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GONINサーガ 復習必須の復讐劇。 


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 GONINサーガ
 (2015年 日本映画)  79/100点 前作を見たことあるなら80点 前作が好きなら90点


前作『GONIN』の感想はこちら。


それほど期待してなかったんですけれど。
本作の予告編で聞こえてきたメインテーマが前作の記憶を呼び覚まし、つい最近、前作『GONIN』を再鑑賞してバッチリ復習していたこともあって…。

19年前の前作が好きだった人は必見、の出来栄えでした!
ただし、前作を知らない人だったら、恐らくちんぷんかんぷん!

うっすらとしか前作を覚えていない人は、是非前作を見直してから、本作を鑑賞することをおススメします。そうすれば、まるで19年前から構想してたんじゃないかってくらいのリンクっぷりに驚かされること間違いなしです。
まさに本作は、『GONIN』ファンのために、これでもかとサービス精神をたぎらせた野心作なのです。
正直、前作を好きだった人がどれくらいいるのか、いまだ記憶に残している人がどれほどなのか知りませんが、マーケティングを無視しているようなこの制作姿勢には、心配になりつつも、実に頭が下がる思いなのです。

ここ最近、80年代のキョンシー映画の火付け役、『霊幻道士』のオマージュをふんだんに使った『キョンシー/リゴル・モルティス』や、藤田まことなき後、東山紀之主演で継続中の『必殺仕事人』、つい先日に始まった『カリオストロの城』を思い起こさせる『ルパン三世 新シリーズ』と、懐古主義泣かせの企画が次々に実現し、しかも思いがけずハイクオリティで、本当に嬉しい限りです。

サーガ


さて。

本作が素晴らしいのは、物語の登場人物の設定です。普通に考えると、前作で主人公だった五人のメンバーの子供たちを主人公に据えるように思うのですが、なんと、前作で敵側だった大越組の組長と若頭の息子たちが主人公という、なんとも見事な捻り具合。おまけに、前作でビートたけし演じるヒットマンが乱心してパトカーに発砲したことが、今回の混迷を深める事態の要因になっているなんて、すごい発想力ではないですか。そこから、広げるのかいっていう!

このことから分かる通り、本作は物語の展開が複雑です。
前作は物語自体が単純明快で、映像のセンスと、豪華な役者陣の個性的なパワーだけで魅せていました。私には、それが当たり前の展開ばっかりのように思えて、実は気に入っていない部分でもありました。しかし、本作は予想通りにならないことがあるので、おっと喰いつきました。どうなるんだろう…と思わせるのです。
しかも、前作になかった「サプライズな秘密」まで用意されているとは!
終盤に明かされるその秘密には、思わず身震いするほど。おまけにそこから発展して、あの人が現れての「…氷頭さん」の一言でボルテージはうなぎ昇り。なんという際限ない前作ファンへのおもてなし精神! これは東京オリンピックに勉強してほしいくらいだ!(なんのこっちゃ)
いや、まさに、前作を観ていない人にはなんのこっちゃで、「あんた誰?」とポカンとすることうけあいです。けど、絶妙なツボの抑え方が感動的なんです!

サーガ3


今回の役者陣は、前作に比べると「地味」と言われているようですが、何の何の。芝居の熱量は全然負けていなくて嬉しかったくらいです。
・主演の東出昌大(大越組長の息子)は、他の作品の印象から、あまり芝居が上手でないのでは…と心配していましたけど、そんなことはありませんでした。
・桐谷健太(大越組若頭の息子)は安定感が出てきました。ダークサイド「ウラちゃん」でした。
・柄本佑(19年前の事件で巻き添えで死んだ警官の息子)の冷淡なようで、実は一番怨念が強く、執念深いキャラクターも面白いです。
・土屋アンナは圧巻の貫録。
・井上晴美の巧さは特に印象的でした。だだ…東出昌大のお母さんにしては若すぎ?
・今回のヒットマン演じる竹中直人には意外性がなかったような気がします。常に酸素チューブを付けている設定は不気味ですが、理知的な面のあるキャラクターだからか、もう一歩迫力がなかった。それにしても、前作では五人のメンバーの一人でしたけど、今回は全く別人役とは、大胆なキャスティングです。ハエ苦手設定まであったりと、そこまでリンクさせているのは、逆に面白いかもしれません。
・五誠会2代目会長役のテリー伊藤は、完全に失敗ですよ…ね…? 顔つき自体は怖いけれど、声色が完全に「おはようございまーす」っていう感じで軽い。終盤にカタギの前で優しい声色に変わるのですが、変えている、というよりも芝居が出来ていない、という印象でした。重要なラスボスの一人ですからねえ。ちょっと残念な部分です。ドヤクザな和服が似合っていないのかもしれません。息子同様、インテリヤクザだったらまだ良かったかも?
・3代目を演じた安藤政信は確かな凄味。しかし、19年前の回想シーンと現在の風貌があまり変わらないので、ちょっと混乱しましたけど。ずっと同じ髪形かよって。

