビオン」などなど…
その過去の経験より、本作は全くノータッチで通り過ぎていきそうだなーと思っていましたが、やはり日本のライトノベルが原作ってところに引っかかりまして。おまけになかなか評判がいいってことで、何か感じるものがあり劇場へ。

これがどうして、面白かった。
アクションよりも物語が面白かった。いわゆる「タイム・ループ」の物語。
本作では、主人公が戦場で命を落とすたびにリセットされて出撃前日に戻ります。
周りの人間はそのことに気づきません。主人公だけが、記憶を残したまま時間を遡ります。
この設定自体は決して斬新ではありません。
「恋はデジャブ」
「ビューティフル・ドリーマー」
「時をかける少女」
海外小説では「リプレイ」という大傑作もあります。

覆水が盆にかえってくれる…後悔が先にたってくれる。
ようは、「やり直し」がきく人生ってのに、人間は至極憧れるものなのです。
それを叶えて夢を見させてくれるのが、「タイム・ループ」という設定なのでした。

あらすじは、「一兵卒のケイジ(トム・クルーズ)は、戦場で命を落とした瞬間、出撃前の時間に戻れる能力を身に付けた。繰り返す戦死の果て、ケイジは次第に力を付けていく。唯一の理解者は、同じループ経験者であり戦場の女神と讃えられる女兵士リタ(エミリー・ブラント)。二人は、敵のボスのアジトを目指す…」というもの。

ニード2


序盤、主人公のケイジはかなりの腰抜けです。トム・クルーズがヘタレを演じる様子が珍しい。
もともと軍の広報官ですが、上官より前線への出動を命じられ、「ハッハッハ、ジョーダンバッカシ!」といつものトム・スマイルを炸裂させてみせますが、あっさりと上官の逆鱗に触れます。
強制的に最前線へ飛ばされたケイジは、初めての戦場でにっちもさっちもいかず、武器の安全装置の外し方さえわからず、終止「アンゼンソーチ! アンゼンソーチ!」と涙目なのです。こんなトム・クルーズもあったものかと新鮮でした。

そんなんだから、すぐ死にます
が、死ぬ直前にループ能力を持った敵を巻き添えにし、その敵の体液を浴びたことで、ケイジにも同じ能力が宿るという筋書きなわけですな。

ループものにありがちな楽しさは、全く同じ出来事が繰り返されることでケイジが次第にこなれていき、「ハイハイ、ワカッテマスヨー、ハイハイハイ」と周りの人々の戸惑いもよそに、なんか急にテキパキしてくるところ! おどおどしていた序盤とはうって変わって頼もしいです。本来のトム・クルーズに急速に戻っていくわけなのでした。

ニード8


本作は結構コミカルな点もありまして、何度も死ねるものだから、ひょんなことで死にまくります。
・訓練からの脱出を試みるも、トラックに轢かれて死去。
・仲間を助けてみるも、代わりに犠牲になって死去。
・戦場を駆けてみるも、戦車にはねられて死去。
その他でも、我々観客の知らない所で無数に死にまくっているようです。
練習中に怪我したら、はい自決。(正確には仲間のリタが、躊躇なく撃ち殺してくれます)
上官の説得に失敗したら、はい自決。
敵に囲まれて行き詰ったら、はい自決。
まだ、ちょっと大丈夫そうなんだけど…まー、自決いっとく? 

気持ちいいほど命を粗末にしまくります。

これ、ようするに「テレビゲーム」です。
ゲームには「初見殺し」というものがあって、初めてのステージでは「罠」や「敵の出現位置」を知らないため、不意をつかれて死んでしまうんですが、その直前から再スタートできるから二度目以降は攻略できるようになるわけです。それを幾たびも繰り返さないとクリアできないゲームを「死にゲー」といいます。
ケイジはまさに無限コンティニューを手に入れたゲーマーよろしく、この「死にゲー」を少しずつ少しずつクリアに向けて進んでいくわけです。その点には作り手も十分意識しているようで、エンディングのスタッフロールでは「ゲーム画面」が流れていました。

さて。

そんな反則技を手に入れた主人公・ケイジですが…そうはいっても、なかなか戦場を攻略する事ができません。道半ばにして、幾度も「死」を繰り返します。そして、ケイジのみならず、仲間の女性兵士・リタもケイジの目の前で幾度も「死んで」しまうのです。
次第に、この「タイム・ループ」の「物悲しさ」が漂い始めます。
ケイジは、リタに惹かれていますが…そのリタが何度も死にゆく様を目撃していくうちに、ケイジは己の無力を感じてしまうのです。
リタもまた、かつてループを経験していた頃、恋人の死ぬ様を何百回も見たといい、常に表情にもの悲しさを浮かべています。
ケイジもまたショックを重ね、ついにはリタと袂を分かとうとさえするのでした。

切ない系SFは大好物ですが、本作もまたしかり。トム・クルーズのさすがの自己犠牲の愛が胸を打ちます。
やっぱりそこはトム・クルーズなのでした。
「ヘタレシーンヲ、バンカイサセテ、モラウデー」とばかりですな!

