素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

思い出のマーニー ジブリの終焉を見た。 


 マーニー0
 思い出のマーニー
 (2013年 日本映画) 75/100点


<謎に触れませんが、ほぼネタバレしています。>


ひょっとすると、スタジオ・ジブリ最後の作品になるかもしれない本作は、「借り暮らしのアリエッティ」の米林監督が手掛けた第2弾の長編アニメーションです。

が。

宮崎駿引退後、ジブリを引っ張っていくのではないかとさえ言われていた米林監督は、本作完成直後、なんとジブリを退社。
もちろん、製作部門を解体したジブリは、次回作以降、作品ごとにスタッフを結集させると言っているので、米林監督は今後もジブリに関わるのかもしれませんけれど。

とはいえ。

何となく…ジブリの終焉を思わせるショッキングなニュースではありました。

しかし、残念なことですが、米林監督に宮崎駿と高畑勲の色に染まったジブリの後継が務まるとは到底思えなかったので、さほど不思議ではありませんでした。アニメーション作家としての技術の問題ではありません。宮崎・高畑の志向とは、全く違う人だろうなーと思っていたもので。ジブリファンが、ジブリ作品に期待しているような映画を作る人ではないだろうなーと。

そこで本作なのですが。

公開からだいぶ経ちますが、かなり評判がいいですね…。
いろいろなブログを見ても、好意的な感想がほとんどのように思います。

だから非常に言いにくいです。

またもや世間の評価とズレてしまった…。
実は、私にはノレなかったのでした。

ちょっと元気のない時に観たせいなのかもしれません。全体に流れる「シン」とした雰囲気が堪えたのかもしれません。見終わった後、元気を吸い取られたような気がしたものです。

終盤では確かに魅せる場面も多いのですが、それは置いといて…とにかく序盤から中盤にかけては驚くほどつまらなかった。


あ、すみません。本作が好きな方は読まれないでくださいね…。好き放題にひねくれて書いていますので…。

マーニー2


さて本作は、主人公である12歳の安奈の性格や言動、行動に共感や理解が出来る人と、そうでない人で、評価が割れると思います。
安奈の境遇は幸せなものではありません。小さい頃に両親をなくし、養母と一緒に暮らしているためか、あらゆる「人」に心を閉ざしています。
可哀想な境遇だし、まだ子供ですから、ひねくれてしまうことがあるのは仕方ないと理解しています。思春期の手痛いゆがみみたいなものがとてもリアルに描かれているのは、米林監督の見事な手腕ではあるとも思います。けど…序盤から、安奈の行動には、イチイチ「イタいなあ」と思ってしまい、落ち着いて観ていられなかったのです。

安奈は友達を作ろうとしません。「他人は輪の中、私は輪の外」と人とのつながりを嫌います。阻害されているのではなく、自分から輪の外に出ているに過ぎません。だから、当然学校のクラスメイトは彼女に冷たいです。それが、さらに安奈の人間不信を加速させます。これは、自分で人間不信の種を撒いているのです。
そして極めつけは、療養に出かけた先で、同じくらいの歳の太めの女の子が近寄って話しかけるや、鬱陶しくて思わず、「ふとっちょブタ!」と言い放ちます。キテレツ大百科の「ブタゴリラ」に勝るとも劣らない斬新な悪口にびっくりしました。
安奈はそんな自分が大嫌いで、独りで泣いていたりするので、本当の気持ちではないのでしょう。本当は「人」とのつながりを人一倍に欲しているのでしょう。それは分かるのですけれど…。

私が気になったのはその後。
マーニーが現れた時です。安奈がマーニーにだけは心を寄せるのが、とても「気持ちが悪い」と感じたのでした。
なぜ、安奈はマーニーとは友達になりたいと思ったのか。
終盤では、彼女たちの関係について「ある秘密」が明かされます。だから、今から書くことは大間違いなんだと思います。しかし、序盤ではそんなことは分かりませんから、私、ひねくれて見てしまったのです。

ははーーん。

安奈めー。

こういう特権階級っぽいパツキンの美少女とお友達になることで、自分の価値を上げようとしてやがんなー…って…

醜い「太っちょブタ」なんかと友達になるもんかい。私に冷たくするようなレベルの低い奴なんかこっちから願い下げじゃ。でも、マーニーはめちゃめちゃ綺麗だし、金髪すごいし、ミステリアスだし、特別感があるから、こういう子と友達ってなんか…あたしもイケてない?

