素人目線の映画感想ブログ

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フライト・ゲーム リーアム・ニーソンの説明責任。 


 フライト
 フライト・ゲーム (2014年 アメリカ映画)  79/100点


<犯人には触れませんが、ほぼネタバレしています。>


つい先日、新幹線車内において大変な事件が起こりました。
一人の男が焼身自殺を図り、一人の女性が巻き添えで犠牲となってしまったのです。
新幹線の安全神話が崩れたと言う人もいますが、これは「事故」ではなく、個人の起こした「事件」ですのでそうは思いません。
しかし。
新幹線であろうとどこであろうと、常軌を逸した「人」がいる限り、日本には(世界のどこにも)、絶対に安全な場所などはないのです。

というわけで、奇遇にも本作は、心神喪失かもしれない一人の男が飛行機内で無茶をするために、乗客が恐怖におののくお話です。

その男とは、航空保安官として飛行機に乗り込む主人公・マークス(リーアム・ニーソン)。冒頭から何やら心に傷を負っている様子が描かれます。酒に浸り、こっそりと機内トイレでタバコをふかすという、やる気のあるようなないような初老の疲れが見えるその姿は、序盤までは蛭子能収かと思うくらい心配させるのでした。

大西洋上空のそんな彼の元に、一通のメールが送られてくることで物語は動き始めます。

「指定の口座に1億5000万ドル送金しなければ、20分ごとに機内の誰かを殺害する。」

ということで、ロンドンへのフライト途中、犯人探しのミステリーが幕を開けるのです。

フライト2


確かに。

他の方のブログでも散々に言われている通り、そのミステリーの謎解きには、もやっとしたものが残ります。
いろいろと無理があるみたい…。
しかし、私はその展開の皮肉さに興味津々。深く考えずに展開の面白みだけに優しい眼差しを向けられれば、なかなか優れたミステリー映画だと思うんですけど…

特に、20分後の殺人を防ぐ為に奮闘していたら、なんと自分が20分後きっかりに人を殺しちゃってた!というトンデモ展開が捻くりまくってて愉快です。
もやっと。
世にも奇妙な物語ならあり得る話です。
多重人格モノのサスペンスなら、なお、あり得る話ですな。
しかし主人公・マークスの物語はそうではありません。これは犯人の術中。彼は気持ちがいい程に、まんまと策略にハマっちゃうのであります。

おまけに、犯人の指定した振り込み口座が、マークス本人のものと判明するから、さあ大変。
次第に国土安全保障省からも「お前がハイジャック犯か」と疑われる流れに乗っかってしまうのです。
もやっと。
そもそも「口座が誰のものか調べろ!」と指示したのはマークス自身なのだから、それが「お前のじゃねーか!」となったからって、疑いもなく「テロリストとは交渉せん!」と機械的に対応する国土安全保障省の間抜けさが残念です。

しかし、逆境になるにつれ、反比例にマークスのやる気はウナギ昇り。乗客全員を容疑者とし、賢明な犯人探しが行われます。序盤の蛭子さん状態はどこへやら。いつもの屈強なプロフェッショナルの顔を見せ始め、ついには手厳しい荷物検査を実行するのでした。
もやっと。
もちろん、映画としてはオールオッケーに収縮される結末が用意されているわけですが、中盤までは「お前が張り切ると人が死ぬな」的な展開にも思えてしまいました。


それにしても、ほとんど孤軍奮闘で誰の理解もない中、何の迷いもなく、ここまで突っ走っていけるマークスは素晴らしいと思います。
もちろん、数人の協力者を得ています。
隣の席に座っていたジェン(ジュリアン・ムーア)は、実は飛行機の離陸が大の苦手なマークスの手を優しく握ってくれる素敵な女性です。「わー、お近づきになりたいわー」と思ったかどうかは分かりませんが、早速声をかけるマークスに、途中からぷいっとしちゃう小悪魔な面を見せるのが恐ろしい。そんなジェンを、最も信頼できる人だと客室乗務員・ナンシーに紹介するマークスは、恥ずかしげのないドMに違いありません。

そのナンシーもまた、最後までマークスを信じます。マークスに従い、無茶な手荷物検査に協力し、ちょっとでも言う事を聞かない乗客に注意までしてくれるのです。

こうして女性ばかりを味方に付けた色男・マークスは、案の定、男性乗客からの猛反発を食らうという失態を演じます。

もちろん、女性ばかりを味方に付けたせいばかりではありません(そんな理由じゃない)。一切の事情を話さないまま、乗客に高圧的な態度をとり続けるマークスは、確かに自民政権ばりの「説明不足」が否めないのです。もちろん、その「説明」が極めて難しいのは分かります。「さきほど人が殺されました。この先も誰かが殺されます。そして犯人は、乗客の中にいます」とは、パニックを避けるためには伏せておく必要があるでしょう。少なくとも、「まー、1人目は私が殺したんですけどね。 ((´∀`*)) アハハ。」等と、どの口が言えたものか!

