素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

アナと雪の女王 女王は二度過ちを犯す。 


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 アナと雪の女王 
 (2013年 日本映画) 79/100点


(ネタバレ覚悟で綴っています、もう観てない人はいないでしょ?)


興行収入250億円突破。空前の大ヒットです。
観ていなくても、主題歌「レット・イット・ゴー」を誰でも知っています。
町中で「レリゴー、レリゴー」と聞こえてこない日はないほどです。
DVDが出てもなお劇場のスケジュールから消えないのだから、よほどのリピーター率ではないでしょうか。
アメリカ・アカデミー賞でも、「風立ちぬ」を抑えて長編アニメーション賞を受賞しております。
人気・評価ともに大傑作を保証された本作を、私、遅ればせながらようやく観たのであります。

そしたら。

あれ…?

そんなに凄いかな、これ…?

と思ってしまったんですよ、これが。

あんまし声を大にして言ってはいけないのでしょうか…ね?
周りでは、「泣いた泣いた、感動した」と絶賛の嵐だし、劇場では合唱さえ巻き起こるほどの盛り上がりですから。

だもので…今回はひそひそと綴っていきたいと思います。

人の好みはそれぞれということでお許しください。

私にとって、本作は…その…。感動など微塵もありませんでした…(ゴニョゴニョ)

ところが。

後ろめたい気持ちで他の方の感想を探していたら、結構批判的な意見も少なくないようなので安心しました。

そう、そう。

物語がうっすいんですよ。うん、うん。

いやいや…その…素直な気持ちで観れば、「真実の愛」の物語であって、とても美しい物語なんです。
そうそう。「今さら『真実の愛』…ってマジ?」だなんてひねくれてしまい、苦笑いを噛み殺しきれない私の薄汚れた気持ちがいけないのは十分に分かっています。

また。

私が「ディズニー映画」に不慣れであるせいもあるでしょう。
ディズニー映画とは、そういう映画なのでしょう。
もちろん、従来のディズニー映画とは違う新鮮な設定と展開があり、ストーリーに捻りがあったのはよく分かります。
「自ら行動する女性像」「王子に頼らない自立心」「女性同士で助け合って切り開く展開」などなど、確かに「ほー、そうくるかー」という、新鮮で「今風な」場面は多かったです。
しかし、それは「ディズニー映画で考えれば」の話しであって、女性が強いとか、自立してるとか、自己実現を目指すとか、そういう描写自体には一切の目新しさはなく、「単にディズニー映画がやっと時代に追いついただけでは?」程度にしか思えなかったのです。

もちろん。

そもそも私がミュージカルが苦手だというせいもあるでしょう。
なぜ歌うんだ? と根本の疑問を持っている人間にミュージカルは無理です。
歌いだされると苦痛を感じます。
物語が止まるからです。せっかちなんです。
「歌う」という描写は、その時の登場人物の感情をふんだんに放てる深い心理描写なのであろうとは思いますけど。
しかし、日本人ってそんなにミュージカル好きでしたっけ?
250億円分も客が入るほど、ミュージカルって人気のジャンルでしたか?
確かに「レット・イット・ゴー」は名曲だけど。それ以外では、「雪だるまつくろー♪」が記憶に残りました。
あとは…もう歌わんでいいのになーと思ったくらい。

 アナ5


話を「物語」に戻します。

すでに他の方も批判されているように、序盤がものすごいテンポで進みます。
1時間30分しか上映時間がないので、ものすごい勢いです。
妹のアナは、制作者の事情を察しているように決断・行動が早いです。
恋に落ちるのもあっとういう間なら、雪山へ姉を探しに行くにも、一切下準備もなく馬に飛び乗ります。
そんなもんだから、防寒具も付けずに雪山を進むリアリティのなさ。(寒そうにはするけど)
エルサとアナが、戴冠式にて本当に久しぶりに対面する場面でも、なぜこんなに淡泊なのか?
「あら、お久しぶり…」くらいの感じなのが不思議で。本来なら大事件だと思うのですが。
両親が不慮の事故で亡くなったことさえ共有する場面がない…。
まるで「細かいことはいいから、とっとと物語を進めんだよー。歌もあるんだから尺がねーだろ!」と言っているようでした(言ってるわけないけど)

