素人目線の映画感想ブログ

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オデッセイ 火星よ、これが地球の懐メロだ。 


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 オデッセイ
 (2016年 アメリカ映画)  85/100点


昨年末に放送された師匠・立川談志と弟子・立川談春の物語「赤めだか」が、思っていた以上に傑作でした。
そのドラマの良かった点の一つは、サントラでかかる懐メロの素晴らしさです。オープニングでの談志と談春の出会いで流れるスティービーワンダーの「superstition」からして、お見事な選曲のカッコ良さ。その他、ブルーハーツやカーペンターズ、忌野清志郎、玉置浩二などなど。曲が物語とあまり関連はしていないんですけど、かつての名曲の数々が、この青春劇を見事に引き立てていたのです。

で。

実は本作の大きな特徴も、そこにあります。
近未来SFなのに、ウキウキするような懐メロがこれでもかと使用されているのです。洋楽に詳しくない私でも嬉しくなる名曲ばかり。映画の良さはサントラが良ければ5割増しと思ってますから、内容以上にご機嫌な映画鑑賞となったのでありました。後述しますけど、エンディングなんて最高だから! 踊りたくなるくらいの盛り上がり!

そういった所からも想像できますが、どちらかというと本作は、悲壮感の少ない、明るく元気なサバイバル劇だったように思います。

あらすじは、「火星に取り残された植物学者のマーク(マット・デイモン)は、救助が来るまでの4年間を生き延びる為、この不毛の地で食料作りに挑む」という物語。

オデッセイ2


テンポがとても良い映画です。
序盤からあっという間に「マーク、火星に一人ぼっち状態」が出来上がります。いちいち事件発生までに登場人物の性格描写だとか、嵐の前の悪い予兆だとか、余計なことをしないのがいいです。
置き去り後、マークはちょっとだけ思い悩みますが、あっという間に再起するタフさを見せます。まるでディズニー映画のように感情や行動がアップテンポです。
余談ですが、主演のマット・デイモンは随分タフガイが似合う人になったものです。私の印象は今だに、『オーシャンズ11~13』でジョージやブラピにいじられるイメージなもので、意外なのです。『あぶない刑事』の仲村トオル的存在だったはずなのに。

ド文系なので私には理論はよくわかりませんが、一生懸命に智恵を絞ってマークがジャガイモを栽培します。その姿が、巷では「DASH村」とか「黄金伝説」とかを思い起こさせているようです。マークが日々の記録としてビデオ撮りをしているので、なおさらです。「サプラーイズ!」なんて茶目っ気を振りまいて撮影しています。「! 生きてた!」なんてテロップ付きそうです。「マーク、ご満悦~」と電波少年調にナレーション入りそうです。 
そんなマークですが、植物学者の能力をいかんなく発揮します。整然とした畑を作り、水を発生させ、きちっと管理して栽培していく様子は見ていて気持ちがいいです。生き伸びるとは、諦めず、智恵を活かし、行動することなのだと思い知りました。
ただし、ジャガイモのレシピには工夫がありません。火星でクックパッドが検索できないなんて残念です。ケチャップが切れたから鎮静剤まぶして食うぜ、などとアメリカ人の食の粗雑さが出ちゃったりしています。

オデッセイ4


さて。

意外にもすぐに地球と通信できるようになります。ただ、その方法はよく分かりません。内容伝達に使用した16進法も具体的には知りません。しかし、なんやかやと知識を持ったマークやNASAの面々は、結構順調に帰還計画を進めていきます。『アポロ13』を思い出しました。宇宙船ヘルメスの乗組員たちもまた、前向きでとっても爽やかです。イヤな奴がいません。変な思惑の奴もいません。「そんなの無理だよ!」とスネオのようにごねる奴もいません。家族の理解も凄いです。「しょーがねーなー、助けに行ってこいや!」と江戸っ子ばりに粋なのです。みんなマークを助けるミッションに献身的で、知恵を絞り、行動し、途方もない残業さえも受けとめるのです。皆があまりに素敵なもので、所々でピンチが起きても、全く心配することがなかったのは、ある意味マイナス点なのかもしれません。なにしろ、手に汗握らないのです。「すごい奴らだなー」と感心しきりの鑑賞でした。けど、こういう安心できるエンタメも、たまにはいいかもね。監督のリドリー・スコットは、この先『エイリアン』やら『ブレード・ランナー』といった続編で重たいものを描くものだから、今回はさっぱりと作りたかったのかなーと思ったりしました。

それでいて、前述したように懐かしのダンスミュージックが流れるのです。ヘルメスのアネゴ気質な船長(ジェシカ・チャステイン)の趣味です。いいね、クールで有能なのに時代遅れの女設定。これは、マークの火星生活での数少ない娯楽となりますが、「船長! 今世紀の音楽ないんすか!?」と毒づいたりするのがオツです。爆発が起きた時、「残念ながら…船長の音楽ファイルは無事です」とかね。その辺りの軽さが、実に絶妙。おまけに「赤めだか」とは違って、こちらは曲のタイトルや歌詞がうまいことに本作の内容を表しています。「私を置いていかないで」とか、「空で彼は待っている」とか。

マークの救出に出発する場面での「starman」が、反則的ですけどウルッときます。ええ人たちやー。



エンディングに流れる「I will survive」なんて、もー最高です。一体何を観に来たんだっけと忘れそうになるほどギャップがありますが、何とも清々しい気持ちになったものです。



↓これ「I will survive」をバックにしたミュージッククリップです。鳥肌もののカッコ良さにもう1回観に行きたくなります。特にネタバレをしていないバージョンなので、どうぞ。きっと観に行きたくなりますよ。



何でゴールデングローブ賞の「ミュージカル/コメディ部門」での受賞なんだろうと訝しく思っていましたが、納得。まさか楽しい音楽映画になっていたとは、良い意味での裏切りです。

世界が彼の還りを待っている、という描写がハリウッド的で白々しいのはご愛嬌。

深刻な『インターステラー』とも違い、深刻なフリしておバカな『アルマゲドン』とも違い、オーマイガーオーマイガーとパニくる『ゼロ・グラヴィティ』とも違う、何とも新鮮なSF体験。
映画にもサバイバル生活にも、懐メロ最強! というわけなのでした。


   

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Posted on 2016/02/22 Mon. 23:59 [edit]

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