素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

るろうに剣心 京都大火編 マンガと本格時代劇の狭間。 


 rurouni-kenshin-poster02.jpg
 るろうに剣心 京都大火編
 (2014年 日本映画) 79/100点


さて、続編です。
たいていは残念な結果に終わる漫画原作の実写映画化の中で、予想を反して高い評価の「るろうに剣心」シリーズ第2弾。
最大の特徴は、なんといっても渾身の力で描かれた素晴らしいアクション! 華麗でキレッキレな殺陣がこれでもかと盛り込まれています。
勝新さえも指を咥えるのではないかと思えるほどのパワフルでスピーディーな殺陣に、思わず見惚れること間違いなし。
手ごわい敵キャラクターの数が増え、バラエティー豊かな戦闘シーンが本当に見ごたえあり。
本作の殺陣を見たら、もう他の時代劇の殺陣は物足りなくて観ていられないかもしれません!

では!






…。






…アラ? またこのパターン?

うん、やっぱり他は印象に残らなかったでござるよ。

OPから派手に展開するのですけどね。地獄の業火で飾りたてたような舞台でボスキャラ・志々雄の禍々しい姿がお目見えし、対する斎藤一(江口洋介)も「ワシが剣心役じゃいかんのか」と思っていそうなほど(思っていないけど)、気合が入りまくっています。斎藤の部下がやられていく様が、「新ポリスストーリー」まんまだなーと思ったのは意地悪な見方ですけど。

大火


場面は変わって平和な東京の街が現れます。芝居小屋の描写や町中の描写に時代劇の風格を感じていたら、剣心や相楽左之助たち一同が姿を現すや、強烈な「異質感」が出てしまうのが残念です。おおよそ「こんな奴おらんへんやろ~」な現代風な姿態の面々。時代劇を見慣れていればいるほど、このギャップには慣れないのでした。

しかし、そこは大友監督も感じているからなのか、原作通りなのかは分かりませんが、なんと剣心が序盤からいつもの赤い着物を脱ぎます。その代わりに、剣心が抑えた色合いの着物を着た途端…なんということでしょう、剣心が素晴らしく画面になじむではありませんか。映像が見事に「本格的な時代劇」に着地したのであります。
これ、これ、これなんですよ。漫画原作の色の設定は、多くが赤や青や黄色べったりの原色です。それが実写化に恐ろしく合わず、忠実に再現しようものなら画面から強烈な陳腐感が漂うのです。しかし、本作の大友監督はそれが分かっているのでしょう。剣心に普通の色合いの着物を身に付けさせるなんて、本当に素晴らしい判断・手腕です。さすがは「竜馬伝」の大友監督です。この瞬間、私はこれなら安心とばかりに、ほっと胸を撫でおろ―

大火編 夜 露 死 苦!


最速で裏切られたぜよ∑(゚□゚;) 

明治のヤンキー、絶対こんなんちゃう!

ということで…原作ファンのみなさんは、ぜひ実写化成功の為にも、忠実なキャラクター再現を求めないようにしてほしいと願います。聞くところによると、御庭番・操の衣装は現実に則したものに変わっているようなので、監督のこだわり具合がまだ固まりきっていないようですね…。

さて。

何度も言いますが、本作は殺陣だけに見応えがある映画であり、個人的にはそれ以上でも以下でもありませんでした。
これも何度も言って恐縮ですが、漫画原作の問題は、制限のある上映時間内に新しいキャラクターを無理やりに登場させるため、唐突感が強いことです。 四乃森蒼紫なんて、原作を知らない者にしてみれば、当然ボスキャラ・志々雄の配下の者なんだろーなーと思っていたら、なんと別枠で剣心を狙っているというからビックリ。突然、御庭番衆絡みの悲惨な過去なんかが披露されても、剣心にしてみれば、「そんな人知らんでござる…」とノーサンキューなことでしょう。いや、まだ左之助よりはマシかもしれません。彼はただ単に、蒼紫の強さをご紹介するためだけにボコボコにされてしまうのですから。そんな左之助ですが、本シリーズでは今一つ存在意義を示せない不憫なキャラクターとなっております。そんなことには気づかず、空気も読まず、つれない態度の剣心に食って掛かり、「オレたちダチだよな!」と粋がりますが、剣心にしてみれば、「ムダに熱くておっくうでござる…」と伏せ目がちな態度でスルーしたいことでしょう。

大火3


というわけで、とりわけ唐突な 四乃森蒼紫というキャラクターの今一つ飲み込めない事情に戸惑いながらも、クライマックスのあたりで剣心抜きの結構な闘いを繰り広げるものだから、しばらくポカンとしたものです。あれだけの大騒ぎの中で剣心が大暴れしているにも関わらず、ちっとも剣心に出会えない蒼紫の尋常ならざる方向音痴はさておき、京都が大火に見舞われるかもしれない事態なのだから、関係ない人はしばらく邪魔しないように控えておくとか…とにかくみんな空気読もうぜー!

