素人目線の映画感想ブログ

素人による、素人のための映画感想・レビュー。 映画文法や方程式なんのその。

※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

GONIN /暴力団組事務所襲撃戦隊・ゴニンジャー! 


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 GONIN
 (1995年 日本映画)  
 79/100点



*『サーガ』観ました。感想はこちら。


『サーガ』ではありません。シリーズ第1弾の旧作です。

映画館での『サーガ』の予告編で流れたメインテーマを耳にし、20年前に観た本作の記憶がめくるめく蘇ったのです。

公開当時は、とりわけ「傑作だ!」という程の感想はなかったのですが、不思議なくらい数々のシーンが記憶に残っているので、強烈な映画だったのは間違いありません。

当時でも話題になった豪華キャストや、タランティーノがブームだった時代ゆえに、バイオレンス描写の激しい群像劇としても注目されていました

映像もかなり凝っていたし、前述のようにメインテーマが重厚で禍々しく、今なお耳にこびり付いていたのです。



そのテーマ曲の通り、物語も実に暗欝としていて、怖いものです。

『アウトレイジ』も同じようなヤクザ世界の暴力映画ですが、どちらかというとカラっとした雰囲気でした。

本作は…、怨念というか、人間の腹わたの奥のどろりとした情念の部分が滲みでていて、人によっては、観た心地が悪いかもしれません。

目を覆わうばかりの残酷描写はありませんが、それこそ「全員悪人」なので、救いのない展開となっております。

当時はいいなあと思っていた映画のポスターですけど、今見ると、まるで無数の無縁仏の魂が浮遊しているようで気味が悪い…。

あらすじは、「生活に苦しい男たち5人が結集し、暴力団の金を強奪。しかし、暴力団が放った凶悪なヒットマンが、彼らを一人また一人と消し去ってゆく…」という物語。


<完全ネタバレです。>


さて、本作の肝はなんといっても、豪華キャストに彩られた個性的過ぎる登場人物です。
それによってお祭り映画的要素があるため、暗い映画の中にも華々しさがあり、幾分気持ちが楽になります。

さあ。
まずは主要な「ゴニンジャー」の面々をご紹介。


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・万代樹木彦 (佐藤浩市) つまり、リーダー・レッド! 武器:不可解な人望

ディスコのオーナーで金持ちに見えるのですが、大借金を抱え、暴力団の激しい取り立てにあっています。
当時30代の佐藤浩市ですけど、今とほとんど変わらない怒涛の貫禄。

とはいえ、本作で演じる万代は、ちょっと自分に酔っている感じの青二才です。今回の暴力団組事務所襲撃作戦の首謀者ですけど、仲間集めのための説得が、いちいち芝居臭いのが気になります。
案の定、彼はやることなすこと痛い目ばかり。

序盤、彼のディスコに嫌がらせしているヤクザたちは、まるで餌に群がるドブネズミのように不快です。
正直、彼がやりたかったことって、『金欲しさ』というよりも、本来の高いプライドをズタズタにしやがったヤクザどもに、ひと泡吹かせたかっただけなのかもしれません。


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・三屋純一 (本木雅弘) つまり、ピンク! 武器:ツンデレ

喧嘩っぱやく、すぐに刃物を取り出す危険な美青年ですが、相手に銃を突きつけられると凍りついちゃうのがかわいいところ。
金のためにゲイのフリをしていると言いつつ、挑発的なストリップをしてみたり、万代に惹かれていったり、ほぼゲイのツンデレなのです。

演じるモックンもまた、風貌が今とさほど変わらないです。
けれど、今や昭和天皇を演じるほどの大ベテラン。時の流れを感じるなあ。


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・氷頭要 (根津甚八) ニヒルなブルー! 武器:「紅い花」の爆発力

元刑事でしたが、暴力団のチクリによって汚職がバレてクビになり、キャバレーの用心棒になり果てた男。

根津甚八が実に渋く、画面が引き締まります。映画上でも物語上でも、本作で最も頼りになる男です。根津甚八は病気療養の為に役者を引退しているそうですが、本作の続編『サーガ』には、1回きりの復活をしています。

