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ヴィジット ミえる…シャマラン監督のドヤ顔が。 


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 ヴィジット
 (2015年 アメリカ映画)  89/100点


『シックスセンス』以降、どうしても鳴かず飛ばずで失速を続けていたシャマラン監督が、ついにホラーに回帰して傑作を作り上げたと評判の本作を、結構期待して観に行ってきました。

私はかなり好きです。

おぞましかったです。恐ろしかったです。加えて、シャマラン節といいましょうか、家族の物語や登場人物が面白く、終盤の演出がニクイほど巧かった。

しかし、いろいろ冷静に見ると、本作は笑えます。
おまけに、高齢化社会の問題についても学べる…かもしれません。これ見ていると、痴呆老人の日本映画『花いちもんめ』をちょっと思い出しましたもので。

あらすじは、「15年前に母親が家出をして以来、交流していなかった実家に、娘と息子が遊びに行く。そこで迎えてくれた優しいおじいちゃんとおばあちゃんが、徐々に奇行を見せ始める。この家に隠された謎とは…?」というお話。

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親元を離れ、普段交流のない田舎の親族の家に泊まりに行くと、馴染みのないさびれた風景やその家のしきたりが合わなかったり、思いがけない親族の悪い所(ケンカとか)を見たりして、心細い気持ちになることがあります。主人公の二人の子供たちに募っていく不安な気持ちが、とてもリアルに描かれていました(一部のぞく)。

このね、エスカレートしていくジジババの奇行がむちゃくちゃ怖いのですよ。
ウソでしょ…ってくらい、突拍子もないのです。おばあちゃんなんか、夜中になると裸で走り回っているのだから。おじいちゃんも徐々に負けじと狂気を炸裂させていきます。その錯乱ぶりは、『龍三と七人の子分たち』に匹敵。

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いい勝負しそう。


この映画を、POV方式(劇中の映像は全て、登場人物の持つビデオカメラが撮影したものだとする手法)にしたのは正解だと思います。本作で描かれる恐怖描写は、現実感を強く感じないと、コントになってしまうからです。
例えば、深夜に、子ども部屋のドアの向こうで妙な物音がするので、少年がドアを開けると、目の前で裸のおばあちゃんが猫のように壁をガリガリひっ掻いているのです。すぐさまパタン…とドアを閉める少年。…この流れってコントみたいです。目を丸くする少年に向かって姉が、「寝言みたいなものよ。あんたも昔よくあったわ」と無理やり納得させるのも、喜劇ギリギリです。おばあちゃんが会話中に突然怒り出すのも、ダウンタウンのコント「キャシー塚本(料理中に意味なくキレ出す話)」そのものです。でも…これらがリアルな出来事だと思えれば、かなり怖い(おっかなビックリな)現象であることは間違いありません。その他の、一見して地味な奇怪さも、この撮影方式だからこそ恐怖が増幅されるのだと思います。

無論、POV方式の弊害もあります。散々言われていることですが、「窮地に、なぜ登場人物はビデオカメラを手放さないのか」という問題です。この頃は、『REC』や『クロニクル』などでは、この問題をクリアする秀逸なアイディアを示していましたが、本作はとくに何も手を打っていません。ゆえに、終盤で「それはない」という状況が見られました。この方式の映画は、その瞬間に冷めてしまいかねないので、惜しい部分です。

それと、「わっ!」という突発的な脅かし方が多過ぎなのも、気になりました。じめっ…じわっ…とした怖さが好きなもので。

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本作で面白いのは、主人公二人のキャラクターです。まだ幼い二人ですが…
姉は映画監督を目指しています。それで、今回の帰郷をずっと撮影し続けているという設定。おまけに、ジジババにも積極的にインタビューをしたりします。母親の為だったとはいえ、一度キレられた質問さえ再度繰り返すド根性を見せ、こちらを緊張させます。映画監督より、ジャーナリストに向いているかもしれません。
弟は、変なラッパーです。女性軽視の歌を(意味もわからず)口ずさみます。ド生意気です。ジジババを欺くために、「子どもっぽい遊び方」を見せつけるなど、お灸をすえたくなるような側面を見せます。
ちょっと可愛くない面のある子ども達です。
ただ二人は、過去に父親が行方を消したことに対する心の傷を負っています。それが、シャマラン監督お得意の、家族のドラマを紡いでいきます。終盤、それが見事に結実する場面が感動的なのです。
ただ一つツッコむと、今回のような経験をしたら、普通なら心の傷はもっと悪化すると思うけどね! さらに言うと、とっととこのジジババの館から逃げ出すけどね! 
つまり。
結果、彼らはなんか強い。めげない。頭いい。おまけにこの二人を演じた子役は、芝居がすごい!

この点が、もしかすると、本作の安心材料になっている気がします。映画の内容は結構重いのに、映画が暗くなり過ぎないのです。これは、絶妙なバランス感覚だと私は感じました。

ヴィジット


<ほんの少しだけ、結末に触れます>


これまでシャマラン監督は、作品に「驚愕のオチ」を過剰に期待されてしまう運命を背負ってきました。そのために、無理やりなオチを付ける傾向があり、逆に映画の評価を落としてきたように思います。『サイン』や『ヴィレッジ』など、終盤まで凄く盛り上がって面白いのに、「オチ」でなんじゃこりゃと言われて、ダメ映画のように烙印を押されてしまうのです。

この「期待」からの脱却が、シャマラン監督の大きな課題だったのだと思います。

それで。

本作にも、どんでん返しはあります。
もちろん、ここでは触れません。

そのオチは、とても良かった、と私は思いました。

うん、うん、いいんだよ、それでいいんだよ。そんな感じでこれからも行こうよ。
そう優しい気持ちになったのは、私だけでしょうか。
厭味ではありませんよ。ホントにそう思いました。

それよりも!
「オチ」以降の終盤の演出がものすごく好きです!
こういうPOV方式の映画にあまり見ない素敵な終わり方に、私は拍手したい気持ちが浮かび上がりました。
伏線の回収がうまいんですなー。あの曲!
「低予算映画にシャマランのA級の演出」と聞いていましたけど、本当にその通り! 

終わりよければ、全て良し。

私は、シャマラン堂々の復活であり、そして新生したのだと、本作で確信したものです。絶対に監督は自信を取り戻しているはずだと、私のシックスセンスが告げるのです。I can see- (私にはミえる。シャマランがシャレオツなシャツを着て、ニタニタしてる姿がミえる…)

こんな感じで。
シャマラン



というわけで、オススメです。
今日はこの辺で。


注! ただし、本作には2回程、ドン引き必至の下ネタが出てきます。食事前の鑑賞は絶対にお控えください!


 

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Posted on 2015/10/27 Tue. 21:46 [edit]

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