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LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 ルパンは蘇ったか。 


 LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 [Blu-ray]
 LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標
 (2014年 日本映画) 80/100点


ずっと前から言っていますけど、金曜ロードショーで毎年1回放映される「ルパン三世」の新作は、全く見る気が起きません。内容はいつも変わらず、似たような悪の組織とヒロインとお宝が配置され、ルパン一味が同じようにドタバタを繰り広げるだけ。
かつての名作を越えようとか、新しいルパンを作り上げようとか、そういった「野心」は微塵もなく、声優が変わってもなお、いつものように作ったらいいんでしょ、という空気しか感じられないテレビスペシャル。

と思って諦めていた時に、突如現れたのは深夜アニメ「峰不二子という女」だったのであります。
全般に漂う妖しいまでのハードな雰囲気。イチから築き上げようとする野望が見え隠れするキャラデザインと、絶対にゴールデンでは放映できないほど度肝を抜くキャラクターたちの関係性。
原作に似たハードなテイストのルパンを見たい。新しいルパンを見たい。
これは、やはりファンだけではなく、作り手の方々にもくすぶっていた「想い」だったのだと分かって嬉しく思ったものです。
そして、それを具現化してみせた英断に思わず拍手喝さいなのでありました。

本作は、その「峰不二子からの女」の流れを汲む第2弾なのです。

おまけに次元が主役ってんだから見ないわけにはいきません。(「峰不二子の女」でも、次元の主役回が一番好きだったものだから)

ヤエル8


結論から言いますと、テレビ以上映画未満という印象ではあります。上映時間が「1時間弱」と短いためか、物語の規模は小さいので、あまり「映画」を感じることはありませんでした。ただ、これがもしテレビシリーズならば、海外ドラマの秀作にも匹敵するほどの屈指の名作になるレベルだと思います。

少なくとも、疲弊しきった現状の「ルパン」にとてつもなく大きな風穴を空けたのは間違いないでしょう。

作画や動きのクオリティは決して高いとは思いませんでしたが、それを覆す物語性や演出が施されていたのが良かったです。そもそも昔の名作アニメだって作画や動きが良かったわけではないでしょう。それでも面白く見れるのは、「物語」や「演出(構図)」の巧さでカバーしてきたからではないでしょうか。

あらすじは、「ルパンと次元は、秘宝『リトルコメット』を盗むため、東ドロアにあるマランダ共和国大使館に潜入する。しかし、その渦中に二人は何者かに狙撃される。その弾丸に見覚えがあった次元は、郊外の墓地に向かう。そこには次元の墓が用意されていた。それは、伝説のスナイパー・ヤエル奥崎の殺しの手順であった。」というお話。

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<今回はあまりネタバレしません>


・序盤でいきなり肩やら足やらを撃ち抜かれる次元とルパン、というハードな展開が見ものです。ただ、その後大したこともなく「イテテ…」で済んでいたのはご愛敬ですけど。
狙撃したヤエル奥崎という敵キャラクターは「かなり強い」設定で、早撃ち対決で次元がまんまと負けてしまうほど。「敵が異様に強い」というのはハードな物語に不可欠な要素です。

・そのヤエル奥崎は、標的を狩る前にサイコロを転がし、出た目と同じ数の弾丸で相手にトドメを刺すというルールを決めています。事前に墓を用意するところといい、殺しをゲーム化して楽しんでいるようですが、依頼のない殺しは一切やらないという徹底したプロ根性も見せつけるので、単純に彼を「悪」と見なせない要素がかえってカッコイイですね。

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・東ドロアや西ドロアとか、それぞれの国の事情や陰謀などが絡んでいて、物語はいろいろと複雑です。しかしそれは短い上映時間では描き切れず、言葉の説明だけで終わるのであまり深みを感じないのが残念なところ。しかし、ようするに「次元とヤエル奥崎の対決の話なんだ」と割り切って見ればいいので問題ありません。

