素人目線の映画感想ブログ

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セッション しごきに耐えうる者が天才なのか。 


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 セッション
 (2014年 アメリカ映画) 90/100点


面白かった。ジャズについては詳しくありません。詳しい人からは何かと批判も出ていると聞きますが、映画として、もの凄い出来栄えだと思います。ラストには、拍手喝采を送りたいほどの感激がありました。


<結末には触れません。>


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これが、ほぼ本作のイメージです。

もはやご存知の事と思いますが、本作の胆はなんたって鬼講師のフレッチャー教授。素人から見ると、ほぼ気まぐれにしか思えないキレっぷりで、生徒たちを苛め抜きます。師としての恐ろしさたるや上記のピッコロ大魔王に匹敵。さらに言うと、その容貌は初代ピッコロ大魔王に酷似!
「ファッキンテンポ!」が印象的だった予告編の通り、名門の音楽学校の学生であり、ドラムを演奏する主人公ニーマンは、何が正解か分からないほどのフレッチャー教授の要求に必死に応えようとドラムを叩き続けます。
が。
もはや本当にドラムのテンポがファッキンなのか、全く分からないまま何度もやり直しを強いられ、ニーマンはフレッチャー教授に怒り散らされる羽目になります。怒鳴られるだけならまだしも、「その男、狂暴につき」ほどの絶え間ない平手打ちが飛んでくるから、さあ大変。観てるこっちも殴られそうな緊張感を覚えます。人が怒られているのを見ているだけでもツラくなる人には、絶対にオススメできない映画なのでした。
そしてまた何が怖いって、この人たまーに人間味のある表情をして、「演奏を楽しもうぜ」などと緊張感をほぐそうとしてくるのですが、その直後に鬼に変わるもんだから、モー大変。緩んだところにフェイント怒りをかまされて、度肝を抜かれたニーマンは、思わず涙を流してしまうのでした。

②セッション5


ニコニコしていた直後に簡単に怒りだすような人って、たぶん病的なドSです。間違ってもギャップ効果に騙されてはいけませんよ。洗脳を企てる人にありがちなタイプ。いわばモラハラなので、本来なら関わってはいけないタイプの人なのです。しかし、ここを潜り抜けなければ、ニーマンの目指す一流ドラマーへの道はないのだから、ま―大変。

必死に食らいつこうと練習を重ね、次第に大きく成長していくニーマンは確かに立派だと思います。
思いますが…ニーマンが終盤でフレッチャー教授に問うた様に、「そのしごきの為に、幾人かの天才が潰されたのではないか」と思わずにはいられません。フレッチャー教授は「天才は決して潰れない」と豪語しますが、それは間違いだと、個人的には思います。

人には、タイプがあるのです。

私は、仕事で学習指導に携わることがあります。(私は先生ではありません)
生徒には、しごかれると伸びる人もいますが、しごかれると潰れる人も確かにいます。
フレッチャー教授に潰された才能は、恐らくあるはずです。
ついでに言うと、OO学園の野球部のしごきでも、潰された才能はあると思います。桑田真澄がよく言っていました。「自分はうまく手を抜いたり、さぼったりしたから生き残ったのだと」
とすると、成功するための最も必要な才能は、その競技・芸術の才能よりも、「しごきに耐え抜く能力」かもしくは、「要領良くやる能力」ということになってしまうのです。それは…「運力」よりも何だか不合理に思えてしまうのですが。

本作でもしかり。フレッチャー教授の指導法に付いていけるタイプの生徒が、生き残っているに過ぎないのではないでしょうか。

とはいえ。

フレッチャー教授に向かって、「私、褒められて伸びるタイプなんです~」などとほざこうものなら、容赦なく椅子が飛んでくることでしょう。フレッチャー教授は「good job!(グッジョブ!)」という褒め言葉は、指導にあってはならぬと断言していますから。

ついでに言うと。

3075f568.jpg ジャズやるべ!

などと、のたまおうもんなら、この世の全ての悪意が凝縮された罵声が飛んでくることうけあいです。

そう。私は本作を観ながら時折、フレッチャー教授を「スウィング・ガールズ」の世界に放り込みたい邪悪な思惑にあがらえずにいたのでした。(それもまたドSですな)

しかし。

主人公ニーマンは、そこそこいい歳してパパと一緒に映画を楽しむといったような心許ない雰囲気とは裏腹に、実はフレッチャー教授の指導法に適していたようです。次第に彼は、異様な熱量を帯び始めます。体育会系の脳筋な親族から、「音楽なんて」とバカにされると、彼はムキになって反論するので、強烈なプライドがあるのでしょう。負けん気根性が人並み以上にあったのです。それは、才能を開花させるために必要な才能。逆境の中で強くなれる能力を備えていたのです。
そして、力を備えていくたびに、彼は人柄も変わっていきます。何だか…フレッチャー教授に似ていく気がしました。恋人に非情な別れを宣告する彼は、まさに「芸術の高み」の為なら手段を選ばないフレッチャー教授そのものなのでした。

 ②セッション6


本作の凄い所は、ラストシーンにあります。
実は途中まで、「あれ…? スウィングガールズみたいに終わるの…?」とちょっと不安になりかけていました。それじゃ、普通じゃないかと。
甘かった…。
またもや温和な顔つきでニーマンに近づいていたフレッチャー教授が放つ、ラスト演奏の前の一言に凍りつきました。
ひええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ…・。

それは、ほとんどホラーでした。
この人、やっぱり人格が破たんしとるでの。

最期の最期の大しごきに、果たしてニーマンは打ち勝つことができるのか。

ラスト9分19秒で映画の歴史が塗り替わる、と大げさ気味のキャッチコピーだと思っていたのですが本当に痺れました!

セリフなどほとんどありません。戦場のような緊張感に満ちた舞台上で、師弟関係を越えようとしている二人の音楽家がお互いの狂気を絡み合わせます。それを、他のバンドマンも劇中観客も我々観客も、一体となって固唾を飲んで見守るのです。ただならぬ土砂降りの雨のようなドラム音に心臓を跳ね上げられながら。これから巻き起こるであろう歴史的瞬間を目の当たりにしようと。

ニーマンを演じるマイルズ・テラーも、フレッチャー教授を演じるJ・K・シモンズも素晴らしい表情の芝居で魅せます。
若干28歳という若さで本作を撮りきった新鋭・デミアン・チャゼル監督にも、脱帽です。必見!



そして、もちろんのことながら劇中の曲がやたらカッコイイ! 特にテーマソング・Overture はジャズの素人の私にも鳥肌ものでした。


   

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Posted on 2015/05/03 Sun. 08:13 [edit]

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コメント

はじめまして 

興味のある作品のレビューを読ませていただきましたが、率直な感想に共感しました。
この「セッション」については未見ですが、レビューを拝見して、見てみたくなりました。
海外ドラマで見知ったJ・K・シモンズが、どんな鬼教師っぷりを見せてくれるのか楽しみです。

勝手ながら、貴サイトの当方のブログにリンクさせていただきました。
よろしければ、相互リンクをお願いいたします。

海外ドラマチカS2
http://kaigaidramatica2.blog.fc2.com/

URL | Ricky247 #- | 2015/05/20 15:27 | edit

Ricky247 様 

コメントありがとうございます。

私も海外ドラマは凄く興味あるんですけど、時間との勝負に負けており…。

ブログ拝見させて頂きます。
総合リンク了解です!

URL | タイチ #- | 2015/05/20 23:31 | edit

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