素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

ダラス・バイヤーズ・クラブ 知ることは、命。 


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 ダラス・バイヤーズ・クラブ
 (2013年 アメリカ映画) 80/100点


実話を元にしている、とっても真面目な映画なんです。
だから、感想がとても書きにくいんです。
茶化すなんてあってはならない映画なんです。
だけど気になるんです。

マコノヒーを見つめるクリスチャン・ベールの姿が…。

ベールおのれ…。ゴゴゴゴゴゴ・・・


「やせ細るのは、オレの専売特許だったはず」と、ベールがえらく悔しがっているのが想像できるのは、本作の主人公を演じるマコノヒーの半端ない役者魂っぷりのせいでしょう。「デニーロ・アプローチ」と呼ばれる肉体的役作りで、マコノヒーはもはや聖人をも思わせるほどの激痩せぶりを見せつけます。
もともとアイドル俳優みたいな人じゃなかったっけ?
どっちかっていうと、トム・クルーズのノリだったような気がするけどなあ。
そこから素晴らしき名役者への変貌っぷり。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でも、序盤のワンシーンだけの登場にも関わらず、強烈な印象とキレっぷりを披露したマコノヒー。ノーラン監督の新作「インターステラー」でも、予告編から重厚な存在感を漂わすマコノヒー。
彼の役者としての急激な成長は、前述のようにベールの危機感を煽りまくるのでした(たぶん)。

そのためか。
なんとクリスチャン・ベールは、「ぬし、削るだけが役作りだと思うたか、たわけめ」と言わんばかりに、次の一歩へ踏み出します。
「アメリカン・ハッスル」にて、彼は、逆に「デブる」という新たな技を披露するのです。これは強烈です。
正直、痩せるより太る方が怖いではありませんか。体重がまた元に戻せるのか不安にならないのかなーとか。体重を戻したところで、お腹の皮がダランとしちゃわないかなーとか。
恐ろしい男、ベール。
簡単に越えられてたまるかと意地を見せつけ、一歩先を進んだベール。さあ、マコノヒーはいつの日か、猛烈なデブり芝居でまたもやベールの領域に踏み込んでくれるのでしょうか! 二人の熱い芝居合戦の決着の行方は、果たしてどうなってしまうのでしょうか! どうにもならないのでしょうか! まー、どうでもいいんですけどね!


ah001.jpgガハハ。まだその辺りをやっとるのかね、ワハワハ。


え? 映画の話ですって?
そんなのは別のブログでも覗いてくだされ…というわけにもいかないので、それではボチボチ。

あらすじは、「カウボーイのロン(マシュー・マコノヒー)は、エイズにより余命30日を告げられる。治療薬のAZTには強い副作用があることを知ったロンは、メキシコのもぐりの医師から、もっと効く薬は未承認であることを教えられる。ロンは未承認薬を自らに投与し、さらに販売まで手掛け、会員制の『ダラス・バイヤーズ・クラブ』を作るが、病院や製薬会社や政府の妨害に遭う…」というお話。


とっても真面目なお話です。
マコノヒーが本当に渾身の芝居を見せ、見事アカデミー賞主演男優賞を獲得しました。

時代は1980年代。エイズという病気が世間に知られ始めた時期の話です。
私自身が「エイズ」という病気を知ったのは、恐らく…小学校高学年くらいの頃だったと思います。「性交渉で罹る」という情報ばかりで、なにやら「いかがわしい病気」というイメージでした。その後、薬害エイズ問題などが起こり、情報が広まっていろいろと知っていくわけですが…
本作の主人公とその周辺の人々には、「エイズとはゲイが罹るもの」という極めて偏った情報が蔓延しています。そのため、「エイズであること」を医師から告げられたロンは、当初は一切信じないのです。

無知とは罪である。
とは、誰が言っていたか。
ただ、ロンは偉かった。「オレはゲイじゃねえ。エイズなわけがねえ」と憤りながらも、きちんと図書館などで情報を集め始めます。そして、正しい現実を知ります。ゆえに…自分がエイズであることを確信するのです。

