素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

フランシス・ハ ドジでノロマなカメだけど。 


 フランシス本ポスタービジュアル
 フランシス・ハ
 (2012年 アメリカ映画)  85/100点


白黒にオシャレっ気の強い映像から、フランス映画をイメージしましたが、アメリカ映画でした。
そこそこ話題になった本作ですが、私が何より惹かれたのは、本作のタイトル「フランシス・ハ」の「ハ」の部分。

なーに? 「ハ」って?

単に「フランシス」というタイトルだったら、通り過ぎていたかもしれません。
私は妙にこの「ハ」に引っかかりました。
素晴らしいネーミングのセンス。
みんな思いますよね、「ハ」って何って? 
私は仕事で自社広告のキャッチコピーを考えることもあるので、こういう人を引き付けるセンスに興味津々になります。

この「ハ」の種明かしは、本作の結末で明らかになります。
これもうまいじゃーないの。
物語自体には大して起伏があるわけでも、ドラマチックな展開があるわけでもありません。
しかし、ラストに「ハ」の意味が分かる! としたことで、途端に謎解き要素が加わって映画の内容を飛び越えた興味をそそらせるのです。

いったい、「ハ」に隠された謎とはいかに。

あらすじは、「何事もうまくいかない27歳・ダンサーのフランシス。ルームシェアしてる大の親友は出ていくし、仕事はうまくいかないし、当然恋にも縁がないし。負け犬人生まっしぐらのアラサー女子の物語…」というお話。


フランシスハ0


<結構ネタバレします。「ハ」の意味には触れません。>


面白いです。
特別な出来事があるわけではありません。
とっても小さな世界の物語です。
本作は、フランシスのキャラクターの面白さでもっているお話です。彼女の一ミリたりとも飾らない天真爛漫さには、なんだか共感します。
観る人によっては、フランシスが「わがまま女」に見えて不快に感じるそうですが、何とも罪のないイタさではありませんか。
彼女はぬぼぉっとした雰囲気に、幼稚っぽい元気をふりまいています。どこか、オタクっぽいんです。妙にガタイもいいですし。
だから、とても可愛くないのです。
男友達から、「非モテ」と認定されています。
やることなすこと裏目なんです。
恋人よりも大親友・ソフィーとのルームシェア関係を大事にしていたら、当のソフィーの方がとっとと出て行ったりします。
さらに、見え張りなんです。
ヘタの横好きに過ぎないダンスに固執し、せっかくの事務仕事を掴むチャンスを断ったりしてしまいます。
計画性もないのです。
気まぐれにパリに1人旅してみても、何もすることなく、居心地悪そうに読書したりしています。
空気もあまり読めないんです。
シラケ鳥が飛んでいる場内で、好き勝手に寒い事をしゃべります。

つまり。

フランシスは、1人でいつまでも大学生気分なんです。

周りは勝手に大人へと羽ばたいていっているんです。
それが無性に許せなくって。
「結婚」で落ち着こうとするソフィーをつい酔いに任せて罵倒してしまうんです。

そして気づいたら、1人ぼっちなんです。

フランシスハ2

しかし、彼女の良さはくじけないところ。ウジウジしません。前向きです。
つまり、いー子なんですよ。

だから、とても可愛くないのです。 だから、とても人を安心させるんです。
気付いたら周りに人が集まっています。料理も披露したりして、ギャップ効果がかえって可愛らしいではないですか。
やることなすこと裏目なんです。 うまくいっていないことが、彼女の魅力なんです。
傷つくことが多いけど、その分、人から憎まれることがありません。時折、誰かが助けてくれようとします。
さらに、見え張りなんです。 自分の中に芯を持っているんです。
ダンサーへの夢を持ち続けているからこそ、終盤で彼女にある稀有な才能が開花します。
計画性もないのです。 フットワーク軽いんです。
彼女の中にも、彼女の前にも「壁」がありません。突き抜けて走りぬくシーンからも感じる通り、彼女は「自由」です。
空気もあまり読めないんです。 鈍感力が強いんです。
だから、彼女はいったん落ち込んでも、すぐに乗り越えます。

つまり。

フランシスは、1人でいつまでも大学生気分なんです。 短絡的に落ち着いたりしない、本当は一番強くて、最後には笑っているタイプの人なんです。

フランシスハ3


それにしても、アメリカではルームシェアって普通なんですね。
それも男女いっさい問わずに一つ屋根の下に暮らしている風景は、まさに「大学生」のよう。
正直、楽しげで羨ましく思うのでした。
ドロドロした色恋沙汰がないから爽やかです。

フランシスハ


さて。

フランシスはどじでノロマな亀なもので、ホントにいろいろとうまくいきません。
友達はみんなうまくいっているように見えます。
けれど前述した通り、たとえ亀の歩みでも、彼女はゴールを目指して迷わず進むだけの強さを持っているのです。

ダンサーとしての才能はなくても、彼女には「振付」の才能がありました。
それに気付く事が出来て、ようやく彼女に光が射すのでした。
ところで。
ちょっと話は違うかもしれませんが、有名な「うさぎと亀」の物語には続きがありまして…。
亀にまんまと負けてしまったうさぎは、二度目のレースを亀に挑みます。
二度目は油断を一切することなく全力を出し切り、当然亀に圧勝します。
亀は悔しくて悔しくて。「やはりボクはノロマなのだな…」と落ち込みます。
けれど。
亀はうさぎに三度目のレースを挑みます。
なんと今度は、水泳対決です。
うさぎは泳げませんでした。亀は三度目は見事に勝利するのです。
そこで亀ははたと気付きました。
「そうだ、自分の得意とするもので勝負をすれば、うさぎにも勝てるんだ」と。

不得意な分野にこだわっていつまでも悩まず、とっとと得意な分野に土俵を変えて勝負しようよってお話です。

フランシスは、まさにそのお話の通り。
彼女には、彼女に合った勝利舞台があるのでした。

フランシスハ4


もちろん、終盤でとんとん拍子にうまくいく様子は、いささか出来過ぎの気がしないでもないです。そこはやっぱりアメリカ映画かな。急に足を組んで座っているフランシスのまー偉そうなこと。後ろからハタきたくなるほど、自信に溢れているのでした。

けど。

ラストで「ハ」の謎が解かれた時は、実に爽快です。
そうそう。フランシスは、いつまでもドジでノロマで良いのです。

チャンチャン、と音が鳴りそうなホントに素敵なオチでした。

「アナ雪」の時は批判的に思っていたけれど、ありのままでいいじゃんかってこともあるんだなーと優しい目線で見られるのも、フランシスの魅力なのだと思います。


  

記事を読んで頂きありがとうございました。
↓よかったらランキングにご協力ください。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 

 <スポンサードリンク>

人間ドラマの関連記事

 <スポンサードリンク>

Posted on 2015/07/15 Wed. 13:22 [edit]

TB: 0    CM: 0

15

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://eigamove.blog.fc2.com/tb.php/259-abaff0fe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list