すみません。m(__)m
本作が絶賛の嵐なのはよく知っています。
なので、なのであえて、ここでは辛口に言おっかなーって。

続きます。

「レット・イット・ゴー」の場面がこんなに早く訪れるとは思いませんでした。
「冬をつかさどる能力」を持ったが為にお城に幽閉され、ずっと自己を否定して生きてきたエルサが、「ありのままの」自分でいいのだと自己肯定する場面です。
けど、それは…美しい描写であり生命力に溢れた描写なのですが…はっきり言えば、ヤケを起こしただけでは…?
通常であれば、自分の能力が何かの役に立ったとか、人に褒められたとか、そういったことで自信を取り戻すところだと思いますが、エルサの場合、完全に人に忌み嫌われてしまったために、「もういいやー、ばーか、ばーか。もーひとりでやってくもんね。そうすりゃ、能力使いまくりだし。誰にも気をつかわんでいーわーい」と開き直っただけ。
感動の渦を巻き起こしたという「レット・イット・ゴー」の名場面が、本当はものすごくネガティブで後ろ向きな気持ちの発散だったことに、どえりゃービックリしました!(個人的見解です)
エルサは、やけくそになってひとり暮らしを始めただけじゃん!
ひとりり暮らしはあかん、エルサ。佐世保のあの子もやさぐれて、ひとり暮らししとったんよー。

ということで、ひとり暮らしを始めたエルサの元へ、児童相談所の職員…じゃなくて、アナが訪れます。エルサの遠慮のない「冬パワー」の放出で、国中が真冬になったことによる滅亡のピンチから国を救うためでした。もちろん、姉を想い、エルサに戻ってきてもらいたいという気持ちもあったことでしょうが、アナはエルサに対し、不用意にも「ねー、夏に戻してよー(ヘラヘラ)」とエルサの存在価値を完全否定する始末。ようするに、アナは思慮が浅い子なんですね。またまた激怒したエルサは、勢い余ってアナの心に氷ビームを打ち付けてしまうのでした。
苦しむアナ。はっとするエルサ。私はまた理解に苦しみました。これは二度目だからです。
幼少の頃にも、エルサのミスで頭に氷ビームが当たり、アナは瀕死の重傷を負っています。
そのトラウマを重たく抱えていたエルサのはずなのに、エルサはまたしてもアナに強烈な氷の魔法を浴びせかける…
あまりに反省が足りず、あまりに注意不足で、あまりに不用意です。…というか、エルサの心のバランスがまずい。「人を凍らせてみたかった。カチカチにしたかった」などと供述しかねません。全く同じことを二度繰り返すこの展開は、観ていて少しイラっとしましたよ。

アナ2


この後、前述したように、「真実の愛が必要だ」とか突然言い出すので、まいりました。
ただ、展開には多少なりとも捻りが効いていたように思います。
「人から与えられる愛」ではなく、「自分が発する愛」が重要なのだという展開は面白いと思いました。
ただ、アナの全身をカチカチにした氷が、「愛」によって溶けたのはなんとか分かりますが、なんでエルサまで氷の魔法を制御できるようになったのかがよく分かりません。愛があればなんだってOKなのか…? 最後に、無理やりにまとめた感がちょっと。

さて。

散々に悪く書きましたけど、期待が大きすぎたのだと思います。250億円もの興行と、巷の賞賛の声と、「風立ちぬ」を破ったアカデミー賞の獲得で、相当なクオリティに違いないと思い込んだのでした。
普通に見れば、普通に傑作だと思います。
映像は美しいし、セリフのテンポが軽妙で楽しく、アナの表情も豊かで見惚れるし、笑いもしっかりしています。
日本語版の声優も、アナ役の神田沙也加がびっくりするぐらい上手いです。もはや本職の声優並でした。これはすごい。
あと、雪だるまの妖精「オラフ」も素晴らしい。
というか、本作の面白さの半分以上は「オラフ」だと思います。
声のピエール瀧がまた巧い。
「純粋」で塗り固められたような気質。一番「愛」を知っているのは、実は王子でも氷売りでもなく、オラフではないのかと思ってしまいます。
自己犠牲で泣かせるかと思いきや、大したことにならないのは、まあ…誰も傷つかない安心設計ということで。

素敵な場面も多いので、普通に見ればよかったのです。
なまじっか、上記のような期待値を膨らますことがあったからイケない。
きっと劇場で観ていたら、もっと楽しめたに違いないとも思います。


(以下、ラストのネタバレします)

