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イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 /こんないい奴を泣かしたのは、誰だ! 


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 イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
 (2014年 イギリス・アメリカ映画)
 90/100点



めちゃくちゃ良い映画でした。傑作の人間ドラマです。大いに泣けたものです。本当に良い映画を見せてもらって感無量です。直前まで悩んだけど、『ジュピター』に行かなくて良かったあ。

あらすじは、「第二次世界大戦中、ドイツの高度な暗号エニグマの解読に、イギリスの天才数学者・アラン・チューリングが挑む。しかし、難攻不落と言われたその暗号解読は困難を極める。そしてアランには、決して人に知られてはならない秘密があった…。」というお話。

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実話です。50年間の機密期間を経て、第二次世界大戦の終結を早めたと言われる、「アラン・チューリング」の偉業の物語が紡がれます。

しかし、それはあまりに悲しい物語でした。
映画が終わった後、しばらく茫然とするほど、心に重く残るラストだったのです。


<とはいえ、結末のネタバレなしに書きます。>

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派手さのない映画なのに、十分な見応えを感じるのは、何と言っても主人公アラン・チューリングの特異な個性と、彼を演じるベネディクト・カンバーバッチの巧さです。

アランは数学の天才ながら、恐らくは「アスペルガー症候群」です。人の気持ちをうまく察することが出来ません。無論、それを悪びれることもありません。
ただ一直線に、彼はエニグマの解読を目指すのみ。そのために必要のない人材は感情なく切り捨て、必要のない会話には遅々として応えず、必要のない(と彼が思っている)気遣いには、一切の注意を払うことはありません。

天才がゆえに。

…当時、「アスペルガー」という症状は世間に知られていなかったことと思います。
これは一つの障がいです。しかし、身体の障がいではありません。目には見えない障がいです。
ゆえに、周りの人間には彼を理解することも、慮ることもできません。周囲にとって彼は、ただの「イヤな奴」にしか見えないのです。それが、心の障がいの悲劇性の一つなのですが…。

しかし、それが重みではなく、どちらかというと「おかしみ」に描かれていたので、うまく映画の緩急になっていたと思います。
同僚から「昼飯食いに行くよ」と言われても、飯に誘われていると気付けないのに、「腹が減った人は?」と問われると、「減ったよ」と即座に答えて戸惑わせます。
自分が命令できる立場になるや、「君クビ、…はい君もクビ。だって才能ないもの」と、人間関係に一切のためらいがありません。
同僚が素晴らしいアイディアを嬉々として持ってきても、「…悪くはない」と素直に誉めることができません。

彼には、「人を気遣う」ことが一体何のためにあるのかが分かりません。
彼にとって、人間関係とは恐ろしく煩わしいものであることでしょうね。
ちょっとした誤解で生じる疑心、すれ違いで生じる妬み、逆恨みのような不満
…おおよそ人間関係は、合理的でない部分が多くて面倒です。アランにしてみれば、「与えられた命題さえ解ければ何事も美しくまとまる」のでしょうが、チームで作業する場合は単純には行きません。時には人をおだて、時にはおどけ、時には弱さを見せないと…、人間関係はこじれ、問題解決は遠ざかってしまうのです。

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しかし、アランの偉い所は、それを「学ぶ」ことにあります。
元来、人が嫌いなわけじゃない、意地が悪いわけでもありません。だから、彼以上にパズルが得意な同僚の女性・ジョーン(キーラ・ナイトレイ)のことはすごく気に入り、彼女の「人の助けが必要よ」というアドバイスに素直に耳を傾け、おかしいくらい不自然に同僚に気を回し始めるのです。唐突にジョークを飛ばし、かえって周囲に気を使わせとるがな! …ってところがなかなかツボでした。

そう、彼は純粋な男なのです。えーヤツなんです。おまけにカンバーバッチが演じると、8割増しでえーヤツに見えるのだからまいります。

辞めようとするジョーンを手放したくなくて(しかもホントに純粋に友達として)、興味もないのに結婚を申し出るところなんて、涙が出るくらい純粋じゃありませんか。

さて。

そんなえーヤツである彼が挑む暗号解読は、一筋縄ではいきません。
なにせ、1日で暗号コードを変えられてしまうために、18時間で解読を進めねばならないのです。しかし、単純計算すると、解読には2000万年かかると言われ、当時エニグマの暗号解読は不可能とされていました。
ここらへん、なんやかんやと解読に至るわけですが…、その辺り、実はよく意味が分かりませんでした。ド文系ですみません。とはいえ、解決に至る逆転のヒントを得る場面では、傑作の推理ドラマのように、きっちりとワクワク感を煽っていて食い入りました。基本的に大人しい映画ですが、その場面での急激なアップテンポたるや、いけー! いけー! と心の声を振り絞って応援していたものです。

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しかし。

忘れていましたが、本作は「悲劇」なのです。
しかも、啞然とするほどの「悲劇」です。
カンバーバッチの名演が凄いです。暗号解読機の名前「クリストファー」の「秘密」に隠されていた、アランの底知れぬ「孤独」が痛いほど伝わってきて、終盤は彼に感情移入しっぱなしでした。

彼のもう一つの「秘密」が明かされるや、彼には不条理な仕打ちが課されます。
彼は人の気持ちを考える事のできない「障がい」を抱えている、と前述しました。
しかし、世間(国家)は、それをはるかに凌ぐほど、「人の気持ち」を踏みにじるのです。それも意図的に。利己的に。一切の感情もなく。
それを思うと、彼が「人間関係」に興味がないことが、むしろ当然のように思います。

ほらごらん。人など信用できぬもの。人に気を遣うなんて馬鹿らしいよ。なにせ、人は人を暴力的に攻撃するだけだもの。

最期にアランは、そう思ってしまったかもしれません。

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彼を追い詰めた奴は、一体誰なんだ。出て来い!
腹が立ってなりませんでした。

アランは立派な成果をあげたのです。
歴史を変えたのです。
「個性的」であるがゆえに、彼は多くの人命を救ったのです。

誰か…、彼に報いてあげてもよかったのじゃないでしょうか。


  

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Posted on 2015/04/07 Tue. 15:16 [edit]

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