家族想いですが、その家族を巻き込んでしまう大失態を招き、血で血を洗う復讐劇に身を投じるのです。
最後の襲撃前に覚せい剤を打とうとしますが、家族の写真を見て思いとどまる姿が、のっぴきならない哀愁です。


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・荻原昌平 (竹中直人) はしゃぐイエロー! 武器:バット(ただし攻撃力2)

リストラされたサラリーマンです。
めちゃくちゃなキャラクターです。しかも、ムードメーカーにもならないお調子者。無駄に威勢がいいですけど、ヤクザにバットで殴りつけても、「いってー」くらいしかダメージにならない非力さが笑えます。

万代が、なぜ彼を仲間にしようとしたのかが不思議です。どーみてもトラブルメーカーです。彼が組事務所からパスポートを盗み出し、ジミーの恋人に渡したせいで、ジミーがヤクザたちから拷問を受けることになるのです。

彼は最初から狂っていて、家族を惨殺していたというオチがとてつもなく衝撃です。
その犠牲者が栗山千明だったと知って、なお衝撃です。
遺体となった奥さんと一緒にお風呂に入る場面や、幻聴のごときハエの羽音に、背筋が凍りました。


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・ジミー(椎名桔平) 理由ないけど残りのグリーン! 武器:あくまで素手

『アウトレイジ』でクールな椎名桔平ですが、本作では元・ボクサーでパンチドランカーを演じています。
ほぼ壊れかけのレディオくらい風貌がヤバイです。
事前情報がないと、まさか椎名桔平とは気付けません。

好きなタイ人の娼婦を殺され、その女の衣装を身に付けて復讐に乗り込むくだりに息を呑みます。


ということで、「悪いことしたら悪い事が起きるのだ」、という当たり前の教訓を、ガツンと食らわされるゴニンジャーの面々なのでありました。

続いては、敵側、黒十字軍暴力団のみなさん。


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・京谷一郎 ( ビートたけし)

暴力団が雇ったヒットマンですが…、このキャラクターはすごい。この頃のビートたけしの存在感は異常です。

映画史上、これほど強烈な印象を残すヒットマンはあまり類を見ません。このキャラクター主演の映画が観たいくらいです。
本作の面白みのほとんどは、たけし演じるこの怪物のようなヒットマンが、次々と上記五人に襲いかかる所に集約されているのです。

大声を張り上げるとちょっと抜けた感じになっちゃいますけど、ぼそぼそと放つセリフ回しがむちゃくちゃ魅力的です。
恫喝でもなく、無感情でもない…得体のしれない凄味に釘付けになりました。

「保険利かねえからよ、オレらみたいな商売。(報酬)プラスしてくんないとな…、ダメだよ…」

ただ、惜しむらくはゲイ設定がいるかなあ…。最終的には、万代と三屋の関係性との対比があるのでしょうけど、相棒の一馬にサディスティックな愛情を発散する場面はちょっとキツい。
確かに、一馬の死に狼狽する姿が面白いのですが、個人的には、終始淡々としていた方が良かったと思います。

・柴田一馬 (木村一八)

京谷の相棒で単独行動が皆無のため、若干たけしの存在感に霞んでしまったような気が…。そういえばいたなあ…くらいで終わってしまい、あまりカッコイイ見せ場がないのが残念です。
もちろん、物語上は、京谷に最終決戦を決意させる重要な存在ではありますが。

・久松茂 (鶴見辰吾)

泥臭いヤクザが多い中、彼は異質なほどクールな雰囲気を醸します。
冒頭のディスコでのシーンでは、銃を振りかざす組員の手首を掴みあげる場面がカッコイイ。けど、それで逸れた弾が女性客に当たってしまったので、事実上失敗です。

彼が、組長にボコボコ殴られっぱなしだったのがもったいないです。もうちっと、キレ者キャラとして見たかったな―と。
その先も特に見せ場なく、最期もパッとしませんでした。