アナ4


それにしても、アナは「氷売りの男性」とどうなっていくのでしょうか。王子との恋愛では、「たった1日で!?」とエルサを怒らせてしまってましたね。実は「氷売りの男性」とだって、ほぼ1日くらいしかお付き合いをしてないのでは? 
そんなんでまたエルサに結婚の相談をしようもんなら…エルサはまた怒りだし、我を忘れ、氷の魔法を制御できなくなるんじゃないかなあ…?
とまあ、そういう意地悪を言いたくなるほど、本作の物語には純粋でストレートがゆえの「脆弱さ」があるのです。
合唱している場合か!?
と思わず憤るような「あやうさ」を、アナとエルサの二人に感じてしまうのでした。

つまり。

人によっては皮肉にしか見えず、ひねくれた鑑賞になりますので、出来るだけ「純粋な気持ち」で鑑賞すべき映画だと思います。


   

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Posted on 2014/08/01 Fri. 12:22 [edit]

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01

コメント

 

let it goの「ありのまま」は普通に誤訳ですよ。
「もう抑えるのはやめよう」的な意味なので、ネガティブな要素がもともと強いんですよ。でもそれだと日本受けしないので、「ありのまま」っていう日本人、特に日本女性が大好きなものに移し替えたんじゃないですかね。大した作品じゃないということで同感です。話題と音楽先行のプロモーションがうまかったのでしょう。79点もあげないでください。
神田さやかは、才能豊かな人ですね。

URL | kenshu #- | 2014/09/07 15:50 | edit

kenshu 様 

コメントありがとうございます。
そうなんですよ、そうなんですよ。
あのシーンのネガティブさに驚いたのですよ。
そして、全然感動的じゃない。
あのシーンに感動し、合唱することに対し、
よくぞそこまで素直にノセられることができるものだ…と、
つい、胸の内にひねくれた感情が生まれてしまったのです。

案の定、続編があって、またエルサの魔法が暴走するとか。
そうだと思ったんだよなー。
この姉妹、成長しない人たちに違いないと思っていました。

URL | タイチ #- | 2014/09/07 22:17 | edit

 

私は逆に、あの歌の部分は感動…というよりなんだろう、すっきりしました!
今まで、大事な人達傷つけないために部屋に閉じこもって自分はずっと我慢してきて。エルサだって外を走り回りたいし妹のアナとだって遊びたかっただろうに、大切だから故に守る為には突き放すしかなくて…
あの歌の瞬間、久しぶりに感じる開放感に気持ち良さそうに走り出し、自然に笑顔がこぼれるエルサは今までどれだけ自分を押し殺していたかよくわかります。最初からエルサの方に感情移入していたので、余計に自分も解き放たれた気になりました。あの曲は私の中では、エルサの強がりだと思っています。
本当は凄く寂しいと思うんですよねね。理解者は居ないし、それに魔法を見た人達が自分に怯えたあの顔…だったらいいわ、私から居なくなるから!ここなら誰も傷付けないでしょ!だから誰も文句言わないでよ!寂しくなんかないもん!っていう。

私は見ていて終始アナにイライラしちゃいましたー!お姉ちゃんの気も知らないで、ほんとにのんきだし、世間知らずだし、わがままだし…って笑
しかも、お姉ちゃんのエルサは今までずっと自分を守る為に距離を取ってた、というのをアナはちゃんと理解したのか?と。
そんなに辛かったんだね…知らなかった…という描写は無くて、魔法を秘密してた!別に隠さなくてもいいのに!私がきっかけだけど、お姉ちゃんが暴走しだした!止めなきゃ!でもそんなお姉ちゃんでも私は大切だよ!って…なんか、アナはエルサ
の気持ちなんてわかってなさそう。
繊細なエルサと鈍感なアナって感じですね…

アナと雪の女王は、ディズニー大好きの私の中ではあれ?って感じでした!期待ほどではなかったです。
登場キャラも少ないし、男性が殆ど役に立ってない。

なんならラプンツェルの方がずっと物語は面白いし、歌だって素晴らしいし。マレフィセントもアナ雪よりずっと共感して、最後は涙が出ました!

アナ雪は男の人が見て、面白いと思える映画では無いですよね。
私のディズニーNo.1プリンセス系物語は、やはりアラジンです!
今後あんまり男性主役のディズニー映画って無くなっちゃうのかな〜泣

なんだかんだ言って、私は女なのに女性中心の映画より、ヒーローが命がけで女を守るような物語が好きみたいです。(^^)

ちょっと違いますが、ディズニー映画ではカーズシリーズとモンスターズインクシリーズ、トイストーリーシリーズは全くハズレが無くてお勧めです!子供向けかと思いきや、どれも大人の心にグサグサ刺さってくるような、考えさせられる内容です。
こう考えると、ディズニーピクサーがいかに優秀か!

