素人目線の映画感想ブログ

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リーガル・ハイ スペシャル 2014 


 リーが1
 リーガル・ハイ スペシャル 2014
 (2014年 日本ドラマ)80/100点


本ブログは「映画感想ブログ」なので、あまりドラマについては書かないようにしているのですが…近年、唯一食い入って見ることができる日本のドラマである「リーガル・ハイ」がスペシャルになって帰ってきましたので、せっかくなので少しばかし。<あ、完全ネタバレです。>

しかし…シリーズ第2弾の最終回からもう1年が過ぎようとしているとは、今年の時間の進みは早くってかないませんな。

さてさて、今回の裁判テーマは「医療過誤」です。

新薬を投与された患者が急死したことで、その被害者の妻が原告となって病院側を訴えるお話です。

さすがです。既定路線を打ち破ることに精魂をたぎらす「リーガル・ハイ」の真骨頂。
「医療過誤の疑いで訴えられた病院側」は「悪」、「夫を亡くした原告の妻側」は「善」として描かれながらも、見事に主人公・古美門研介(堺雅人)は、「病院側」に付くのでした。
もともとたかり屋程度の弁護士であった九條和馬(大森南朋)は、原告の妻の悲惨な境遇に共感し、一念発起で病院と闘う決意をするのです。一所懸命に不慣れな法廷に立ち、日夜勉強し、原告と心を通わせながら必死に頑張っているのにそれをいともたやすくあしらってしまう古美門研介の形相はもはや悪魔そのものなのでありました。

「主人公なのに…」というこの描き方こそ、リーガル・ハイが長年愛される最大の理由だと思います。
しかし当然、後半ではいろいろな所で物語がひっくり返っていくんだろうなーという楽しい予感に溢れ、わくわくして見入っていたものでしたよ。

ところが。

実は今回…物語は拍子抜けする程のストレートな終わりかたをするのです。これには、ファンからも失笑を買っているようです。

これ、普通の裁判ですよね? 一般的な「医療過誤裁判」をそのままやっただけですよね?
序盤で、「医療過誤裁判ではほとんど病院側が勝つんだ」と提示しておいて、ホントにそのまんま病院側が勝ってます。

   リーが2


そのまんま…・

敵弁護士である九條和馬が、「窮鼠、猫を噛む」的な開き直り戦法で、何とか裁判をかき乱しはしますけど、今回の裁判、はっきり言って古美門先生でなくても勝てますよ。ひょっとしたら私でも勝てたかも、というほど当たり前の終わりかたをしていて驚きました。

だって。

死の副作用の危険があった薬の使用例を分析してみたら、治った人が35パーセントで、副作用で亡くなった人は1.3パーセント。通常の薬よりも安全であった上に、さらに危険があることを承知した患者側の同意書もあるんだから、最初から負けるはずのない裁判なのです。

私はてっきり、院長が失脚して若い医師が新しい院長に抜擢された時には、ははーーん、この事件自体、実は若い医師が仕掛けた陰謀だったという大どんでん返しだなー。恐らく病院から解任された古美門先生が、今度は妻と九條和馬側の味方になって病院を…というか、あの若い医師をやっつけるって算段ですなー、とほくそ笑んだものですが…。

ただ、ある意味新鮮ではあります。
ドラマになっていないから。
「そのまんま病院側が勝つ」という現実的な終わり方をするのは、本当にある意味で新鮮なのです。

ただもちろん、ただ勝つだけではありません。「病院側(大きい組織)が悪っぽく、被害者側(個人)が正義っぽい」という、これまでのドラマ的な見方、ニュース番組の扱い方である通常の一般世間的なものの見方が、実は非常に偏った見方なのだということを、古美門研介を通じて観客に突きつけます。
この突きつけ方ですが…さすがというべきか、古美門研介演じる堺雅人の熱弁・熱演が一役も二役もかっています。
「せめて狂気の世界に生きる者の邪魔をするな!」「訴えたいなら科学を訴えろ! ご主人を救えなかったのは現代の科学だ!」という場面では、詭弁に聞こえかねないセリフの数々を、芝居の巧さで鳥肌が立つ程の正論に昇華させています。それにしても…普段のちゃらんぽらんさから裁判の時の人並み外れた常識人への変化ぶりは、とんでもない二重人格なのですが、すんなりと納得して観ていられるのだから凄いものです。

   リーが4


シリーズ第2弾の「アニメ作家訴訟」の時にもありましたが、「有能な人間は人間性までも素晴らしいと思うな」という理屈もまた披露されていました。訴えられた病院の院長(古谷一行)は傲慢で冷血。しかし、患者を人間として見ていなくても、患者の病気は治したいと切望しているのです。それは、医師のプライドかもしれません。自己満足のためだけかもしれません。しかし、患者に対して嘆くことはなくても、彼は自分の失敗に対しては嘆いていたことでしょう。なぜなら、治したい一心であるから。つまりそこに「医療過誤」はないということです。
(今回パロディとして扱われた「白い巨塔」の財前教授とは明らかに違います。あちらは、「医師の怠慢」によって引き起こされた悲劇だったと記憶しています。だからあちらは「医療過誤」なのです。)
古美門は言います。「科学の進歩のために、とっくに血も涙も捨てたんだ」と。

   リーが3


今回は久しぶりに、往年の敵役である三木(生瀬勝久)や沢地(小池栄子)も出て来て、定番のギャグパターンが安定していましたね。それからついでにいうと、黛(まゆずみ)(新垣結衣)の成長していない正義感が良かったし、「アッチョンプリケ!」は最強の再現レベルでした。
ラスト、盲腸の手術で確率5パーセントといわれる失敗に見舞われてしまう古美門先生が、「病院を訴えてやる!」と自分の論理をすっ飛ばすお決まりのオチもバッチシ決まっていました。
物語は捻りのないものではありましたけど、シリーズ第1弾の空気が戻ってきた感じで大変楽しめました。

シリーズ第3弾はきっとあるだろーなと確信できたものです。よかった。よかった。


  

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Posted on 2014/11/27 Thu. 22:20 [edit]

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