さてその回想シーン。オープニングから前作のおさらいが始まります。前作の映像だから、モックンもたけしも出てくるので、懐かしくて胸熱ではありますが、やはり観ていない人には分かりにくいでしょう。シリーズおなじみの斜体文字も読みづらいったらないです。やっぱり本作は、前作を観ていない人には非常に不親切なのです。「知ってる奴だけ見に来てくれや!」っていうのは、マーケティング的にほんとに大丈夫? ついでに言いますと、ナレーションと劇中のセリフが被ったり、雨の音が激しすぎ(そして多過ぎ)だったりで、セリフが耳に入って来ないのが困った。

サーガ2


そして、ツッコミどころも確かに多いです。相変わらず、襲撃場面は作戦立ててるようで、グダグダの行き当たりばったり感が強いし、明晰なヒットマンが推理するまでもなく、すぐに正体バレるだろーっていう安直さもあります。それぞれの登場人物たちの復讐のベクトルが、本当にそっち向いてていいのかなーという説得力の希薄さも感じました。特に、柄本佑演じる警官が、今回の一連の襲撃を首謀する動機が、今一つピンときません。

だって…。

大越組長や若頭が死んだのは、無差別に氷頭の家族を巻き込んで恨みを買った、
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この人の責任だし。


柄本佑演じる警官のお父さんを殺したのは、
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とち狂ったこの人だし。


整備不良の鉄砲や無計画な暗殺で、
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この人がミスを連発しなければ…。


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やっぱり、この人が一番の「悪人」です。


ま、もちろん、彼を雇った五誠会も十分悪いんですが。

しかし、そんなツッコミどころなど気にしなくていいのです。
映像の迫力は申し分ありません。銃声の響きも心臓が跳ねるほど重いです。正直言って、私には予想以上に楽しめました。2時間があっという間でした。昔からバイオレンス・アクションは好きでしたが、最近はハリウッドはもとより、韓国映画の方が質が上のように思っていたもので、今回どっしりと見応えのある邦画に出会えて、本当に良かったと思っています。
そして。
音楽が泣かせます。オープニングと劇中での『紅い花』の使い方もいい。そして、惨劇の終焉直後にかかるメインテーマも、まさに体中に電気が走り抜ける鉄板のタイミングでしたよ。エンディングのスタッフロール中、ずっと鳥肌だったものです。
それから。
やっぱり目を見張りました。根津甚八の復活。本作のポスターでは、まるで安藤政信が5人の内の1人のように軒を連ねていましたが、違います。根津甚八演じる氷頭なんです。彼が五人目で、そして2度目の「五人」なのです。1回限りの復活で、セリフもほとんどありません。しかし、今回起用した監督の想いの強さがしっかりと伝わってくる重厚な演出に感服します。氷頭の最期の執念がスクリーンに弾け、この負のサーガの物語は、完全に息絶えるのでした。

…。

いや。

例えば、あの花嫁に赤ん坊がいて、土屋アンナの赤ん坊とともに(『キルビル』みたいに)生まれた設定にして、20年後にまた復讐劇が出来るんでないかい!?

それと…。「(重要なネタバレなので反転で)監督のこだわりなのかもしれませんが、やっぱり双方全滅で終わるってのは…。今回はおとーちゃんが加勢に来たことだし、娘のアンナだけは生き残っても良かった気がするのです。」甘いのかもしれませんが。

ということで。

それにしても、20年って歳月は、長いようで短いようで…やっぱり長いなあ…とかなんとか、時の流れにしみじみとした映画館からの帰路だったのでありました。

賛否あるみたいですけれど、前作が好きな方には必見だと思います。


前作『GONIN』の感想はこちら。


サーガ4


   

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Posted on 2015/10/05 Mon. 13:38 [edit]

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