しかし、そんなことよりもなによりも、本作には1人、とてつもなくお邪魔虫なキャラクターが幅をきかせています。
そう。
一番の問題点は、なんといっても本作のヒロイン・神谷薫なのであります。
大変うっとおしいです。
何度も剣心が犯そうとする「不殺の掟」を、彼女は目をぎらつかせて守らせようとします。自分の父親が推奨した剣の心得だからこそ、という思惑があるのかもしれません。ということは、彼女は私情のために、そこらへんの人にまで不殺を強要するのだから大変迷惑です。さながら嫌煙運動にも似た粘着的な反対コールは、観ていて違和感を覚えます。そもそも、不殺で敵を無力化するには相当な腕前がなければなりません。ながらく逆刃刀で鍛錬を積んできた剣心ならまだしも、一介の御庭番の方々にも「だめー、だめー」と叫び続けますが、そのためにやられてしまったら、あんた責任とってくれるのかとお説教したくなるのでした。中盤で、赤ん坊を助けようと決意した剣心を引き留めようとする彼女の態度には、空いた口が塞がらず、彼女の叫びが一歩遅く剣心の耳に入らなかったから良かったようなものの、彼を躊躇させて赤ん坊の身に何かあったら、「ごめんなさい」では済まないのですよ。
…と大人げなくツッコミを入れてしまう程、神谷薫の存在は本作に不必要だと言わざるをえないのです。極めつけは、齊藤一の忠告も無視して戦場に赴き、案の定、志々雄一派に連れ去られるという大失態には目も当てられません。前作でもそうでした。もはやピーチ姫状態と化した薫は、いつになったら「かえって剣心を危険にさらしとるがな」と気付いてくれるのでしょうか。敵側が、優しくも薫を楯にしないことに感謝しないといけないくらいです。こんなの剣心にしてみれば、迷惑千万のはず―「(血走って) カオルドノ ー! イマイクデゴザルー!」 …って、ちぇっー! 恋は盲目ですか、ハイハイ!

大火6


しかし、良いキャラクターも存在します。前作同様、江口洋介演じる斎藤一が非常にカッコいい役どころなのは言うに及ばず、一番はなんといっても神木隆之介演じる瀬田宗次郎です。終始ニコニコしている不気味な情緒を纏う彼は、剣心さえも跪かせるほどの腕前を持ちます。相当な練習量を積んだのか、宗次郎と剣心の立ち合いは素晴らしい動きで魅せてくれます。荒唐無稽とはいえ、少しも陳腐に見えない所が凄いのです。
藤原竜也演じる志々雄真実もやはりの貫録。あれだけ包帯ぐるぐる巻きなら、声の吹き替えだけでもいいじゃんかと思いそうですが、前作では物足りなかった、ボスキャラが邪悪さを身に付けるに至る過去の因縁がきちんと描かれていて魅力的です。今回、彼の最も素晴らしい功績は、剣心に向かって「『…ござる』なんて物言いをやめろ! コノヤロー!」という竹を割ったようにスッキリさせるツッコミであることは言うまでもありません。大友監督は、やっぱり分かっておるのだ。
もちろん剣心の堂に入った姿も凄いものだと思いますよ。どうしてこんなにも殺陣が出来るのか。演じる佐藤健は抜群の運動神経だと聞きましたが、納得の巧さで驚きます。往年の時代劇スターのような輝きさえみせるのです。(…が、殺陣の機敏さに比べると、歩き姿がどことなくヒョロロっとしているのが気になったけど)

大火4


さあ。

最後は「伝説の最後編」となります。ここまで来たら最後まで観るつもりです。
果たして志々雄の思惑は結実してしまうのか。
果たして剣心を助ける謎の男は何者なのか。
果たして薫は無事に救い出されるのか。
果たして剣心の行く末やいかに。

あと左之助が今度こそ活躍して見せるのかどうか…は、特に気になっていません。


前作「るろうに剣心」の感想はこちら。

「るろうに剣心 伝説の最期編」の感想はこちら。


    

記事を読んで頂きありがとうございました。
よかったらランキングにご協力ください。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 

 <スポンサードリンク>

アクションの関連記事

 <スポンサードリンク>

Posted on 2015/03/01 Sun. 01:57 [edit]

TB: 0    CM: 6

01

コメント

 

>「こんな奴おらんへんやろ~」な現代風な姿態の面々。このギャップには慣れないのでした。
>原作ファンのみなさんは、ぜひ実写化成功の為にも、忠実なキャラクター再現を求めないようにしてほしいと願います。

これは本当に正論ですね(≧▽≦) 
かつて「マンガの神様」の二つ名をもった手塚治虫先生がブラックジャックの映画化(実の息子である手塚眞監督が手がけた)に激怒したというエピソードがありました
顔面を縫い合わせたブラックジャック・・・「こんな奴おらんへんやろ~」と
http://i.imgur.com/cbQ7qic.jpg

マンガって紙とインクだけで表現するので「少しでも派手に見せなきゃ!」って誇張しすぎちゃうんですよね
そのまま映画にコピー&ペーストしてしまうのは厳禁ですって((>д<))

あと最近、切実に思うのはリバイバル(再復活)ブームってやつですね
・ドラゴンボールの映画化
・寄生獣も映画化
・ついでに北斗の拳やうしおととらも焼き直してみたり・・・るろうに剣心もその一環で