ニード3


さてさて。

面白い映画であることは間違いないのですが、いつくか気になる点もちらほらあります。
これ、原作ではどうなっているのか分からないのですが、本作で最大に気になったのは、この「タイム・ループ」が果たして「パラレルワールド系」なのか「完全リセット系」なのかってことなのです。
これによって、作品への感情が大きく変わっていくと思います。

「パラレルワールド系」とは?
つまり、同じ時を繰り返しているのは主人公だけで、他の者にはケイジが死んだ後も事態は続いているという設定。
ケイジは別のパラレルワールドに移動しているだけ、ということ。

「完全リセット系」とは?
ケイジのみならず、全員が時を遡っている。ただし、記憶が残っているのは主人公だけ。

これ…普通は前者である場合が多いですよね。
けれど、本作に限ってはぜひ後者であってほしい!
なぜならば、前者であった場合、ケイジは何度も生き返るからいいようなものの、リタは本当に死んでしまっていることになるからです。これは救いがない。リタ側にしてみれば、「私の番は大丈夫よね!?」と戦々恐々です。「最後の女でありたい」と別の意味で切望することでしょう。
中盤あたりで、リタが気付きます。ある小屋でケイジと身を隠している時です。ケイジがリタのために珈琲を入れてくれます。初めてのことだと思いきや、ケイジは「砂糖は3つだったね」と口を滑らせるのです。
「この場面、何回目なの・・・?」
リタは恐る恐る尋ねます。
この場面が初めてではない、ということは、この直後に「死に至る危険」があったということ。そして、「実際死んだ」ということ。それも、何回も。
ケイジは答えます。
「この先で、どうしても死んでしまうんだ…。」
正直だなー。

ケイジが無数のパラレルワールドを移動しているだけならば、たとえこの先に人類を救うことがあったにせよ、無数のパラレルワールドの一つの世界を救ったに過ぎません。無数のリタが、無残に死んでしまったことになるのです。

ニード


ゆえに、本作鑑賞中は、「完全リセット系」であってくれと祈っていたのですが…私が聞きそびれたのか理解不足か、そこへの言及はなかったように思います。非常に気になります!
誰か、ご存知の方がいらっしゃったら教えてください。

もしも「パラレルワールド系」だったなら、本作の評価は70点です! それこそ、切なすぎますので。


あと他に。

・リタはえらいカッコイイです。スゲー強いのかと思いきや、結構あっさりと死にます。しかし、それこそが戦場のリアルともいえます。

・敵の動きが俊敏過ぎて姿がよく分かりませんが、どことなくタタリ神っぽいです。

・ループして目覚めるたび、車両に描かれた「リタの絵」を見せる所が、ループものっぽくていい!

・死んで目覚めるまでに体力は回復しているのかもしれませんが…何百回とまともな休みなく「死」を繰り返してたら、ちょっと精神がもつものか気になりました。文字通り、「死ぬほど痛い目」に何度も襲われるわけですからね…。

・後半、仲間を募る場面はなくてもよかったのでは? あっさりとケイジを信じる仲間たちが、騙されているわけではないんだけど、騙されている感満載でした。

・強化スーツは動きがもっさりしてて心配になりましたが…着慣れるとスピーディーに動けるようで安心。それにしても、リタのスーツ姿がばっちりキマってます。

・ループして訓練したところで、記憶以外の筋力なんかはリセットされるわけだし、強くなるはずがないのでは? という意見を耳にしますが、だからこそ強化スーツ設定なのでしょう。あれがあれば、筋力はみな同じくパワーアップされるわけですから。

・終盤、ループ能力を失ってからの緊張感はどえらいものです。無現1Upで相当数に残機を増やしていたマリオが、気づいたら残り1機になっていた時ほどに手に汗握るのです。

・残り3時間でなんとかしなくちゃ…って、3時間でそんだけのことが出来るなんて!? ループ以外にも反則技を持っているとしか言いようがありません。そう、「ご都合主義」という最強能力!

・ラストが謎です。「(反転で)ラスボスを倒した後、またループして戻った世界ではラスボスが消え世界に平和が訪れていました。リタも生き返ってました。なぜ? ループしたなら、ラスボスを倒したこともまた白紙に戻らないの?」他の方のブログを見て回ってますけど…この解答が見当たらない。これも、どなたか教えてほしい。

ニード5


それにしても、このループ能力…ものすごく欲しいです。
時々思うんですよね…。
重たい家具を散々動かした挙句、模様替えに失敗していることに気づいた瞬間とか。
前夜に最寄りの100円パーキングに車を止めたことを忘れ、朝、徒歩10分の契約駐車場まで歩いてしまった時とか。
ゲームソフトを買って、驚くほど面白くなかった時とか。
ル―プしたいなあ。けど、その度に死ぬのはちょっと重いなあ。…昔、筒井康隆の小説で「しゃっくり」ってのがありました。しゃっくりする度にループしちゃうというやつ。あれだったら……自分のタイミングでできんわあ。
そう。
人生、ループなんて出来ないからこそ、一日一日を大切に生きなければならないのです…って、ヤバイ! 月並みな締めしか思いつかない。…あとから、うまいオチを思いつくことがあるんで…そん時…ループして書き直したいわあ。


   

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Posted on 2014/07/01 Tue. 23:54 [edit]

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コメント

 

最近2度目を観ましたが「パラレル」か「リセット」かというところで言うと、リセットだと思います。最後のアルファを殺さずにオメガだけを伐たなければならないのは、全てがリセットされてしまうからで、もしパラレルならあの場でアルファを殺してしまったとしてもその後じっくりオメガを殺せることになるので、「その世界では」平和になったという話しになってしまいます。なので、並行世界が無数に存在しているわけではなく、一つの世界のみの話しではないかと思います。

URL | BHLF #- | 2016/08/25 12:25 | edit

BHLF 様 

コメントありがとうございます。
ようやく答えを頂戴出来て有り難いです。
なるほど、そうか。そうですよね。そうであってほしい!
「リセット」でないと、やりきれないものだから…。
ようやく溜飲が下がりました。ありがとうございます!

URL | タイチ #- | 2016/08/25 12:54 | edit

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