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・大越康正 (永島敏行)

組長です。最初に出てきた時は、眼鏡かけて新聞読んでる姿が普通のオッサンで面白かったんですけど、万代に対する態度は、やはり他の組員たちと同様に乱暴なだけ。
『アウトレイジ』の山王会の組長は、狡猾な八方美人で面白かったもので、大越組長も何か変わったキャラクターであってほしかったかなーと思います。

彼が慕う会長も、絵に描いたようなドヤクザでしたので、本作はヤクザの人たちが記号的で、とにかく「怖くて粗暴な人たち」でありました。

ただ、大越組長が体中に防弾チョッキを着込んでいたのが、本来の臆病さが表れていてクスッとなります。
また、終盤で狂気をまとう彼が、心酔する会長に信用されないという哀しみを吐露しながら朽ち果てる姿が、おぞましくもあり…、哀しくもあるのです。

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組事務所襲撃の際の緊張感は半端ないです。
おいおい、本当にやるのかよと不安でいっぱいでした。
なにせ、作戦は行き当たりばったりな上に、どう見てもヘマをしでかしそうなキレンジャーの存在が。

「銃が怖くて極道できるかっ!」と平然と居直るヤクザがいたり、脱出間近に援軍がやってきたり、息もつかせぬとは、まさにこのこと。

殺し屋仮面・京谷がゴニンジャー達に迫ってくる場面では、ホラーのような演出もあってハラハラします。
ゆえに中盤以降は、スプラッタームービーのような様相さえあるのです。

特に。

氷頭がレストランで家族と食事をしていると、にぎやかだった店内から急に客が一人もいなくなるという描写が印象的です。
現実にはあり得ない現象で、まさにホラー映画のようです。
つまり氷頭の心理描写なのだと思います。
決して手を出してはいけない過ちに手をつけた氷頭は、元・刑事の経験値から、必ず復讐される恐怖におびえていたのだと思います。
そして、まさにその時、彼は魔の手の接近をひしひしと感じたのです。

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最後の襲撃前に流れるちあきなおみの「紅い花」は、それ単体で聞けば凄く好きな曲ですけど、それまでのノワールな描写がなりを潜め、急に歌謡曲のセンチメンタルが始まるので、戸惑いました。
名場面と評価する人もいるので、これは個人的な感想です。(とはいえ、『いつかギラギラする日』みたいに、ロックが流れるより全然いいです)

しかし、ねっとりした空気感と、キレ味鋭いバイオレンス描写とのバランスが気になるのは確かなのです。

また、説明的なセリフも所々で違和感があったなあ…。一馬が京谷の経歴を話し出すところや、組事務所襲撃場面での万代の「被害者」のフリが寒い時もあったり。

あと…、横山めぐみのタイ人設定がちょっと…。

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それと、公開当時、ラストシーンに不満があった記憶があります。

みんな死んでおしまい、は何だか捻りがないように思えたのです。

高速バスの車内という日常空間での銃撃は、「怖い」演出に思うのですが、相討ちは予想通りで今一つ。
互いにカタキを討ったことで物語は見事に完結したのでしょうが、タランティーノがかつて言っていたように、「映画には驚きが必要だ」

そんなこんなで、私には、傑作になりきれていないような気もする本作ですが。

前述のように、ほぼすべてのシーンが何故か頭に残っています。特に短い上映時間でもないのに。
それはやはり、クオリティの高い画作りと、そこからほとばしる役者陣の個性的な熱量が、強烈に頭にこびりついたからなのでしょう。

今回改めて鑑賞し、続編である『サーガ』を観てみたいと思いました。

今度は、いったいどんな個性的な5人組が、「五人揃って、ゴニンジャー!」と言っているのかが、大層気になるのでした(言ってない)。



でも、やっぱり染み入る曲だなあ…。


  

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Posted on 2015/09/30 Wed. 23:26 [edit]

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