などと直接思っているわけでないでしょうけれど、それに近い、認証欲求や虚栄心を満たそうとする心の内が、なーんか透けて見えるような気がして、実に落ち着きませんでした。

いや、だから…本作が好きな人は読まないでくれと言ったでしょうに。引かれたって構うものか。さらに続きます。

マーニー3


それから。それから。

思いがけずマーニーの不幸話を聞くや、「あたしの方がマシじゃん」と己の傷を慰める安奈。いやいや、もちろん、直接的にそう思っているわけではないでしょう。そうでしょうけれども…本作には、これまでのジブリ作品のように、「何かを成し遂げて自信を付ける」などというポジティブな発想は見られません。セラピーの会合みたいに、安奈とマーニーが互いの不幸話を披露しては傷をなめ合っているようにしか見えなくて、本当に落ち着かないのです。

とにかく序盤からメソメソしていて、見ている方がつらい…。ジブリのこれまでのヒロインの中では、最も頼りなく、動きのない少女たちなのでした。

本作の、中盤までの面白くなさは異様とさえ思いました。

「いい人」代表のような田舎のおばちゃんやおじちゃんの描き方も、ステレオタイプでスンナリとなじみません。かと思いきや、安奈が夜中に道端で倒れているのが見つかっても、大して心配せずにその後も外出を容認しているのが不可思議です。終盤も終盤、お礼を述べる養母に「あたしら何もしていないのよ」と言っていたけど、本当にその通りです。

ついでに言うと。
終盤でマーニーと自分との秘密を知った安奈は、いろいろな人にそれを明かそうとしていましたけれど…それは…止めておいた方が…。「あのね、あのね。夜中に金色の髪の女の子と出会ってね」などと嬉しげに報告しようものなら、
重症化してるやん…
と周囲に戦慄を走らせることになるでしょう。絶対に秘密にしておくべきです。

さて。

いろいろ悪く書きましたけれど、これはたぶん…懐古厨の昔のジブリ欲求のせいなのかもしれません。正直言って、「活劇」が見たいのです。それが、多くのジブリファンの想いではないでしょうか。「ナウシカ」「ラピュタ」「もののけ姫」…血沸き肉躍る壮大な物語が見たいはずです。それなのに、実写でも可能に思えるような丁寧な心理描写アニメーションなんて、もう、ほんとに興味が湧かないのですよ。
聞けば、米林監督は「汚いもの」は描きたくない人だそうです。また、以前に「かぐや姫の物語」の他に「平家物語」の企画があったそうですが、「人が死ぬ」のを描きたくないというスタッフが多くて断念した…という話も聞きました。これらは私にとって、すごくガッカリなエピソードです。ジブリはもはや、我々が求めるジブリではありえないのです。制作部門の解体は必然としか言いようがありません。宮崎駿がかつて巻き散らかしてきた「狂気」や「毒」は、誰にも継がれず、綺麗さっぱりになくなってしまったのでした。無論、驚愕する程の「演出力」も、何一つ残されていないのだと思います。

マーニー4

ただ。

本作は終盤から急にテンポが上がっていき、抑え気味の演出も、途端に印象的になっていきます。
なにより、マーニーの秘密が哀しげなタイプのホラー映画のように明かされていく展開にはゾクリとしました。
おいおい、マーニーってやつは、実は安奈を認識していないじゃないか…。
ここからは面白く観ました。残酷な結末を予感させ、中盤までのゆるーい雰囲気にしびれを切らしていた私も、さすがに見入りました。

矢継ぎ早にマーニーの不幸が綴られていく展開には、少し眉をひそめますが、自分の生まれたルーツを知った安奈は、残された者の生きる意義を感じたかのように、力強さと元気を手に入れます。

窓辺から、安奈に大きく手を振るマーニーの姿には、まさに「懸命に生きろ」というメッセージを感じました。物語に、ようやくポジティブな空気が流れ込んできて、ほっとしたものです。

マーニーから安奈に受け継がれた思い出は、きっと安奈の今後の人生の糧となることでしょう。
逆に。
宮崎駿・高畑勲の両雄から引き継がれたスタジオ・ジブリは、私のようなオールドファンの思い出によって、ズシリと重たい十字架を背負わされてしまっているのかもしれないなと…ちょっと思ったりするのでした。


   

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったらランキングにご協力ください。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 

 <スポンサードリンク>

アニメの関連記事

 <スポンサードリンク>

Posted on 2015/05/22 Fri. 13:11 [edit]

TB: 0    CM: 0

22

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/251-ed1269f0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list