素人目線の映画感想ブログ

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※ネタバレがある時は、必ず<赤字>で標記します。点数の説明はこちら。

マネー・ショート華麗なる大逆転 /正義なきビジネス。 


 マネーショート
 マネー・ショート 華麗なる大逆転
 (2015年 アメリカ映画)  
 80/100点



経済にまつわる社会派のコメディー映画です。
といっても、内容は結構難しいです。作中で簡単そうに工夫して説明していますが、正直付いていきづらいです。

けど、「どう? わかりやすいでしょ?」と言わんばかりのドヤ顔で説明するもんだから、とても「わかりません」とは言えません。
先生としては、最悪です。

だけど。

そんなこと分からなくても、ブラックコメディーとして十分に面白いです。

・悪い奴らが考えた金融商品が、徐々にアメリカ経済を危機に陥れていく。
・その状況に気づいた優秀な奴らが、それを逆手に儲けようと企てる。


上記2点さえ知っておけば、立派な「大人の社会見学」映画として楽しめます。

邦画にも、お金にまつわる傑作の映画があります。『マルサの女』です。
税にしても投資にしても、お金のルールは複雑ですが、「なんだか怪しい」という雰囲気さえ掴めればいいのです。

マネーショート5


とはいえ。

下記の用語は作中で何度も出てくるため、分かっていた方がいいのは確か。
詳細は他のブログの方が説明していますので、ここでは、さらにさらに、かんたーんに説明してみます。

何度も言いますが、雰囲気さえ掴めればいいんだから! こまけーこたー、ドンブリ勘定でいーんだよ!(←投資で失敗するタイプ)

・サブプライムローン

リーマンショックと呼ばれるアメリカの経済危機の犯人です。
住宅ローンの一種です。恐ろしいことに、このローンなら、お金を返せる見込みのない低所得者にも、どんどんお金を貸しちゃうことができるのです。

・MBS(モーゲージ債)

サブプライムローンで人にお金を貸したら、当然貸した人は、利子付きで返してもらう権利を持ちます。
その権利を、貸した人から買うことが出来ます。それが、モーゲージ債。

これを買った人は、利子付きで返ってくるお金を期待しているわけですね。
返済できない人たちに貸しているお金とも知らずに…。

・CDO

モーゲージ債を含む複合金融商品です。
登場人物のマイケル(クリスチャン・ベール)やマーク(スティーヴ・カレル)は、これを大量に保有していました。
そして、危うさに気づき、それを逆手に取る作戦に出るのです。

・CDS

モーゲージ債が怪しい…、こりゃあ、いまに価値が下がるぞ、と気づいたマイケルが、下がった時に多額のお金がもらえる保険を作りました。それがこのCDSです。

ただし、毎月相当な額の掛け金を払わねばなりません。
もしモーゲージ債の価値が下がらなければ大損です。
当時、モーゲージ債は盤石と思われていたので、この保険を発明し、自ら加入したマイケルの行動は理解されませんでした。

実際、なかなか価値が下がらず、マイケルが焦りだす部分が、物語のサスペンスとして機能しています。


特に注意すべきは!
「CDO」と「CDS」のつづりが一字違いのため、混乱しがちなことです。
「青海」と「青梅」くらい間違いやすいです。by R-Village Girlsのメンバー・MEIさん(22)

上記の説明は、相当に簡略的で、しかも間違っているかも(!?)
でも、詳しくない人はそれぐらいの認識でいても、十分に楽しめます。

それほど、面白みの強いキャラクターや、皮肉でこしらえたピリ辛な物語を、カラッと明るい演出で見せているのです。


続いて、登場人物のご紹介。

マネーショート1
・マイケル(クリスチャン・ベール)
いち早くCODの暴落を予見し、CDSを発明した天才トレーダー。
裸足でエアドラムしながらパソコンに向かう変人。
変人といえば…、クリスチャン・ベールの真骨頂。


マネーショート3
・マーク(スティーブ・カレル)
CDSに乗っかろうかどうしようか、悩み中の人。
CDOに含まれるサブプライムローンを調査し、そのいい加減な実態を目の当たりにする。
もともと、金融業界に猛烈な憤りを抱えていたこともあり、仲間の誰もが疑っていたCDSに魅力を感じたのかもしれない。

さらに言えば、彼にとって、CDOの暴落は「願望」だったのかもしれない。
物語途中で挿入される村上春樹の一節の通り。
「誰もが心の奥底では、世の終末の到来を待ち受けている」


マネーショート2
・ジャレド( ライアン・ゴズリング)
CDSを売る側の人。
疑ってくれと言わんばかりの怪しげな髪型と軽い口調が特徴。
彼がものを売りにやってきたら、たぶん誰も信じねーでしょう。

しかし、CDOがいかに危ないかの説明を、ジェンガを使って説明する辺りが秀逸。


マネーショート4
・ベン(ブラッド・ピット)
若手の投資家二人をサポートするブラピ。
途中、彼は浮かれる二人に激怒します。「お前らが儲けるということは、逆に不幸になる人がいるということだ!」と。

さすが本作のプロデューサーでもあるブラピ。きっちりバランス取ってきます。
できたら家庭内のバランスにも気を配ってほしかった。


上記の登場人物たちは、マイケル組、マーク・ベン組、ブラピ組という風に完全に分かれており、交わることはありません。
3組の群像劇として別々に展開していきます。

もちろん、3組ともCDOの暴落を待っているのです。

さて。

ちなみに本作には、「正義」というものはありません。

登場人物たちは、みな自分が「稼ぐ」だけです。
この腐った金融システムを糾弾しようとか、詐欺のような悪い奴らを断罪しようとか、そういったことは一切ありません。

結局、賢い変人たちが一抜けしただけの話。
おまけに、何の「実」もないビジネスです。

一般的に「仕事」とは、「誰かの助けになり」「その報酬でお金をもらう」ことです。はっきり言ってマイケルたちは、誰の助けにも、何の役にも立っていませんよ。

だから、この物語にはカタルシスがない。

ノアの方舟に滑り込めた彼ら以外の者たちは、ついに訪れるリーマンショックという不況の嵐に呑み込まれます。
お金持ちが損するくらいならいいです。
終盤には、家を失った低所得者が、家族とともに車で寝泊まりする様子が映し出されていました。

バブル崩壊の仕組みは、普通に考えればシンプルです。価値のないものに、あたかも価値があるように値付けているため、それが浮き彫りになっただけです。

価値があるうちに売った者は勝ち、売り遅れた者が損をするわけです。

マネーショート6


投資は、やはり、ほぼ賭博です。「損をする方に賭ける」というCDSの仕組みを思い付いたマイケルの発想は、確かにすごいとは思うのですが、これも賭博です。
投資や保険という名が付けば、賭博も立派なビジネスになるのです。

野球賭博も、「応援していたチームが負けた時の精神的ショックを保障する」保険として、売り出せばいいんじゃないでしょうか。そうすれば、立派な商品になります。

それに、投資ビジネスは、よほどのプロでないと勝てません。
また、緻密に戦略を練って買った株より、ダーツを投げて決めた株の方が儲かった、なんて話もあります。

つまり、リスクは高いわけです。

結局、よく分かっていない素人は、「投資に手を出さない」 
実は、それが最大の防御策であったりします。

それこそ、本作のオープニングで語られている様に。
「自分が無知であることを知る」ことが、損をしない一手なのです。


  

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Posted on 2016/10/21 Fri. 22:38 [edit]

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