長ったらしくカキコミしてごめんなさい。私も管理人様と同じでアナ雪は世間の評判や盛り上がり方に反して、冷静になってしまっているので、ついついコメントしてしまいました(^^)

URL | こんにちは! #n3C3tgxw | 2014/11/21 13:41 | edit

こんにちは!様 

コメントありがとうございます。

ひねくれた感想をお読みいただき、有難うございます。
クライマックスに流れるかと思っていた「レリゴー」の曲が、まだまだ事件はこれからって時に流れてきたので、違和感を感じたのかもしれません。
素直な気持ちで見たら、エルサの気持ちを考えたら、彼女にとって最高に開放感に溢れた一瞬だったのだと思います。
おっしゃるとおり、アナは好き放題ですね。一方エルサはその魔力から「自由」が許されず、ひとり山奥にこもらねばならない悲劇性を考えると、やはり単純に「感動」していいものなのかどうか。と思ったのでした。

実はディズニーはあまり見たことがありません。いや、いくつかは見ているのですが、面白いのに記憶に残らないことが多く、敬遠していたように思います。

もう少し見てみようと思います。オススメの中では、トイストーリーやモンスターズインクには興味があります。いつもテレビでちらちらと見かけるだけでしたが、アイディアの秀逸さには度肝ぬかれます。いっぺん通してみてみます!







URL | タイチ #- | 2014/11/21 19:22 | edit

 

正直ですばらしい感想でした。自分も同感です!

『売上とおもしろさは比例しない!』といういい例じゃないでしょうか
(同じアニメカテゴリーの例でいえば)ジブリの天空の城ラピュタだってジブリ史上最悪の観客動員数ですしね。自分の中ではジブリで一番好きですが。

79点/100点というのも適性な点数だと思います。
内容は75点以上あれば・・・あとは宣伝とブランド力(ハッタリ)で興行収入は決まる、と自分は考えてます。

天下のディズニー作品。しかも連日テレビでとりあげまくり。
この時点で勝負アリ。

宣伝で客を広くつかめば、内容的には79点だろうが100点だろうが興行収入にはあんまり差がつかないのではないかと。言うほどでもないものでも一端ブームになったら爆発的に売れるのをネット上で「恋空現象」という人もいますし。

なぜなら「作品のクオリティを自分の目で厳しくチェックしてやるぜ」という審査員タイプの客は20%ほどで、80%の客は「他人がみてるから多分イイ映画だ」「有名ブランドの作品だからイイ映画だ」という流行追従タイプ

映画はあくまで 『内容50%宣伝50%の両輪』 で進むものだと思います
アナ雪は内容的には79点ですが宣伝的には100点満点といっていいのではないでしょうか

国内動員数2000万人はすばらしい数字です
マスコミが「大人気!大流行!」というと多数派が支持してるようについつい信じてしまいますが、しかし日本の人口全体を考えれば本当は16%の圧倒的少数派が見てることになります。(リピーターも考慮すると9割ちかくの人は実は見てない?)

URL | 富士3 #VWFaYlLU | 2015/04/02 12:19 | edit

富士3 様 

コメントありがとうございます。

宣伝につられるお客って嫌だなーと思いつつ、
私も、「カンヌでグランプリ!」とかそういうのに弱いです…。
だからあまり人のこと言えないのかも。

それにしたって、「アナ雪」はリピートするほどの映画かあ?
とは心底思います。

楽しい映画なのは分かりますけれど。
そりゃ「ラピュタ」の方が何倍も何倍も心に残る映画です。
「風立ちぬ」の方が何倍も私には衝動を与えてくれたものです。

URL | タイチ #- | 2015/04/02 23:36 | edit

納得できる感想でした 

でも、楽しめちゃいました
トロールの説明ベタが問題を悪化させてますね

URL | 鈴木xxx #- | 2015/05/21 20:29 | edit

鈴木xxx  様 

コメント有難うございます。

楽しめるのは確かなんですよね。
変な方に期待したのがいけなかったのか…。

URL | タイチ #- | 2015/05/22 12:37 | edit

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