フライト4


というわけで、事態は複雑なのです。

しかし、そんなマークスへの乗客たちの不満は、次第に「こいつ…本当は危ない奴なんじゃないか…?」という疑惑に変わっていきます。そりゃそうです。「単なる無作為の手荷物検査」の割には、マークスの行動があまりに乱暴過ぎるからです。

「説明」って、ホント大事ですね…。
ただし。
世の常として、なかなか「説明しない」ってのは「説明がヘタ」だからではなく、大体において「言いたくない」からです。
集団的自衛権しかり、「説明が足りない」のではなく、「知られたくないことがある」ということなのです。
私もその昔、営業の手法でこう教えてもらった事があります。「営業マンは絶対にウソをついてはいけない。ただ、知られると困ることを説明しないだけ」

さて。

マークスは乗客から恐れられていきます。
そして、徐々に「ハイジャック犯」として見られるようになってしまうのです。
早く! マークスは「説明」をしなければ!

「待ってくれ! オレはハイジャック犯ではない! そりゃあ、アル中だし、禁煙の機内で煙草は吸うし、娘を亡くした心の傷が深くて警官を辞めたし、蛭子さんくらい疲れた初老だし、ここんとこ似たようなアクション映画ばかりに出ているけれど! シンドラーのリストでオスカーにノミネートもされたこともあるこのオレは、決してハイジャック犯ではない! それどころか、ここにいる乗客を守ってみせるんだー!」
といったよーな感じの、魂の説明・説得を試みます。

聞きようによっては、逆に「そうです、わだすは危ないおじさんです」と吐露しているようにも聞こえかねない弁明ではありますが…

乗客全員「そうだったんだね! ごめんよ!」

素直に納得する乗客のみなさんなのでした。多少もやっと感もありますが、包み隠さない真摯な「説明」がいかに大切なのかが、よーく分かりました。
「こうなったら全部言うけど、機内には爆弾もあるで」
という…やっぱり言ってほしくなかったような衝撃の事実も打ち明けられて青ざめる乗客をよそに、ひとりスッキリした顔になるマークスなのでした。

フライト5


しかし。

その後の乗客全員の協力関係が素晴らしいです。
ニューヨークの警官だという男は、途端に頼もしい相棒へと変わります。
爆弾の衝撃を抑えるために、みんなで必死に荷物を爆弾の上に積み上げます。
そして何気にMVPの大活躍をしてみせたのは、副操縦士・カイル。終盤に乗客全員の命を救ったのは、ほぼ彼のおかげなのでありました。終盤直前まで、あまりキャラ立ちしていなかったので驚きました。もう少し印象的な出番を増やしてあげた方が良かったように思います。

そして。

被害者の死ぬタイミングが正確過ぎてもやっとし、犯人の動機にもやっとし、パラシュートで逃げようとする計画にもやっとし、「吹き矢」という何でもアリの職人技にもやっとするなど、大小さまざまなもやっと感がありますが、私が一番最近の映画に嫌なのは、やたらにIT技術が出てくるところです。本作は中盤まで「メール」がポイントになっています。マークスは、見えない敵から動揺を誘う「メール」攻撃を仕掛けられます。そのプロット自体は、底知れぬ敵の巧妙さを予感させ、観る者に緊張感を与えることに成功しているのですが…。何だかよく分からないままに、「なぜこれほどの巧妙な犯人側の仕掛けが可能だったのか?」という本作の様々な疑問点は、「なんだかんだIT技術で何とかしたんです」と無理やり言い聞かせられているような気がして嫌いです。映画はもっとアナログ感を大事にすべきだと思うんです。…いやいやいや、とはいっても「吹き矢」はないわ!


<以下、犯人含め、最後までネタバレします>


フライト7



ポスターにもある通り、最後にマークスが魅せる、ふわりと浮かびながらの銃撃シーンのカッコ良さもばっちりで、そこからまさに本作の原題通りに、「ノンストップ」で怒涛のラストシーンへと突き進みます。

さあ、果たして結末やいかに。

果たして犯人は一人なのか二人なのか。それとも教師なのかスマホ技師なのか。実は二人とも共犯なんですが果たして機内の爆弾は爆発するのかしないのか。実は爆発してしまうのですが無事に着陸できるのかできないのか。…ま、出来るのですが果たして新たな犠牲者は出るのか出ないのか。ま、出ちゃったらハッピーエンドにならないので大丈夫なんですが…
しまったー! マークスにならって全部説明してしまいました! …けど…、あースッキリした。


  

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Posted on 2015/07/04 Sat. 00:43 [edit]

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 |  # | 2015/07/17 18:58 | edit

ありがとうございます。 

ご自身の体験を交えたアドバイスありがとうございます!
参考にさせていただきます!

URL | マーさき #- | 2015/07/18 15:48 | edit

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