素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。

ROOM237 シャイニングの謎。 


 ROOM237 DVD
 ROOM237
 (2013年 アメリカ映画) 80/100点


だいぶ昔に流行った「磯野家の謎」って本を思い出しました。
作者の設定ミスにも関わらず、「磯野家には4つもトイレがあるんだ!」といったことをネタにした本です。
本作でもしかり。「それって単なるミスなんじゃ…」ってことまで、分かった上でのことなのか、「ここで突如椅子が消えているんです! 一体何の意図なのかー!」などとはしゃぎます。その考察は、キューブリックへのリスペクトを通り越え、誉め殺しなのではと勘繰るほど細部にまで及び、「理由」をこじつます。
ということで。
本作に出てくるスタンリー・キューブリク監督作「シャイニング」への考察は、かなり眉唾なのです。
だけど、それを「ネタ」だと承知した上で観れば非常に面白い。これぐらい深く入り込んで映画を解釈してみたいなあと、素人目線の私なんかは憧れてしまうほどなのです。

それもこれも、IQ200と言われるスタンリー・キューブリック監督ならではのことなんだと思います。彼ほどの天才だからこそ、画面の隅々にまで「意味」「意図」「含み」があるに違いないと思われるわけですから。これが普通の名もなき監督だったりしたら、「画面チェック甘いよ!」と失笑されているだけかもしれません。

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さて、それでは考察のいくつかをあげてみましょう。

<ほぼ、ネタバレです。>


・食糧庫の棚に置いてあるふくらまし粉の缶の名前「カルメット」とは、先住民の「和平」を表す言葉。この缶がバラバラに置かれていることで、この先に起きる大量虐殺を暗喩している。

映画の所々で「先住民の絵画」などが確認出来ますし、何となくホントっぽいんです。白人による先住民への虐殺と物語上で起きる殺人を絡めているわけですな。この缶を慎重に並べているキューブリックの写真があるようです。「フフフ…誰か気付くかのう…」とほくそ笑みながら細やかに缶を並べている監督の気持ちを思うと、なんだか心に優しい風が流れます。


・所々で「42」という数字が出てくるが、1942年とはナチが「ユダヤ人の絶滅」を決めた年である。その他、主人公が使用しているタイプライターはナチのシンボルである「鷹」を意味する「アドラー」という会社の製品を使っている。

ほらー、ほら見てー、この人のセーターの背中に書かれているのって「42」でしょ。でしょー。
えー、どこー? あ、これ? この奥に歩いて行っている画面左端の見切れそうな人の背中ー? あ、本当だー、本当に「42」って書いてあるー。すげー見えにくいけど、すげー。
でしょー。おまけにさー、ホテルの外に止めてある車の数が「42台」っすー。
マジでー。えー、ほんと…あれ、この隅に置いてあるトラックみたいなのってカウントしてなくね?
でさー! でさー! 幽霊が出る部屋の「237号室」をですよ…さあ、さあ御立ち合い。「2X3X7」って掛け算にすると!
「42」かー! 掛けてみたのかー! 足さずに掛けたんがミソかー!
おまけに「237」と「42」をバラバラにして並べ替えて…「37242」とするとー、なんと! 「…サン月ナナ日ニ、シニます…」ってキューブリックは自分の亡くなった日を予言してたんじゃー!
へえええええーー! …それ、日本語やんけ。

(最後のは勝手に作りました)


・サブリミナル効果を猛勉強していたキューブリックは、その成果を「シャイニング」の所々でいかんなく発揮。

例えば、オープニングの空に浮かぶ雲の中にキューブリックの顔が写り込んでいるそうです。まったくもって私には分かりませんでした。それもそのはず、本作でのナレーションでも「わかるかなー? フォトショップ(映像ソフト)を使わないと分からないかもしれませんね」とにこやかに言い放ちます。おまけに、実際にはフォトショップを使って見せてくれません。しかし、たとえこの人が目の前にいても、「できたら見せてくれませんか」などと言おうものなら、「いや、だって分かる人には分かるからさ…」と面倒くさそうにイライラした言葉を浴びせられそうです。

しかし自分の顔を画面にこっそりと練り込むことで、監督はいったい何のサブリミナル効果を狙ったというのでしょうか。「彼氏にしたい映画監督ランキング」のランクアップでも目論んだとでもいうのでしょうか。

また、ある瞬間にある物体がある登場人物の「男性自身」に早変わり! って大丈夫ですか? そして、キューブリック監督の「サブリミナル効果」の研究成果はこの「自分の顔」と「男性自身」の2点しかないようですが、本当に大丈夫ですか? 


