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ブルー・リベンジ 世の中、裏目ばっかりよ。 


 ブルーリベンジ_SS400_
 ブルー・リベンジ
 (2013年 アメリカ映画)  80/100点


カンヌ映画祭で喝采を浴びたというバイオレンス映画です。
ずっと鳴かず飛ばずが続いていたジェレミー・ソルニエ監督の崖っぷちの覚悟が、傑作を生みだしたと話題になりました。

何より驚いたのは、髪もアゴヒゲも伸ばし放題だった主人公・ドワイトが、中盤から身ぎれいにして出てきた時のこと。

ブルーリベンジ
荘厳な作曲が出来そうな雰囲気ですが。

ブルーリベンジ2
は・・・だれ…?
作曲をゴーストライターに依頼しそうな、ただの中年男に変貌。

「中年男、ロンゲにしてヒゲをたくわえると、誰でもそこそこイケてるアーティストに見える説」を、ぜひ『水曜日のダウンタウン』で検証してほしい今日この頃なのでした。

さて。あらすじは、「両親を殺されたホームレスの男・ドワイトが、復讐に立ち上がったら、復讐の連鎖を生んでしまった」という物語。


<結末には触れません。>


主人公・ドワイトは基本ヘタレな中年です。両親が殺されたショックからなのか、親族からも離れ、無気力なホームレス生活をしています。
しかし、両親を殺した犯人が、司法取引によって短縮された刑期を終えて出所します。その情報を聞くや否や、ドワイトは復讐を決意するのです。
生きる糧を見つけたかのように立ち上がるドワイト。
いまこそ、募る恨みを晴らす時。
天の裁きは待ってはおれぬ。この世の正義もあてにはならぬ。闇に裁いて仕置きする!
…しかし、本作全編を通し、我々はドジっ子ドワイトの「やることなすこと裏目だらけ」を目撃して行くことになります。
・敵の車のタイヤを傷つけようとして手を負傷。
・自分がパンクさせた車で逃走。
・復讐したせいで、自分の身内に甚大な迷惑。
・謝罪のつもりの記者会見でさらに印象が悪化。

などなど。
物語では、さらにこの程度で済まない数々の裏目を見るのです。

リベンジ


ブルーを散りばめた画面から独特の静寂な雰囲気が漂ってきますが、序盤で彼が果たす復讐からして、バイオレンスの描写は容赦ありません。「この復讐の重み」を表すかのように残虐です。踏み越えてはならない一線の先には、後戻りできない地獄が待ち受けているのでした。そもそも相手は、ギャングのような集団です。少し考えれば、復讐を果たした後に続く出来事を想像できたのではないかと思うのです。ドワイトの浅はかさが、彼の人生にさらに暗い影を落とすのです。

ドワイトの姉は、復讐を果たしたドワイトの話を聞いた時、当初は「苦しませたでしょうね」と賛同気味でした。しかし、自分の子に危険が及ぶかもしれないと知るや、我を忘れてドワイトをひっぱたきます。よかれと思ってしたことなのに…。たくさん御馳走したら喜んでたくせに、翌日に「太った! 食べさせたせいだ!」とキレられたりする、よくあるやつですよね、これ。

身内を無残に始末されたのに、その家族が警察に通報しないのはなぜだろう…ということから推測された事態の恐ろしさに、ドワイトと姉同様、息を呑みます。やはり、ドワイトが仕掛けた相手は尋常ならざる奴らだったのです。この瞬間から、物語はただのバイオレンス映画から、上質なサスペンス・スリラーとしての本領を発揮していくのです。

リベンジ3


ドワイトは後始末を強いられます。涙目です。一人姉の家に立てこもり、素人ながら敵の襲来を待つのでした。
待ち伏せも有利に働いて、窮鼠猫を噛むのごとく、決死の闘いは、いったんはドワイトに軍配が上がるという奇跡をもたらしました。
彼は、人の為に頑張れるタイプの人間です。両親の恨みを晴らすため。姉の家族の身の安全のため。マンガだと、それは万倍のパワーを引き出す美しい感情だとされますが、現実にそういう人間は、実は自分のことを諦めているタイプだったりします。ドワイトもしかり。彼は、自分のこととなると、あまり頑張れる気持ちが出ません。彼は自分に嫌気が差しているのだと思います。彼にはどうも破滅願望があるように思うのです。本作の原題「blue ruin(青い破滅)」が示す通り、彼は陰鬱な気持ちを抱えながら、一歩一歩死に向かっていくのでした。
本作で彼の過去は語られませんが、何をやってもうまくいかない人生だったのだと思います。姉から、「あなたはバカじゃない。弱いだけ」と指摘されますが、弱さを抱えるに至った経験値があると思うのです。
張り切れば張り切るほど、カラ回るってやつ。
早く想いを伝えたくて、速達でラブレターを出したら気持ち悪がられたり…喧嘩の仲裁にかって出たら、自分が一番の悪者になっていたり…就職の集団面接で目立とうとしたら、しどろもどろになったり…家族を旅行に連れて行こう! と計画するたびに雨…新しい企画を立ち上げるぞー! と意気込んだ瞬間、大クレームが発生してそれどころでなくなったり…

もう…いいや…頑張るのやめよう…。

となってしまう人生ってあるのですよ。
ドワイト君がまさに、それだったのではないかと思うのです。そんな彼が、今回これまでの人生で初めてくらいに躍起になったのは、あまりの裏目の連続に、いい加減もうやけくそになったのかもしれません。裏返しに着てしまったセーターを、いいんだ、これリバーシブルなんだから! と言い張っているような痛々しさを感じます。(?)

リベンジ2


そんなこんなで。

本来腰抜けであるはずの主人公・ドワイトは、急にランボーチックに頑張りだすのであります。
途中、射撃マニアの旧友の協力で銃を手に入れたドワイトは、案の定たび重なる裏目の数々を乗り越えて、ついに決戦の場に足を踏み入れます。まったくもって頼りなく、薄氷の上を歩くのを見ているようでハラハラします。しかし、意外にも彼は、「待ち伏せ」に関してはなかなかの才能を発揮するのです。血で血を洗う抗争を終結させるべく、ドワイトは一世一代の大勝負に出るのでした。

といってもこの復讐劇って、そもそもドワイトが「(反転で)無実の人を殺したことが発端」なんだけどね!
根本がすでに裏目だから、この物語って、実は序盤で終結しているようなものなのです!
だから言ったでしょう。
最初から、自分で作曲するべきだったんです!(それはS村G内さん)

監督が本作で描きたかったことは、復讐のむなしさではないでしょうか。ドワイトも敵側の家族も、そのために多大な犠牲を払いました。それで得たものといえば、ハナから「復讐」などしなければ、本来侵されてはいなかったものです。「恨み」や「憎しみ」は、人を決して幸せにしません。なぜなら、それは「過去の因縁」へのこだわりだからです。そんな立ち止まったものの考え方は、未来への自分の成長(発展)を阻みます。本作の唯一の希望は、この連鎖を止めるであろう新しい血(子孫)の存在です。新しい時代を生きる者は、過去にこだわらず前進していけば、新しく発展した世界が広がっていくのです。

え…?

いやいや…違います違います。
これ、新垣さんのことを言ってるんじゃありませんよ。


  

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Posted on 2015/08/30 Sun. 20:03 [edit]

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