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キングスマン 映画史に残る花火が、炸裂した。 


 キングスマン (2)
 キングスマン
 (2015年 イギリス映画)  85/100点


『キックアス』でハイセンスなバイオレンス描写を知らしめたマシュー・ヴォーン監督の最新作です。
本作では、さらにそのセンスを過剰にアップグレードしていてノリノリです。
つい昨今、映画マニアを唸らせまくった『マッドマックス 怒りのデスロード』にも匹敵するほどの新時代の痛快アクション!!!
このノリが好きな人には最高でしょう! けれど真面目に映画を見たい人にとっては、眉を寄せること間違いなしの問題作でもあるのでした。

さて。

映画の基本ベースにあるのは、昔の『007』のパロディです。
あらすじは、「荒唐無稽な悪行を目論む組織に、スーツを着込んだ敏腕のスパイたちが、小粋なアイテムを駆使してスピーディーに立ち向かいます」ってお話。今回は、ネタバレしないように頑張ります。

キングスマン3


本作の見所は、なんといってもコリン・ファース演じるスパイ・ハリーのきびきびした紳士っぷりでしょう。
その紳士っぷりを思い付く限りご紹介。

・紳士たる者、身だしなみはスーツできめる!            
ハリーは、スーツにネクタイ姿がバリっと音を立てそうなほど似合っています。おまけに、きゅきゅっと音を立てそうなほど眼鏡姿がクールです。さらに携帯品には上質そうなものばかりを使用します。その紳士アイテムには、さまざまな仕掛けが施されているのです。ライター型手りゅう弾、刃を仕込んだ紳士靴などなど。中でも傘が効いてます。防弾仕様ながら、頭頂部から弾丸がさく裂し敵を吹き飛ばします。紳士が使う傘は、コンビニの透明傘とはワケが違うのです。こうなったら紳士のたしなみであるハンケチーフにも仕掛けを施してほしかったなあ、例えばその…クロロフォルム入りとか?(犯罪者っぽい)

キングスマン2


・紳士たる者、常にクールであらねばならぬ。            
ハリーはいたってクールです。彼の周りには、いつも清々しい風が舞っているようです。スパイですから、もちろん相当な戦闘能力を持っていますが、紳士ですから簡単に取り乱し、暴力をふるったりはしないのです。冒頭、予告編でもおなじみのパブでの乱闘シーンは、冷静に帰宅しようと背を向けたハリーに、悪漢たちが「少年買うならよそでしな」という、なかなかハマってそうなとんでもない暴言を吐きつけたために始まってしまうのでした。紳士だって、こんな時にはカチンとくるのです。しかし、その戦闘術は実にクール。何歩も先を読んでいるようにテキパキと動きます。きゅっと引き締まった口元とともに、常に背筋が伸びているアクションは見ていて大層気持ちがいいのでした。
途中で容疑者を尋問する場面では、耳を引っ張り上げるという、サザエさんがカツオをとっちめる時のようなシャレっ気の利いた技で相手を痛めつけます。仲間の死を知ったばかりですので、さすがにクールではいられないハリーなのでした。




・紳士たる者、差別を許さない。            
恐ろしくハイセンスな悪趣味が全開するのは、終盤に入る手前の教会での大乱闘シーン。しかし、ここでコテンパンにされるのは一般市民ながら、差別を良しとする原理主義者たち。タランティーノが時折やる手法です。悪い奴らに何したって文句言えないという免罪符を片手に、とんでもないシーンが展開します。その時のアップテンポなBGM選曲が、さすがの一言。悪ふざけここに極まる。しかし、観ているうちに何故だか笑いが込み上げる名シーンなのでした。
ちょっと残念に思ったのは、ここでのハリーの痛快な行動は、ハリーの意思に反していたという設定。そんな言い訳はいいから、「やっちゃいたかったから、やっちゃった」という『キックアス』ばりの快感原則にのっとった理由で良かったような気もします。ま…一応、正義の味方だから無理か…。

