素人目線の映画感想ブログ

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LUCY ベッソンに気持ちよく騙されよう。 


 無題
LUCY
 (2014年 フランス映画) 80/100点


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「いやー、まいったもんだわ。ボクってちょっと本気だしたら、もーこれだもん。大ヒットだもんねー。おーこわい、オレの才能こわーい」

…などと、腹出しながらバリボリ菓子食ってるベッソン監督の姿が目に浮かび、おいそれと褒める気がしない本作。

いや、確かに面白かった。予想より面白かった。さすが、と言わざるをえません。
しかし、どこか…お手軽に作った臭いがするのは気のせいでしょうか。
90分という超短い上映時間のせいかもしれません。
しかし…

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「ちょっと最近さー、脳科学かじったもんでー」

…って感じの、才能にあぐらをかきまくって、美女をはべらせているベッソン監督の姿が、どうしても浮かんでは消えないのであります。

さぞ、ご満悦なベッソン監督でしょうが…。

垣間見せるアクションシーンやら、キャラクターが巧ければうまいほど…。
こじゃれた感じにドキュメントな映像を挿入してみせればみせるほど…。
度肝ぬくような展開で、観る者を煙に巻く独自性を見せればみせるほど…。

もっと出来ることがあるんじゃないのかなー、監督! と歯がゆい思いが沸き起こるのでした。

「ニキータ」で虜になり、「グランブルー」で感激し、「レオン」が抜群に面白くて、「フィフスエレメント」でこんな遊びもできるんだと笑い、「ジャンヌ・ダルク」で…あー、ミラジョボ好きなんだなーと少しばかり不穏な空気を滲ませ始め、知らない間に監督業を退いて、金太郎飴のように変わり映えのないアクション映画の量産に加担したかと思ったら、「WASABI」なんて日本人をなめきった映画で俗物根性をあらわにし、暇つぶしのような道楽のような映画をたまーに監督して見せて、そろそろマジっぽいのをと、バランス取りのつもりなのか「アウンサンスーチー」さんを題材にし、それが大して誰の目にも止まらず、やべーそろそろ本気だしてみよーと作り上げたのが本作なのだとしたら、ファンにとっては、まだまだこれを復帰作と認めるわけにはいかん、厳しいまなざしを向けてやらねばならんと、親心のように甘やかしを禁じる決意なのでありました。…ん? 「アデル」? なにそれ?

ただし、普通に観れば、本当にベッソン監督の久しぶりの「良作」です。


(頑張って、ネタバレしないように書きます。けど、推測は出来るかも)


あらすじは、「ルーシー(スカーレット・ヨハンソン)の脳の活動領域が10%~100%に徐々に覚醒していくにつれ、強大な能力を司るようになって、あげく宇宙の真理を悟っちゃう」というお話。

ルーシー


もう予告編だけで、物語の半分は消化されています。
しかし、物語の後半はちょっと手がこんでおりまして…。とたんに、世界の成り立ちとか、なんとか、そりゃあもう、深遠な物語を紡ぎ始めるのです。
ここまで深みのある哲学のお話をするならば、もっともっと掘り下げてほしかったように思います。本作では、観客は置いてけぼりで、ルーシーとサポート役のノーマン博士(モーガン・フリーマン)だけが、「世の理(ことわり)」を理解していくという流れです。

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「観客が理解できないのは、10%しか脳が働いていないからだよ、けっへっへ」

…というベッソン氏の高笑いが聞こえてきそうです。あくまで、それが「狙い」なのかもしれません。もっとじっくり描いたら、ベッソン監督だって大して理解していないことがバレちゃうのかも!?

正直、この内容だったら、アクション場面はいりません。
中盤で警察が立ちふさがり、終盤でマフィアが立ちふさがっても、超パワーを手に入れたルーシーにとっては、全ての敵は、一瞬でやっつけられるのだから、緊張感ないんです。奥様は魔女レベルで、顔色一つ変えずに思いどおりなわけですから。
終盤の銃撃戦だって、意味ないですもん。完全にサービスシーンです。
「あんたが、やってくれりゃ一瞬じゃんかっ」という脇役刑事の心の声が聞こえそうでした。
ただ、さすがといいましょうか…この銃撃戦のシーンがとてもとても秀逸。銃声ひとつとっても、いちいちカッコイイし、演出は重厚だし、もの凄く良くって、「レオン」の終盤のようでした。
「レオン」のよう…と言えば、今回悪役の「チェ・ミンシク(「オールド・ボーイ」ね)」が凄かった。まさに「レオン」の悪役スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)を彷彿とさせるイカレっぷり。正直太った姿には驚愕しましたが、どしりと存在感のある悪役を演じています。
逆に、このアクションとキャラクターなら、「小難しい脳科学論は邪魔!」と身も蓋もないことを思ってしまったのでした。
それとこれは、別の映画で分けたら良かったのにと。
哲学と銃撃の場面において、どうにも、チグハグ感がすごいのです。
結論! ベッソン監督は、純粋に「レオン」のようなハードボイルドな活劇(いわゆるノワール)を作ればいいのに…ともったいなく思いました。

