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ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う! 酒とSFとペッグとニック。 


 ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う! [DVD]
 ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う!
 (2013年 イギリス映画) 75/100点


<結末には触れません。>

 ワールド7


主演のサイモン・ペッグは世界一ビールをうまそうに飲む男ではないでしょうか。
グラスにたっぷり注がれたまばゆいばかりの黄金色のビールを、ごくりごくりと喉に注ぎ込み、見事に至福の表情を見せつけてくれます。もー思わずこちらもキンキンに冷えたグラスを片手に、明るいうちから一杯やりたくなってしまうってもんですよ!

下戸ですけどね…。

…飲めない上に、本作のベースとなっているSFホラー作品をひとっつも見たことがないもんで、私には本作の良さのおよそ半分もわかっていないと思います。

が。

分かる人には、おそらく珠玉の逸品なんだろーなーという「雰囲気」は分かります。本当に、ビール買ってこよーかな…飲もっかなーという気分になったぐらいです。

本作は、「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!」でおなじみの、サイモン・ペッグとニック・フロスト主演、エドガー・ライト監督が巻き起こす、映画愛に溢れたオバカ満載のコメディ映画です。

あらすじは、「5人の幼馴染たちが、かつて高校時代に失敗した12軒のはしご酒を、大人になった今再度チャレンジするが、次第に故郷の街のある恐るべき変化に気づく…」というお話。

 ワールド


ということで、本作のテーマは「SFホラー」です。
しかし、前述の通り、私はあまり見たことのないジャンルなもので元ネタが一切分かりません…。
他の方のブログを覗くと、「あれは『ボディ・スナッチャーズ』だね」とか、「『光る眼』のオマージュだ」などと、いくつも指摘しておられ、なんだか悔しくって悔しくって。あーなんて自分は不見識なんだ、と自己嫌悪に陥るほどなのでした。あまりに悔しいものだから、なんか一つでも見抜けるところはないかと考えを巡らせてみたところ…そうそう、そういえば! 一個見つけた! 物語の導入は日常的なのに、後半でジャンルが変わるほど物語が急変するのってまさに『フロム・ダスク・ティル・ドーン』だよね! ってSFじゃないっ!

と言う事で、今回は箇条調で書いていきたいと思います。

○いつもは「ボケてるニック・フロスト」に、「うだつの上がらないサイモン・ペッグ」というイメージですが、本作では、ニックは真面目そうな弁護士を演じています。サイモン・ペッグはいつもの通りのダメ男ですが、なぜかタフガイのイメージも披露します。この辺り、いつものシリーズと違うので新鮮です。

○ ピアース・ブロスナンが出てきたり、結構キャスティングも凝っています。

○2件目のパブが1件目と全く同じ作りという、チェーン店化の皮肉が面白い! スタバ化反対! というメッセージが硬派です。

○母が死んだという嘘で同情させ、人を集める手口が、両津勘吉そのまんま。

○そうそう、酒場でノンアルコールを飲む人って残念がられるよね…。

○ニック・フロストが、なんとカッコイイ!

 ワールド5


○アクション(格闘)場面は驚くほど良く出来ています。おそらく「ジャッキーチェン」を意識しています。…これまたSFじゃない! と言われようとも断言します。意識しています!

○12軒のパブのはしご酒ってのは、そもそも何の意味があるんだろう? イギリスでブームなんですか?

○敵のほどよい弱さが素敵です。
 
○そうそう! 電撃がピカピカする中で車が疾走するとこって「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でない!? …まあねまあね、またしてもSFじゃないけ…SFじゃん!

○ビール最高! って映画かと思いきや、宇宙人が出てきて…それでもビール最高! って展開にこだわるのかと思いきや、最後は「水」って…。ビール党の人には裏切られた感満載の結末なのではなかろうか?

 ワールド6


エドガー・ライト監督おなじみの非常にテンポのいいカット割りなど、楽しい雰囲気抜群の映画です。
後半、かなり物語に破たん部分や無理やり感が露骨に見えますけど、そもそも物語なんて行き当たりばったりでいいじゃん! 勢いだけでいいじゃん!

ところが。
実は本作には、辛らつで深~いテーマも覗かせちゃったりしているのです。
サイモン・ペッグが演じる主人公・ゲイリー・キングは、なぜ急に「12軒のパブめぐり」という青春時代の挑戦に再度挑んだのでしょうか。

学生時代の青春を取り戻したいという願望はよく分かります。何も責任もなく、思慮の浅ささから不安もなく、永続的に緩慢な時間が流れていくような甘美な錯覚を味わうことのできる青春の時代。自分がなんでも出来そうな根拠のない自信だけで満たされた気になってしまう、若気の至りの時。
大人の世界から逃れたいと思う気持ちはよく分かります。大人になれば、現実にひざまずき、責任に縛られ、妥協を覚え、「こんなもんだろ」と諦めの境地に落ち着いて闘うことから逃げる日々。

大人になったゲイリーは理想の自分になれませんでした。
名前の通り、天下を取れると思えるほど自信に溢れていた学生時代から、彼は転落を続けるばかりだったのです。おおよそ努力をしてこなかった…? と思うので、自業自得なのでしょうが、彼はその苦しみから逃れるために自殺未遂の果て、アル中に至っているのでした。

 ワールド3


これは、ゲイリーが自分を取り戻すための闘いだったのです。
巻き込まれる友達は、たまったものではないですが。

友達はみな、立派な大人になっているようでした。だから、最初はみな、ゲイリーをうっとうしく思っています。一番の親友だったニック演じるアンディに至っては、憎々しげに彼を疎ましがるばかり。
「大人になれ、ゲイリー」「変わらないな、お前は…」とゲイリーを見下しているのです。
しかし。
変わらないことは「幼稚であり愚か」なのか。変わることは「妥協であり負け」なのか。

本当は、友達もまた、ゲイリーと同じく今の人生に満足しているわけではなかったのです。

故郷の様子が変わってしまったことにひっかけて、結構深みのあるテーマを突きつける終盤は胸にじんと来る部分もありました。
…とかなんとかいっても、結局はスーパーバカ展開していくんですけどね! 考え込んで損しちゃったわー! というノリで。もー何がボケなのかツッコミなのか…ワケがわかりません。
ぼけっーっと観るのが得策です。秋の夜長にピッタリかもしれません。

ということで、今回はこの辺で。


   

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Posted on 2014/11/02 Sun. 23:06 [edit]

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