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キック・アス/ジャスティス・フォーエバー /狂気の正義。 


 キック・アス<スペシャル・プライス版> DVD
 キック・アス/ジャスティス・フォーエバー
 (2013年 アメリカ映画)
 70/100点



少女が犯罪者を血祭りにあげていく、アンチPTAな描写がケラケラ笑えた前作から3年。

主演のクロエ・グレース・モレッツが、可愛らしい少女だった頃から大物ハリウッド女優に成長を遂げつつあります。
おおよそいじめられっ子に見えない『キャリー』を経て、顔つきに大人びた色を漂わせ、野心が垣間見える眼光をよそに、本作では「世間に慣れていないツンデレヒーロー」を熱演しています。

子役出身にありがちなやさぐれ街道をいくか、真っ当な女優業に進むのか。
そろそろ分岐点に差し掛かるのではないかと、今後が不安楽しみなのでありました。

本作は、ある意味クロエのための「アイドル映画」としても、成立しているのではないでしょうか。

クロエが演じるのは、ヒットガールと呼ばれるミンディというスーパーヒーロー少女。
犯罪者の前では、常軌を逸した凶暴性を露わにしている癖に、学園生活では、「どうしていいか分からない…」とぽってりとした唇を半開きにして、チワワのような目できょどっているのです。

…ギャップ効果の黄金比を、見事に会得していると感心せざるをえないのでした。

さあ、そんなクロエの魅力をふんだんに盛り込んだ本作。
…ですが、私のように、特にクロエに興味があるわけではない人には、いささか「無茶」が目立った映画であり、お薦めしにくい内容です。

 キックアス5


基本「コメディ」なんです。
前作では、「少女・ミンディが、ムキーって言いながら好き放題に犯罪者をやっちゃう」ってところに、笑いのツボがありました(笑えますよね…?)。

しかし、本作でのミンディは、その「犯罪者退治」をやめてしまいます。
ヒーローの真似ごとを許さない父親代わりのマーカスに、ヒーロ-コスプレ姿を見つかってしまったからでした。

ついでに言うと、その見つかり方がこっぱずかしいっす。
0点の答案が見つかったのび太以上の失態でした。
おおよそヒーローらしからぬバレ方。いたたまれない恥ずかしさに、目を伏せてしまったほどです。

というわけで。

ミンディの代わりに活躍するのは、本来の主人公である青年・デイブです。
彼は、悪漢どもをやっつける自警団「ジャスティス・フォーエヴァー」に所属します。

そのメンバーは、「痛々しいオタクの人たち」…かと思いきや、デイブ含め、みな意外にもきちんと鍛えており、ザコ程度の悪者ならきっちり片付けられる能力と勇気を有しています。

リーダーのストライプス大佐にいたっては、元マフィアという泣く子も黙る経歴です。

彼らは、笑いのパートもこなしつつ、バットマンが唇噛みしめて悔しがるような活躍をしてみせるのでした。

 キックアス


誰しも、目立った活躍をしたいと思っています。
誰しも、悪い奴を退治したいという欲求を持っていると思います。

特に「オタク」はそうなんです。

自分の存在価値に不安を覚えていることへの反動であり、いつも悪い奴らに歯痒い思いをしている反動です。

自分は真面目にやっているのに、悪い奴らが自分より楽しそうなのが許せん、という嫉妬もあるかもしれません。

自分の存在価値を高め、かつ、悪い奴らにひと泡吹かせるヒーローになりたい気持ちは、よく分かります。

無論、現実にヒーローのコスプレで街を徘徊すれば、すぐに人々の失笑を買い、職務質問を受け、食品に毒でも入れかねないと揶揄されることになるでしょう。

本作でのコスプレヒーローたちは、結構マジです。一部を除いて。

主人公・デイブは、それなりに闘えます。
ミンディとは違い、極めて現実的な「強さ」ですが、そこが好感ポイントではありませんか。超人ではないけど、自分の願望を満たす為ってのが本音かもしれないけど、お金持ちでもなければ、優秀なメカニックも、常に心配してくれる執事もいないのに、危険を顧みず「悪者」に立ち向かっているカッコ良さ!

そう考えると、ブルース・ウェインのまー胡散臭いことといったら!

てなこた、どーでもいーんです。

本作の肝は、クロエなんですよ。
相棒のデイブが日夜危険な治安活動を繰り広げる反面、彼女はというと、ずっと「チワワモード」です。

不慣れな学園生活の中、学園カーストのトップに位置するイケてる女子グループに入り、「女子力」を磨き始めるのでした。

日頃の訓練を活かし、同級生の前でスーパーダンス(正確には、シュミレーション格闘)を披露し、一躍注目の的になったりします。
『ドラゴンボール』の「グレートサイヤマン編(悟飯の学園生活編)」みたいになるのかと思ったのですが、学園生活はすぐに破たん。
意地悪をしてきた女子グループの親玉を、お茶の子さいさいでやっつけて、彼女は再び殺戮…ヒーローの道を歩むのでした。

それでいいのです。
デイブの言う通り、「ヒーロー」である方が、学園生活の「普通」よりも、ずっと価値があるではありませんか。
「クロニクル」の時も感じましたが、「普通」でない状況にこそ、かけがえのない「経験」があり、一般より抜きんでる可能性に溢れているのです。

ミンディは決意します。
「自分の本来の世界に還ろうと」

そうは言っても、やり過ぎだけどね!

 キックアス2


最後は、悪の軍団と壮絶な戦いが繰り広げられます。

正直に言いまして。

・前作はコメディとシリアスのバランスが絶妙で、もっとまとまりが良かったように思うのですが、本作は物語の軸がよく分からず、見心地を悪く感じました。

・「身内」が死ぬ展開も安易だし、そもそも、それ前作でやってるし。

・ミンディの残虐さは、「コメディ」として観たら許容範囲ですけど、本作は「真面目」な雰囲気が濃いためか、「あんた大丈夫…?」と、ミンディの心の内が心配になりました。自分から襲わせといて、手首を切り落とすってのはないでしょうに…。

 キックアス3


・アメリカ人って「吐しゃ物」描写好きだねー。無駄な「下劣描写」のため、やはりミンディの精神状態が気がかりになるばかりなのでした。

・マザーロシアの強さは「ネタ」でしょうけど、風貌がなんか直視できません。敵側も味方側も、なんかどっちもどっちな気がします。すなわち、みんなイカれてんです。パトカー5台分の警官を瞬殺するマザーロシアにさえ、身も凍る痛ぶり方をしてみせたミンディの精神状態が―

さらに。

ラストでミンディが言うには、「(反転で)独り暮らしを始める」ってんだから。こりゃもー大変なことですよ! 危険信号バリバリじゃないですか!?

やさぐれ街道を行くのは、ミンディが先か、クロエが先か!? …ってなことで。

今回、こんなとこで。


  

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Posted on 2014/09/05 Fri. 23:55 [edit]

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