ルーシー2


本作で、何とも魅力的なのは、やはり主人公・ルーシーを演じるスカーレット・ヨハンソンです。実のところ、本作を観ようと思った7割の理由は、スカーレット・ヨハンソンだから。

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「最初は、アンジーにも声をかけたんだけどねー、最終的には彼女に決まったよ」

…とか言いながら、ホントははじめっから照準合わせてたんでしょーが! ってくらい、スカーレット・ヨハンソンの魅力全開に描かれています。つくづく俗な奴だなー、監督。しかし、よかったぞ。
序盤はただの女学生(それもちゃらんぽらんな雰囲気)だった彼女が、とあるきっかけで、スーパーウーマンに変身するのです。その演技の変わり映えがカッコイイ。
さっきまで、「ニキータ」ばりにベソかいていたルーシーが、突然激しく「天井ダンス」を披露したかと思ったら、突如、クールビューティーに動き出すので、ギャップに笑えました。
というか、ほぼ人格が変わっていると言わざるをえません。ある意味、序盤のルーシーは死んだのかもしれません。新しい人格が生まれたと思わせるのは、覚醒したルーシーが、あまりにスンナリと現状を受け止めているからです。
あたしどうしちゃったの・・・? などと、細かい悩みはありません。
彼女は一瞬にして、現状を把握し、何をすべきかを悟り、迷うことなく行動に移していくのでした。
ただし、覚醒直後に、ルーシーが母親に電話をし涙を見せるのは、母親との別れ、人間性との別れを覚悟した秀逸な描写だったと思います。

そういう意味では、随分残酷な物語ですし、その点をドライに描いているところが憎い!
ただ、いかんせん、前述のように、「アクション娯楽」としての側面も描かねばならんので、中途半端なのです。
何度も言いますが、やはり、「脳科学モノ」と「ノワールモノ」では、食い合わせが悪いと感じたのでした。

ところで…私は、本作の結末を観て、完全に「攻殻機動隊じゃん!」と思ったのですが、いかがでしょうか。詳しくはネタバレになるので控えますが、私には、「(反転で)草薙素子と縄張り争いを繰り広げているルーシーの姿」が目に浮かぶのです。おー怖い。
ちなみに、これについてベッソン監督に尋ねたツワモノのインタビュアーさんがいました。

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「おー、コーカクキドータイは随分昔にみたなー。好きだよー。ひょっとしたら、無意識に影響されてるかもねー、はっはっは」

(バレてらあ…(-_-;))

そんな心の声が聞こえてくるようなこないような。

ルーシー4


あと、所々。
・冒頭、ルーシーに無理やり厄介事を頼んだ割に、すぐそばで様子を見てる男の危機感のなさが謎。

・その冒頭で挿入される「動物の映像」は、やたらと陳腐で心配しました。

・韓国マフィアが話す韓国語に、字幕が付かないのが、いい!

・ルーシーらに薬の運び方をレクチャーする男の紳士然とした口調が抜群!

・ルーシーが覚醒するまで、こちらの腹までうずいて落ち着かなかった。

・手術の割り込みはご遠慮ください。

・ルーシーがノーマン博士に信じてもらうためにやって見せたことって、昔ドッキリカメラでもやってた。しかし、すぐに信じてあげるノーマン博士の素直さに脱帽。

・カーチェイスの流れる様な気持ちよさ! 思わず真似してみたくなったほど。

・「車のスピードが速くなると見えなくなるので時間がキーポイント」ってところが…分からない。

・人類初の女性「ルーシー」と対面するルーシー。一瞬、ヨハンソンの特殊メイクかと凝視。

・チェ・ミンシクがルーシーの背後から銃を構える姿は、完全に「レオン」


とまー、際限なく、突っ込み所や印象的な場面が思い出されるってのは、ある意味、素晴らしい映画だということです。

ルーシー3


全世界で爆発的ヒット中の本作。
ベッソン監督は、さぞや笑いが止まらぬことでしょう。
続編をやるかも…って声が聞こえています。
しかし。
いやー、やらないと思うねー。
だってこれ以上やったら…

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「結局、深いことなんて何も考えてないってことがバレちゃうじゃん!」

…って賢明なベッソン監督なら、そう考えるのでは…?

「レオン」のエセ続編を別の監督に撮らせて、しれーっとしてないで、いよいよ本格的なノワールを撮ったらいかがかと、切に望みます。このままだと、映画界随一の「うさん臭いオッサン」レッテルが!

けれど、ベッソン監督に騙されたつもりで見てみると、本作はなかなか楽しい映画なのでありました。おしまい。


  

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Posted on 2014/09/17 Wed. 20:54 [edit]

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