キングスマン6


さて。

本作には、もう一つの大事なお話の軸があります。
それは、新人スパイ養成の物語です。
強烈な敵にやられてしまったスパイの代替要員として、新たなキングスマンを育成せねばならず、各方面から有能な候補生が集められるのです。
その中の一人が本作の主人公・エグジー。彼は、かつてハリーの命を救ったエージェントの息子でした。
ハリーは、上流階級の出でも、一流大学の出でもない彼を、キングスマン候補生に仕立てます。
本作には、「人間の能力には、生まれも育ちも関係ない」というイギリスの特権階級思想への皮肉が込められているのでした。

とはいっても、死んでまうがなーな危険な訓練が候補生に降りかかります。
抜き打ちで、寝ている時にあんなことされたら、二度と寝られません。
それにも関わらず、翌日には平然とグースカ寝ていられるスーパー肝っ玉な候補生たちは、それだけでもう、全員合格でいいのではとさえ思います。めちゃめちゃ稀有な奴らだと思うのですよね。それに比べたら、エグジーに難題としてのしかかる最終関門なんか、どうでもいいくらいだと思うのですが。

キングスマン10


「普通のように見える一般人がエージェントの訓練を受ける」という物語は、ハリーがエグジーに「『ニキータ』を観たことあるか?」と問うように、いろいろな映画にあります。私は『ウォンテッド』なんかも思い起こしました。がしかし、実は、本作の訓練シーンは『ニキータ』の素晴らしさに比べると、あまり説得力がありません。何でこの訓練で急にあそこまでエグジーが強くなるのか、よく分かりませんでした。訓練後に、いきなし終盤での本番ですからね…。この点、本作はいろいろな要素を詰め込み過ぎていて、時間不足があったように思います(犬育ててる場合じゃないと思う。)。

おまけにいつ覚えたのか、紳士たる者のたしなみ、「マティーニの注文の仕方」をサラリと披露する始末。
おまけにいつ覚えたのか、紳士たる者のたしなみ、「きらりと音が鳴りそうなウィンク」までクールに見せます。
おまけにいつ覚えたのか、紳士たる者のたしなみ、「一国の王女といい仲になる」というジェームス・ボンド真っ青の手の早さまで習得しているのです。

エグジーがあまりにもぶっちぎりで有能なキングスマンなもんだから、同じく難関を突破したもう一人の候補生の存在感がちょっと薄くて可哀想…。

キングスマン7


さてさて。

本作では、まだまだこれから、抱腹絶倒にして悪趣味全開の最高のシーンが終盤に訪れます。
敵に囲まれ、万事休すのエグジーにひらめいたある秘策。
ビックリした! 
こんなに手を叩いて喜んでしまいそうな、名曲「威風堂々」の使い方って…今までにある!?
言葉では表現しきれないほど、素晴らしく。ばかばかしく。愛らしく。ちょっと気持ち悪くもあるけど、これほど凄まじい印象を叩きつけるこの「花火シーン」は、きっと映画史に残ると言っても過言でないでしょう!
しかし、こんなにも脳裏に焼き付けられると、今後「威風堂々」の曲はCMとか使いづらいだろうなあ。特に食品では。

敵ボス・ヴァレンタインは、大富豪にしてマクドナルドが大好きだったり、とんでもない陰謀を企む割には暴力が苦手だったりします。そんなヘンテコなキャラを、サミュエル・L・ジャクソンが、望むところのように熱演。その部下で、両義足に鋭利な刃ものを仕込んだ女・ガゼルの、俊敏でキレッキレな攻撃スタイルも、ほんと目を見張ります。

あー、それと、何気に『裏切りのサーカス』で深い仲にあった、ビル(コリン・ファース)とジム(マーク・ストロング)のキャスティングが憎いですね。

キングスマン8


様々な見どころが詰まりに詰まった(前述のように詰めすぎたかな?)、超ド級のエンターテイメントの怪作。

…それにしても。
ラストのエグジーを見て思いましたけど。
ハリーの意思を継ぐ気なんて、まるでないですよね…? 結局のところ、紳士設定って一体どこへ…?


    

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Posted on 2015/09/25 Fri. 22:39 [edit]

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