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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。

ボーン・アイデンティティー /哀しきスパイたち。 


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 ボーン・アイデンティティー
 (2002年 アメリカ映画)  84/100点


<結末には触れません。>


シリーズ最新作『ジェイソン・ボーン』公開間近ということで、シリーズ第一弾を鑑賞しました。
このシリーズを観るのは初ですが、意外に面白かった!
別に敬遠してたわけではありませんが…、実は、アクション映画の主人公に、マット・デイモンってどうなの!? という偏見があったのです。
シリーズが始まった当時の彼への印象は、『戦火の勇気』のヤワな青年であるとか、『グッド・ウィル・ハンティング』の繊細な青年であるとか、『オーシャンズ』シリーズのいじられ役の青年のイメージばかりだったのです。特に『オーシャンズ』での町田トオル的存在(注・あぶない刑事)が印象的だったもので…おいおい、たくましいアクションヒーローって似合うのかいと懐疑的だったのでした。仲村トオルが『ニューヨークUコップ』で主演した時くらいの違和感だったものです(誰も知らない)。

ボーン1


しかし。

その杞憂は的外れでした。本作の主人公・ジェイソン・ボーンは、勢い上等のタフガイではありません。記憶をなくし、戸惑いを抱えた優しき青年という設定だったのです。聞くところによると、主人公の名前は、ありふれた名前だそうです。表向きは等身大の普通の青年だが、実は…というこの設定に、マットは見事にドハマリだったのです。遊び人の金さんなどと言いながら、大物オーラを隠し切れてない松方弘樹とは違うのです。

おまけに、マットだからこそ、ボーンの知的で、緻密で、丁寧な行動がとてもリアルに感じられたのでした。怒り任せに人質がいるフロアに爆弾を落っことすブルース・ウィリスとは違うのです。むろん、キラキラな笑顔で誰でも味方に付けるトム・ク―

本作のヒロインも地味な感じで、ボンドガールのような派手さは皆無です。それがとても良かった。一見すると、大学生カップルのようにフツーな感じの二人。だからこそ、自分が指名手配されている事実を知ったヒロインは取り乱します。「なんで、あたしが!?」と。
一緒にいると危険だからと別れを告げるマットの顔付きが、まるっきし未練たらたらで、フツーの健気な青年っぽくていい! ここに、他のスパイ・アクション映画とは違う、本作の狙いが集約されていると思ったものです。

それから。

CIAが従属させている「ヒットマン」たちの存在がとても印象的でした。
CIAは、何人もの「ヒットマン」を育成し、洗脳し、自分たちの好きに動かしていました。CIAで指揮をとるコンクリンは、彼らを人間兵器だと言い切ります。もちろん、ボーンもその一人。
記憶を失うことで野放しになったボーンと、刺客として次々に現れる「ヒットマン」たちの対決が見ものです。これは、決して「善VS悪」という構図ではありません。刺客たちは、ただ淡々と「仕事」をこなそうとしているだけ。それが、プロ対プロのカッコ良さを最大に引き出しているのです。
中盤のライフルVSショットガンの戦いでは、知能戦でもあることが、また素敵です。

ボーン


さらに。

彼らには、そこはかとない哀しみがあります。
死の間際、「頭痛がひどいだろ…?」とボーンにささやく男には、ただの「敵キャラ」にはない、深い情緒を感じさせました。
ヒットマンといえど、殺しを堪能しているわけでも、悪意の塊でもない彼らは、CIAに沁み込まされた意識と能力によって、自分の意思とは関係なく銃を向け合っているのです。
男の言う通り、頭痛に悩まされていたボーンは、その時やるせない顔でこと切れた「敵」を見ます。その男に、自身を重ねてしまったのかもしれません。

果たして、ボーンはアイデンティティを取り戻せるのか。
本当の意味で、「自分自身を探す旅」が展開します。

ただ。
本作でも他の物語でも、記憶喪失の話って、主人公が思い出しそうになった時、「グ…頭が…、ア、アタマが割れそう―」的な、フラッシュバック付きの演出が、もはやありきたりです。それがイヤで、実は主人公の記憶喪失設定ってノレないんです。
…とはいえ、ド忘れしたタレントの名前を思い出すのとはワケが違うのでしょう。それに、ボーンが高いところに登り、「フーアムアーイ!!」と雄たけびを上げることはないので、そこは安心です。

終盤で明らかになる「事実」にもまた、ありきたりな感じはしました。ボーンが、宿を貸してくれた家族の「子供たち」を妙に心配する、という不思議な場面が伏線だったんですね。

ボーン2


というわけで、本作はよくあるド派手なアクション映画とは違います。シンとした雰囲気が持ち味の真面目(?)なスパイ・アクション映画なのです。もちろん、『裏切りのサーカス』ほどのリアルさはないですが、『ミッション・インポッシブル』シリーズほどの荒唐無稽さや華やかさはありません。観る人によっては、退屈? となりかねない「大人の静けさ」があるのです。それでいて、所々で重みと工夫のあるアクションがメリハリを利かせてます。

秋の夜長にじっくり観るにはぴったり。良質なアクション映画を見た気がしました。


第2弾ボーン・スプレマシーの感想はこちら。

第3弾ボーン・アルティメイタムの感想はこちら。


  

 
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Posted on 2016/09/03 Sat. 13:07 [edit]

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コメント

ボーンシリーズ大好きです!ま 

たいちさん こんにちは!
意外にもたいちさんはボーンシリーズ未見だったのですね。
うちはゴジラ好き旦那さんが大好きで、うちにDVDは三作あります。
私も一作目の頃のマット・ディモンは、パッとしないおニイちゃんってかんじで、えーっ!?って思ったけど、意外にはまってて、これが二、三作目はますますクールで、かっこいいのです!
グリーングラス監督の二、三作目はスタイリッシュで、洗練されて、素敵ですよ。
三作目は特に公開時観たときはアクションに度胆をぬかれました。
ボーンシリーズは音楽もかっこいいし、最新作待ち遠しいです(^o^)
お時間あれば、ぜひ二、三作ご覧になってください。
ますます面白くなっています(^o^)

URL | ゆーまる #- | 2016/09/05 08:32 | edit

ゆーまる 様 

コメントを頂戴し有難うございます!

このシリーズは実は未見だったのです。
タイミングを失うと、途中から観れなくなるもので…。
おまけに、実はスパイ・アクションがそこまで好きじゃなくて、
『ミッション・インポッシブル』は何となく見てる、くらいなのです。
『007』シリーズもあまり興味が持てず…。

けれど、本作の良い意味でクラシックな雰囲気は良かったです。

二作目、三作目は洗練されているそうですね。
ただの華麗なアクション映画になっていなければいいなあと
心配しつつ、けど、評判もいいので、必ず観ます!

URL | タイチ #- | 2016/09/05 13:00 | edit

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