ファンからしたら一瞬「なんで今さら!?」と思う人もいるかもしれませんが(´・ω・`)
よーするに莫大な資金を動かすお偉いさんがチキンハート(臆病者)だということ
・未知の新作映画に大金をつぎこんで大損こくのはイヤだ
・かといってカネを余らせてても殖えないからなにか映画つくらなきゃ・・・
・もともと知名度がある作品にすがれば宣伝で客はくる

デフレ時代に合った低リスク商法といいますか
アナと雪の女王でも言及した「ブランド力にものをいわせた商法」といいますか
実写るろうに剣心の映画2本も興行収入50億円近くとなり、2014年で4位&5位に入ってますからその路線は成功してるんですが
http://www.eiga-ranking.com/boxoffice/japan/
お偉い方には「もっと新たな才能を信頼して未知の新作にも投資して欲しいな~」ともいいたいです。・゜゜・(≧д≦)・゜゜・。

URL | 富士3 #VWFaYlLU | 2015/04/03 22:23 | edit

富士3 様 

コメントありがとうございます。

漫画原作=ヤバイという空気が今だ一般的に浸透していないことに驚きます。

制作者のチキンハートはもちろん害悪ですけど、
一番悪いのは、観に行く人が大勢いる、ということ。
結局、興行的には「ルパン」も成功という結果ですもんね…。
せめて「評判」くらい調べて観に行けばいいのに、
「有名だから」「人気者が出ているから」という理由くらいで観る映画を選択する人が
多いことに愕然とします。

結局…映画好きってのは、日本には少数なんでしょうね…。

URL | タイチ #- | 2015/04/05 23:03 | edit

 

>一番悪いのは、観に行く人が大勢いる
>「有名だから」「人気者が出ているから」という理由くらいで観る映画を選択する人が
多いことに愕然とします

タイチさんのコメントに同感ですΣd(ゝ∀・)
考えてみれば全てのあらゆる商品が、純粋なクオリティではなく【有名だから】 で選ばれてると感じます

映画だけじゃなく、たとえばゲーム業界ならポケモンやらドラクエやら有名ブランドごり押しは爆売れするけれど、無名の新鋭は評価されなかったり

電機製品でもソニーやパナソニックの商品はみんな買うけれど、それに匹敵するレベルの製品をつくれる無名メーカーは無視されたり

日用品でもカゴメのケチャップやらライオンの歯磨き粉やらを自分はいつも買ってますが、クオリティを他の商品と比較して1番に選んだのではく「有名だから」「聞いたことあるから」で金を払ってますね

この国の総理大臣さえ「有名な家に産まれたから」でトップに立ちます
安倍さんも麻生さんも小泉さんも鳩山さんも福田さんも、父親や祖父が国のトップクラスの人で、血縁ブランドのゴリ押しでの成功ともいえるかもしれません


「二極化社会」の典型といいますか
有名なもののゴリ押し(アナ雪とか剣心とかアナ雪とか)は〝過大評価〟されて過剰に金をもらえる
無名なものは〝過小評価〟されて頑張っても客の目にとまらない さらに二極化構造の格差はさらに激化します(-ω-;)

商品の利益はそれに携わる労働者にストレートに反映されて、有名企業の社員は過大評価されて無名企業の社員は過小評価されるのかもしれませんね
自分は社会で働いてる人々はみんな必死に努力してると考えてますが

PS:ちょっと話が映画からそれてすみません( ̄□ ̄;)!!
タイチさんのコメントを深々と考えると、世間のすべてに通じる黄金律(有名さの過大評価)を感じると思ったので

URL | 富士3 #VWFaYlLU | 2015/04/09 06:28 | edit

富士3  様 

コメントありがとうございます。

けどですね、映画に関しては解せないのですよ。

だって、ドラクエはかつては面白かったし、有名ブランドの電化製品も、まあ使えるじゃありませんか。

けど、有名漫画原作の映画って、面白かったことの方が「稀」でしょう。

実績がないにも関わらず、どうして「漫画原作の映画」を選択できるのか不思議です。
何の疑いもなしに、「暗殺教室」を選択できるのが不思議です。

逆を言えば…面白ったと満足している人が大勢いるからなのでしょうか…。ゾゾゾ。

URL | タイチ #- | 2015/04/09 13:18 | edit

 

もう結構前のものかと思いますが、今日初めて るろうに剣心の映画の感想読みました。
『もはやピーチ姫状態の薫』
に爆笑しました。上手いこと言いすぎ!
はー、笑った。
面白すぎて、何かコメント残したくなりました。突然すみません。お邪魔しました!

URL | カオルドノ #- | 2015/05/20 00:53 | edit

カオルドノ 様 

コメントありがとうございます。
いつも四苦八苦しながら拙いブログを綴っておりますが、
笑ってもらえて嬉しいです。
励みになります。
ありがとうございます。

今後もよろしくお願いします。いつでもお寄りくださいませ。

URL | タイチ #- | 2015/05/20 23:30 | edit

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/239-538c99ac
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list