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さらにロンは、病院が治験を行っているエイズ治療薬が、「効果が低い割に副作用がひどい」という事実を知ります。ゆえに、もぐりの医師がすすめる方の薬を使用します。そして、販売まで手掛けるのです。

無知は罪。そして、知るは命、と言いましょうか。
しっかり勉強し、メキシコの医師の元にまで出向き、本当に効果の高い治療薬に辿りついたロンの情報収集能力が彼の余命を驚異的に伸ばしたのだと思います。
インターネットが利用できる今、様々な情報があるのでなかなか正しい情報の見極めが難しい問題もあります。しかし、単に一つの病院を信じず、政府の言葉を信じず、多くの情報を元に自身で結論を選択することは、生きていく上で非常に重要な能力だと思います。

ちょっと話が逸れますが。

私の長男は、過去にとある病気になりました。珍しい病気なのか地域の病院でも正体不明でした。
そこで、私はインターネットを利用し、ひたすら同じ症状の人について調べました。
そして、ひとつの病名にたどり着き、一刻も早く治療を始めないとマズいということを知り、慌てて大きな病院へ出向いたのでした。病院では、若い見習いのような医師が担当してくれましたので…やや不安になった私は自身で調べた「病名」を告げてみたところ…医師いわく「おー、なるほど、そうかもしれませんなー」となり、治療が始まり、完治に至ったのです。

もし、私が一切調べることなく病気をそのままほったらかしておいたら、症状はもっと重症化していた可能性もあります。
医師だって全ての病気を一瞬で判断できるわけではありません。無駄な時間を費やすこともありえます。遠慮がちながらも、素人考えとは思いながらも、こちら側で調べた情報を提供することは時には大事だったりするのです。(頻繁にやったら、すごく嫌がられるでしょうが)

というわけで。

知ることは、命。加えて、行動も命、というわけなのでした。
私が学生に「勉強の大事さ」を伝える時(私は先生ではありません)、その一つの例として上記のような話をします。「勉強をしない」ということは、自分の命運を全て人(組織)に託すしか出来なくなってしまうのだと。それは、思わぬ損を生みやすいし、また、悪い人に容易に利用されてしまうことにもなりかねないのだと。

自分の人生(命)は、自分で守れと。

ということで、私が本作で一番感銘を受けたのは、ロンの勉強する姿勢だったのでした。

ダラス6


本作では、病院から処方される薬を信じるしかなかった多くのエイズ患者が、効果を実感できずに死に至ってしまいます。
ロンは、初めこそ「商売」で未承認の特効薬を配布します。しかし、同胞である患者が死んでいくのを目の当たりにする内、次第に病院や製薬会社、政府に対し、激しい「怒り」を覚え始めるのです。

もしかすると、その「怒り」もまた、彼の命の灯をさらに激しく燃やしたのかもしれません。
30日と宣言された彼の命を、実に7年も伸ばしてくれたのは、彼の怒りの元になったことのおかげ…すなわち「人を想う気持ち」だったとするならば、出来過ぎではあるけれど、納得もできるように思うのです。

ダラス2


そこにあるのは、知識の向上だけでなく、ロンの人間的な成長です。
蔑んでいた同性愛者・レイヨン(ジャレッド・レト)を徐々に一人の人間として認めるロンの姿勢に胸を打たれます。
まあ…当初は偏見バリバリの色情魔でしたけどね…。アメリカのカウボーイって、こんなん? とこっちが蔑みそうでしたよ。彼の仲間もまたひどかった。ロンがエイズに罹ったと知るや、「このゲイめ」と差別し始めるのです。

無知とは、本当に「愚か」なのです。
ただし、自身が無知であることを知ることは、人間的な成長の第一歩だと思います。すなわち「ムチの血」…じゃなくて「無知の知」ね(byソクラテス)。

てことで、本作は示唆に富んだラストカットも素晴らしい実に重厚な逸品!

なーんて、最後は真面目に締めました。
あー、良かった。

そうそう、なにはともあれ。
マコノヒーはいつの日かデブってみせてくれるのか、はたまたベールがさらなる境地を開くのか。

deni-ro とくと見せてもらうよ…。フフフ…。


  

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Posted on 2014/09/27 Sat. 22:02 [edit]

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