・途中で挿入される不二子のシーンは、ちょっと無意味なほどHなテイストなのであんまり好きではないですけど。ただ、作り手の「攻めの姿勢」は存分に感じることはできます。どこに攻めてるんだ? という声も聞こえますが。

・終盤で展開されるヤエル奥崎との最終対決で、彼の強さの秘密が明かされます。それを逆手にとるルパンの頭のキレも素晴らしければ、ポリシーを貫いた次元の闘い方も実に目を見張るものがありました。そうそう、ボクらは彼らのこの「機転」と「渋さ」を待っていたのだ! と改めて嬉しくなるのでした。

・若干だけど。
カッコ付けすぎかな? という感じがしないでもないのは個人的感想です。
「次に風がやんだら…」とか、「うまいタバコが吸いたいだけ」とか、ちょっと古臭いカッコ付けのセリフのような気もしましたが、時代設定が1973年だから仕方ないのかも。プカプカとタバコを吸う場面ってのがもはや奇跡的なのだから、時代は大きく変わったものです。そういう意味で、「現代」とはルパンにとっては居心地の悪いものなのかもしれません。

・余談ですが、考えてみると、ルパンってのは「ルパン」と「次元」だけで十分に物語が回せるんだなあと思ったり。ただ「不二子」「五右衛門」「銭形」だって面白く転がす「おいしさ」を持ってるはずなのですが、彼らはこれまで道化の役回り程度で活かされないことが多かったように思います。特に「銭形」は不憫です。本作でもラストにしか登場しませんが、実はインターポールの凄腕であるはずの彼にも、活躍場面があっていいのではと思います。あと不二子にも、裸要員以外の見せ場を今後は用意してあげてください。五右衛門にいたっては、本作では写真のみの登場という「(ダイ・ハードの)マクレーンの奥さん」並みの運命を感じさせますが大丈夫でしょうか。
(ただ、必要ない話に無理やり登場させる必要はないと思いますので、本作に関してはこれで良かったと思います)

ヤエル9


そして。

ラストのラストに現れたゲストに驚愕。
なるほど、そこへ物語はつながるわけか。
ハードテイストのルパンを作り上げた人たちの「狙い」が透けて見え、旧ルパンファンとしては溜飲の下がる思いがしたものです。これぞ待ちに待った最高のファンサービスです。

・テレビスペシャルでは、コミカルな場面でのクリカンルパンの声の張りに違和感が凄いのですが、逆に本作での抑え気味のトーンの芝居はとても板に付いていてよかったです。

・あと、ちょっと…印象的な構図とそうでない構図の差が激しい気がしましたが…ま、これは好みですかね。

・所々で絵がグダグタに動くのは気のせいか…? 例えば序盤の大使館からの逃走劇でも。またその場面でいうと、散々発砲していた追手がいざ目の前までルパンに迫ったら、撃たずに追いかけるだけなのはなぜ? そういう細かいところが気にかかります。

・超個人的意見ですが、出来たらおなじみのテーマ曲も聞きたかった。それもあって「亜流ルパン」という形ではなく、ぜひこれが「本流ルパン」になってくれたら…とは願い過ぎなのかも知れません。

と思っていたら!

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なんと、今年春からは新シリーズも放映されるというビックニュースもあり、いよいよ待ちに待ったルパンが本流にお目見えするのでは? と期待に胸が膨らんでおります。コンセプトは「20代のルパンたちがスピーディーに大暴れ」とのことで、本作の大人っぽいハードボイルド感とは異なりそうですが、本気で面白く作ろう! という作り手の想いが伝わってきて凄い活劇に仕上がりそうな予感がしています。
なぜかイタリア先行放映で、肝心の日本での放映予定が不明…ってのが気がかりですが…。

それにしても。

このままだとコナンのバーターに成り下がるんじゃないかくらいに心配していたものだから、「ルパン三世」に新しい息吹を感じることができて安心しました。

さあ、次回作はどうなるか。今後の展開がとても楽しみです! 実写除いて。


  

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Posted on 2015/01/27 Tue. 14:27 [edit]

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