・存在しないはずの窓がある。
これは興味津々でした。序盤に出てくるホテルのオーナーの部屋の窓からは屋外が見えますが、映画の通りにホテルの見取り図を作成してみると、そこは廊下のはずなんですって! こういうのはゾゾゾっときます。
が。
一説には、セットが一度火事になって作り直したことによるてんやわんやの中で起きたミスだと言われています。その他、前述した「あったはずの椅子が消えた!」とか、「あったはずのドアに張っていた小人のシールが消えた!」とか、「1階で三輪車をこいでいた少年が突然2階に移動した!」とか、キューブリック映画でなければ見逃されていたであろう数々の珍妙な現象が、キューブリック映画であったがために、まんまと白日の下にさらされてしまう羽目に…。「注目を浴びるのはつらいよ…」とキューブリック監督は草葉の陰からほぞを噛んでいるのかもしれませんが、あなたが自分の顔を画面に練り込んでいたりするからですよ。

・壁に掛けられたスキーヤーの写真…実は、スキーヤーではなくミノタウルスである。ミノタウルスは暴力的な化け物で、神話の中で迷宮に囚われる。映画の中で、主人公が迷路に囚われたシーンがあるが、つまり、主人公はミノタウルスであると結び付けられる。

スキーヤーがミノタウルスにどうしても見えません。見えないけれど、「ほらー、ここシッポよウフフ」と言われると、まるで微塵もかからない催眠術のようで、言われてみるとミノタウルスですよねえ…と「ニンゲン観察バラエティ『モニタリング』」のJOYのようになることうけあいです。

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・「シャイニング」の原作で登場する主人公の車・ワーゲンは赤色。しかし、映画では黄色である。作中、赤色のワーゲンが事故に遭っているシーンが登場する。これは、キューブリックから原作者・スティーブン・キングへの「原作をぶち壊してやる!」というメッセージだ。

これはマジのようです。本作最大のマジネタみたいです。キングはこれに対し大変激怒したと言われています。原作潰しといえばキューブリックか押井守かってくらいです。しかし、わざわざ挑発的に映像メッセージにしてみせるキューブリックのやんちゃさが素晴らしいです。


・アポロ計画での月面着陸映像のねつ造を暴露している。

実は、これには鳥肌が立ちました。もっともらしいし、深みがあります。怖さもあります。キューブリックは、NASAの依頼でアポロ計画の際の月面着陸映像をねつ造したと言われています。絶対機密のその事実を、「言いたい…ああ、誰かに言いたい…」という衝動にかられ、キングへの挑発だけに飽き足らず、それを暴露すべく映画にメッセージをしたためたというのです。こういう性格の人にそもそもNASAがそんな依頼をするかなという疑問はさておき、カーペットの奇妙な模様は上空から見たロケット発射台に酷似しており、その上で遊ぶ少年が来ているセーターの柄がまさにアポロの宇宙ロケット。さらにその少年が向かう部屋の番号が「ROOM237」…地球から月への距離は「237,000マイル」だっていうから驚きです。ちなみに本当かどうか、<地球から月の距離>でググってみましたけど「237,000マイル」とは出てこないんすけど変な四捨五入とかしてますかねまあいいんですけど。

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その他、本編を逆再生した画面と通常再生した画面を重ねると奇妙なつながりを見出せるという、もはや「シャイニング」への変質的ともいえるほどの愛情がふんだんに盛り込まれた本作は、基本的にケラケラ笑いながら見るのがオススメです。けれど不思議なことに、所々でゾクっとする怖さも感じるのは、「シャイニング」とキューブリックを取り巻く「狂気」を感じるからかもしれません。

キューブリックのファンの中には、本作にかなり怒っている人もいるみたいですが。

実際にこれらを本当にキューブリックが目論んだとするならば、その幾つか(特にサブリミナルのとこ)は「やっちゃった」レベルであり、きっと後から赤面したのではと心配です。それ以降人に会うのも恥ずかしくなってたりして。これがほんとの「シャイ」ニング、っていう……。おー!(おー、じゃない)


    

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Posted on 2015/01/21 Wed. 13:30 [edit]

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